艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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1話 片羽の雄鳥(3)

「また遊びに来てもいい︎??」

 

「あぁ、いつでも来い」

 

これが、二人って奴か

 

空ではずっと一人の空間だったからな

 

何だか不思議な気分だ

 

それになんだ

 

ここは1日の流れが早いな

 

遅く起きたためか、もう夕方だ

 

建造の結果は、明日見ても大丈夫だろう

 

「お腹すいたな」

 

「提督、お魚取れた︎」

 

グッドタイミングで、魚を担いだ島風が帰って来た

 

「そいつを夕飯にする」

 

「やったね︎」

 

島風が取って来たのは、大きめのカツオ

 

私はこう見えて料理が得意だ

 

島風が嬉しそうに料理の風景を見ている中、私はカツオを捌き、ご飯を炊いた

 

「提督特製、カツオのたたき丼だ︎」

 

「いただきま〜す︎」

 

美味しそうにカツオのたたき丼を口に運んで行く

 

「あんなの何処で取った⁇」

 

「浮輪で泳いでたら、こっちに来たから連装砲ちゃんで驚かしたの︎」

 

「なるほど…」

 

「ごちそうさま︎」

 

「もう食べたのか︎」

 

「うんっ︎美味しかったよ︎また行って来るね︎」

 

「あぁ、行っておいで」

 

普段余程遊べないのか、ご飯以外は常に外にいる

 

私は残ったカツオの切れ端を集め、お茶碗にそれを入れ、上からお茶をかけた

 

昔の癖だな

 

いつでもすぐに空に出れるように、少しだけ胃に収める

 

そんな日々が続くと、いつの間にか胃が小さくなっていた

 

「ただいま」

 

「もう帰って来たのか⁇」

 

「もう暗くなって来た」

 

「そっか…お風呂でも入っておいで」

 

島風が入渠している間、私は思い出したかのように家具を整理し始めた

 

とは言え、鞄ひとつだからな…

 

服と…

 

衛生用品と…

 

後は手帳

 

これだけか

 

「お先に入ったよ︎」

 

「おかえり。今日はもう寝よう」

 

「うん…」

 

何故か島風は嫌そうに布団に入るのを拒んだ

 

「どうした⁇眠たくないか⁇」

 

島風の下で体を屈めると、彼女はポロポロと泣き始めた

 

「帰りたくないよ…」

 

「…」

 

「ひっぐ…えぐ…」

 

「辛いよな…気持ちは分かる」

 

「だだがいだぐない…ごごにいだい︎」

 

「…」

 

ほんの少し息を吐いた後、島風を抱き寄せた

 

「おっ…」

 

「案外小さいんだな…こんな小さな身体で、良く頑張った」

 

「島風…頑張った…⁇」

 

「あぁ、お前は俺よりず〜っと立派だ」

 

「ホント⁇」

 

「空軍は嘘をつかない」

 

「提督、海軍でしょ⁇」

 

「あぁ、そうだったか︎はは、長年の癖だ︎」

 

「あはは」

 

「お前はそうやって笑ってろ。そっちの方が良く似合う」

 

「また来てもいい⁇」

 

「いつでも来い。何だったら、鎮守府を抜け出してでも来い」

 

「分かった。もうちょっと頑張ってみる︎」

 

「ん、よろしい。じゃあ寝なさい」

 

「うん…」

 

島風を布団に入れると、服の裾を掴んできた

 

「今日はここにいて⁇」

 

「大丈夫。机に行くだけだ」

 

「ん…」

 

遊び疲れたのと、泣き疲れたのが一緒に来たのか、島風はすぐに目を閉じた

 

「…」

 

煙草に火を点け、窓の外を眺める

 

星が綺麗だ…

 

遠くの方では、サーチライトが光っている

 

誰かが夜戦をしているのか、もしくは偵察機の道標か…

 

どちらにせよ、ここは平和だ

 

火を消した後、緑茶を一口飲み、布団に入った

 

 

 

 

 

 

 

「大佐、大佐、起きて下さい」

 

「敵か…⁇」

 

「違います。定時報告です」

 

「あぁ…そんな時間か…」

 

「島風は…」

 

「あんまり無理させるなよ⁇」

 

「と、言いますと⁇」

 

「定時報告して貰ってる以上、余りキツくも言えないし、俺はこの戦争に興味は無い。だがな、あんな少女をこき使うようになったたら、海軍…いや、この国もいよいよ終わりだ」

 

「それは…」

 

「いいか⁇肝に命じておけ」

 

彼の胸に人差し指を当て、目を見つめた

 

「彼女達は、俺達に出来ない事をしてる。俺達に出来ない事だ」

 

「は、はい…」

 

「死なすんじゃねぇぞ。五体満足で平和な世に返してやれ」

 

「り、了解…」

 

「じゃ、話は終わり。定時報告ありがとう」

 

「はっ︎では午後に︎」

 

「島風」

 

「ん⁇」

 

「これをやろう」

 

ポケットから取り出した、錨型のペンダントを、島風の首に付けた

 

「わ〜︎くれるの︎」

 

「平和になったら、もっといいの買うんだぞ」

 

「ありがとう︎大事にする︎」

 

定時報告の要員がタンカーに乗った後、最後に島風が乗り込んだ

 

「バイバ〜イ︎」

 

右手を大きく振り、皆を送る

 

 

 

 

「ただいま、提督︎」

 

「あ…あぁ…おかえり…」

 

島風の提督は震えていた

 

「どうしたの⁇提督⁇」

 

「大佐の目を見たんでしょう」

 

「大佐⁇あの提督さんの事⁇」

 

「そうだよ。大佐の眼力は半端なかったからね。同期の人間は、誰も大佐に頭が上がらなかったよ」

 

「ふ〜ん…」

 

興味無さそうに返事を返す島風だが、顔には笑顔が浮かんでいた

 

 

 

提督が鎮守府に着任しました︎!!

 

これより、艦隊の指揮をとります!!




パパ提督…ヘビースモーカーの若年寄りの主人公

パイロットだったが左脚を失い、地に降りた異色の提督

”楽園”と呼ばれる基地の提督で、時々心に病を負った他鎮守府の艦娘達を一定期間迎え入れている

提督活動を殆どせず、資源や資材を大量に持て余しているため、他鎮守府に無担保で貸す事もある

一応白い軍服を着てはいるが、パイロットスーツが提督室に常に掛けてある



性格…パイロット時代は明るく豪快な性格で周りから信頼されていた

”楽園”に降りてからは口数が減り、艦娘の好きな様に行動させている

とある艦娘と出逢い、その心境が少しずつ変化してゆく…
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