艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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55話 因縁の相手(4)

プリンツに至っては、とうの昔に切れているハズだ

 

重巡のボディで、ここまで戦艦に立ち向かった彼女を賞賛しなければならない

 

武蔵は無線をプリンツに繋いだ

 

「ぷりんつよ…よくぞここまで頑張った‼︎」

 

《武蔵は強いね…当たってる気がしないよ‼︎》

 

「次で終わりにしよう」

 

《オッケー。一撃で決める‼︎》

 

長い距離を互いに向かって、海上を滑る

 

そんな時、再び武蔵の胸が痛む

 

思い出した…‼︎

 

私が何かの手術を受ける前の日だ‼︎

 

あの日、私は男に頬を打たれた

 

その男は泣いていた

 

思い出した‼︎

 

その男の名前は…

 

 

 

 

決着が着きそうな二人を、再び双眼鏡で見る

 

「ん⁉︎」

 

ほんの一瞬、武蔵が此方を向いて、何かを呟いた

 

「なに…言って…」

 

そう思った次の瞬間、プリンツの頭突きが武蔵に当たった

 

武蔵は一瞬の隙を見逃さず、プリンツにアッパーを当てる

 

「うわぁぁあ‼︎」

 

プリンツは少し飛んだ後、海上に倒れた

 

「勝った…‼︎」

 

武蔵も海上に膝を落とす

 

《演習終了‼︎勝者、武蔵‼︎》

 

「帰ろう、ぷりんつ」

 

「うんっ‼︎」

 

武蔵の差し出した手を掴み、プリンツが起き上がり、二人で各々の場所に帰る

 

「武蔵〜‼︎」

 

提督の声で我に返る

 

「良く頑張ったな‼︎」

 

提督に頭を撫でられ、少し照れ臭くなる

 

「ぷらずまてれびは貰ったな‼︎子供達が喜ぶぞ‼︎」

 

「私達は空気清浄機だって‼︎」

 

「良かったわね、貴女達‼︎」

 

横須賀が景品を持って来た

 

「これで二人の煙草臭さから脱出よ‼︎」

 

「煙草の匂いは提督の匂いだ‼︎」

 

「レイもそうです‼︎」

 

二人にそう言われて、横須賀は何と無く”それもそうか”と思った

 

二人は子供達の前であまり煙草を吸わないし、二人に近寄ると、煙草の匂いで安心するのも確かだ

 

「じゃあ、倉庫に置いておきなさい。あそこナメクジ凄いでしょ⁇」

 

「うぬ‼︎そうさせて貰おう‼︎」

 

景品を貰い、二人は御満悦だ

 

 

 

 

帰りの船の中で、プリンツとレイは肩を寄せ合って眠っていた

 

こういう時しか、プリンツはレイに甘えられない

 

「鹿島もいいが、この二人もお似合いだな」

 

「そうだな。レイは誰が横に居ても似合う」

 

「ふふっ…」

 

「そうだ。あの時、俺になんて言ったんだ⁇」

 

私の質問に、武蔵は上を向いて悩み始めた

 

「それが…途中まで覚えていたんだが…気が抜けた瞬間に飛んでしまってな…」

 

「…そっか‼︎」

 

「すまない…だが、必ず思い出す‼︎」

 

「ゆっくりでいいんだ。ちょっとずつ、思い出せばいい」

 

「分かった…ふぁ…」

 

武蔵も疲れた様で、私の肩にもたれて眠ってしまった

 

私は武蔵の肩を抱き、基地に着くまで外を眺めていた

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