「言われてみれば…」
「じゃあ提督、ポーラは好きですか⁇」
「好き…だよ⁇」
「何でポーラに言えて鳳翔に言えないんですか⁉︎」
「分かった‼︎言えばいいんだろ⁉︎それでスッキリするなら言うよ‼︎」
呉さんは席を立ち、食堂から去ろうとした
「行ってらっしゃ〜い。ポーラ、ここで見てますて」
「あ、それお前にやるよ。聞いてくれた礼だ」
「ありがと〜‼︎」
食堂を出て、執務室に戻って来た
今日は正直、もう用は無い
書類も片付けた
物資の搬入も来た
後は…
「母さん、起きて」
ソファで寝ていた鳳翔を揺する
「ん…」
声を出すが、起きる気配は無い
「仕方無い…」
呉さんは鳳翔を抱え、布団がある部屋に向かう
鳳翔を抱いていると、隼鷹や青葉とは違う、女性独特の甘い匂いがした
その匂いを嗅いだ時、動悸が余計酷くなった
今だから言うが、鳳翔の着物で、大っぴらには言えない事もした事がある
いくら母親とはいえ、駆逐艦の子より少し背が高い位で、小柄も小柄で、体も軽い
強いて言うなら、体格の割にお尻が大きい
本当に私が何処から産まれて来たのか分からない
鳳翔を布団に寝かせ、髪の毛を上げる
正直、このまま唇を合わせれば、この気持ちが分かる気がした
「あら、清政…私寝ちゃったの⁇」
鳳翔は目を覚まし、呉さんを見た
「疲れたんだよ。今日はありがとう」
「…清政、お母さんに何か言う事ない⁇」
鳳翔に頬を撫でられながら、呉さんは口を開いた
「好きなんだ…母さんの事」
「やっぱりね…何と無くそんな気がしてたわ…あの人と一緒なのね⁇」
クスクスと笑う鳳翔を見て、呉さんは全てを見透かされた気分になり、少しスッキリしていた
やはり、この人は母だ
好きになってはいけない
「親子で似るのね、異性のタイプって」
「…」
「でもまぁ…これ位ならしてあげるわ⁇」
鳳翔は呉さんをギュッと抱き締めた
その時、呉さんは分かった
自分が欲しかったのは、鳳翔じゃなくて、愛情だって事を
「ふふふっ。時々ならしてあげるっ。でも、あんまりすると、隼鷹さん達がヤキモチ妬くかもね⁇」
「ふ…ありがとう、母さん」
「い〜え‼︎」
鳳翔を残し、部屋を出ると、居てはいけない人物がいた
「激写ですねぇ‼︎禁断の親子関係‼︎頂きました‼︎あはははは…あばっ‼︎」
いきなり青葉が吹っ飛んだ
呉さんはじめ、パパの反対派一味は艦娘に手は出すが、手を上げない
「提督はちゃんと本気で言いましたて」
殴り飛ばしたのはポーラだった
ポーラはカメラを拾い、中のフィルムを日光に当てた
「ちょっとポーラさん‼︎それはいけません‼︎」
「本気の恋に間違いなんかないですて‼︎」
「ポーラ…」
「提督‼︎ポーラと飲み直しましょうて‼︎」
「お、おぉ…」
ポーラはカメラを捨て、呉さんの手を取り、食堂に入った
そこには、遠征から帰って来た隼鷹がいた
「提督‼︎すまねぇ‼︎あたしがずっと放ったらかしにしてたから悪いんだ‼︎」
隼鷹は両手を合わせて謝っていた
「今晩相手すっから、それで勘弁してくれ‼︎頼む‼︎」
「提督、ポーラ、それでいいと思いますて‼︎」
少しポーラを見直した
飲んだくれとばかり思っていたが、ちゃんと皆の仲介役をしてくれている
もう少し、飲みに付き合ってやらないとな…
「分かった‼︎お願いする‼︎青葉‼︎」
「何ですか⁉︎」
既に換えのカメラを手にした青葉が、床下から現れた
「反省したか‼︎」
「してます‼︎もう変な写真は撮りません‼︎」
「よし…全員、棚から好きな物食え‼︎」
「やった‼︎提督太っ腹ぁ‼︎」
棚には、呉さんが普段食べたり飲んだりしているお菓子やらお酒がある
各自好きな物を取り、その日の夜、呉鎮守府では、小さなパーティが開かれた
夜に何があったかは、もう言わなくても大丈夫だろう…