「お前らなぁ…」
二人共、もう造って貰うつもりでいる
「とりあえず横須賀‼︎これはお前にやる‼︎」
「嫌よ‼︎」
全力で否定された‼︎
「欲しいんじゃないのかよ‼︎」
「こんな”ポンコツ”じゃなくて、新作が欲しいのよ‼︎」
「それは言い過ぎダズル‼︎このマッサージチェアーは素晴らしいダズル‼︎」
二人の言葉を聞き、チラッときそを見た
全員から目を逸らし、悲しそうな顔をしている
「…もういい‼︎横須賀にはやらん‼︎」
榛名と横須賀がビクッとする
俺が本気でキレるのは久し振りだ
普段は冗談で済ますが、今回は許せなかった
「横須賀…これは俺が造ったんじゃ無いんだ‼︎」
「え⁇じゃあ誰が…⁉︎」
「きそだ‼︎毎回毎回人が造ったモンにケチばっか付けやがって‼︎俺の造ったモンならまだしも、今回ばっかは許さねぇぞ‼︎」
二人の目線がきそに行く
「いいんだ…どうせ僕はポンコツしか造れない…」
きそは物凄く落ち込んだ顔をしている
「あわわわ…」
慌てふためく横須賀を見るのは久し振りだが、今回は可愛くない
「きそ。榛名はポンコツだなんで思って無いダズル」
榛名はきその前で膝を曲げた
「いいんだ、榛名さん…」
「…よし、榛名があのマッサージチェアーを買うダズル‼︎」
「いいよ…無理しなくて…どうせポンコツだ…」
「ホレ‼︎」
榛名は振袖から何かを出した
「きそが前に欲しがってた鉱石ダズル」
「これは…‼︎」
「深海の奴等の基地に保管されていたダズル。きその所に居た方が、有効に活用されるダズルな」
「…いいの⁉︎」
「その代わり、あのマッサージチェアーは貰うダズル。いいな」
「でも…ポンコツだよ⁇」
「ゔっ…」
横須賀が気まずそうな顔をしている
「今回はお前が悪い。あ、今回も、か」
「ホントにごめんなさい…」
二人に目線を戻すと、榛名はきその頭を撫でた後、ギュッと抱き締めた
「わっ‼︎」
「榛名は、きそが造ったモノが欲しいダズル。勿論、レイの造ったのも素晴らしいダズル。でも、榛名はきそが造ってくれた方が、愛着が湧くダズル」
「榛名さん…」
きそは泣きそうな顔をしていた
榛名はきその背中をポンポンと叩き、手を離して立ち上がった
「よ〜し、野郎共‼︎コレを積むダズル‼︎ちゃんと積んだら、みんなから使っていいダズル‼︎」
「アイアイサー‼︎」
「おわっ‼︎」
「えっ⁉︎」
何処からとも無く出て来た、多数の男衆
オーラは海賊そのものだが、身なりがキチンと整っている
軍服は着ているが、絵に描いたような紳士が揃っている
「ゆっくり運べ‼︎姐さんの”貴重品”だ‼︎」
「貴重品…」
先程まで泣いていたきその目に、輝きが戻った
発明家にとって、自分の造ったモノが貴重品と言われるのは、この上ない褒め言葉だ
「じゃあ、榛名は帰るダズル‼︎感想は言うダズル‼︎じゃあな‼︎」
「榛名さん‼︎ありがとう‼︎」
「安い買い物ダズル‼︎」
榛名はイージス艦に乗り、帰って行った
「イージス艦だ‼︎」
「あいつマジで何やったんだ⁉︎」
「あ…あの…きそちゃん…」
「ん⁇」
「ホントにごめんなさい‼︎」
横須賀が頭を下げるのは、見ていて気持ちいい
心が晴れ晴れする‼︎
「僕もやり過ぎちゃった…ごめんなさい…」
「それはもういいの‼︎お詫びに好きなモノ何でもあげるわ‼︎」
「ホント⁉︎ん〜…」
「何でもいいわよ⁇」
「ん〜…」
きそは人差し指を口元に当て、考える
「さっ‼︎俺はさっきのビデオ焼き増しし〜よぉっと‼︎」
横須賀が反応する前に、一気に工廠まで走った‼︎
工廠まで後一歩‼︎
「あ°っ‼︎」
振り向きもせず、横須賀は腰のピストルを俺に向けて放った
「今日は撃たないであげようかと思ってたけど、ビデオは堪忍ならないわね‼︎」
「それ‼︎それ欲しい‼︎」
「えっ⁉︎これ⁉︎」
きそが欲しがったのは、横須賀が特注で明石に頼んで造った、非殺傷のピストルだった
モーゼルと呼ばれるピストルをモデルにしており、初心者でも簡単に扱え、弾も麻酔や、今撃った粉まみれにする弾等、色々と入れ替えられる
「こ、こんなのでいいの⁉︎」
「うんっ‼︎モーゼル欲しいんだ‼︎」
「じゃあ…はい‼︎」
「ウエッ‼︎鼻に入った‼︎ブェックショイ‼︎」
真っ白になったレイが、クシャミをしながら起き上がった
「レイ‼︎ピストル”没収”したよ‼︎」
「えっ」
きそはいつの間にかレイの横におり、横須賀に向けてピストルを構えていた
「よっしゃ‼︎コレで横須賀なんか怖くないっ‼︎」
「横須賀さんは、ここでお留守番だぁ‼︎」
きそは引き金を引いた‼︎
「きゃっ‼︎」
横須賀の周りに、白い煙幕が立ち込める
「うはは‼︎凄い凄い‼︎」
「き、きそ〜⁉︎」
「僕ね…自分の造ったモノをバカにされる以前に、レイの造ったモノにケチばっか付けて、挙句の果てにタダで持って行く人、許せないんだ〜」
「わ、分かったわ‼︎次からはちゃんとするから‼︎ねっ⁇」
「ホント⁇」
「ホントホント‼︎」
「じゃあ、次から僕もお手伝いする‼︎」
「あら」
きそは正直者だ
だが、その魂胆は後から知る事になる…
単冠湾の基地では、男衆の番が終わり、再び榛名がマッサージチェアーに座っていた
「快適ダズル…あああああ…」
「榛名、それどうしたの⁇」
「きそから買ったダズル。提督にも後で貸してやるダズルルルルルルル…」
マッサージされながらジュースを飲み、映画を見ている榛名
「ジュースどっから持って来たんだ⁇」
「こっから出るダズルルルル」
声と胸が震える榛名を見て、ワンコは微妙な気分になった
色んな意味でやりたい…
「粗末な主砲おっ立ててる暇があるなら、早く書類を片付けるダズル‼︎」
「お、おぉ…」
「榛名にはお見通しダズル‼︎」
こうして、きそが造ったマッサージチェアーは大切に扱われ、単冠湾の人達の癒しとなっていった