たいほうがはしゃいでいる
はしゃぐのも無理は無い
目の前には、金銀財宝の山だ︎!!
「凄い…これがちょくちょくたいほうが見つけていた宝石の一部なのか…」
「莫大な資源に変えられるな」
「きらきらがいっぱ〜い︎」
「みんな。一つだけ、持って帰ろう」
「なっ︎!!」
「えっ︎!!」
武蔵もたいほうも驚いている
無理もない
全て資源に変えれば、ほぼほぼ一生遊んで暮らせる
「これはもしかしたら、先人の遺産なのかもしれない」
「なるほどな…むやみやたらに取ってはいけない…と、いう事か」
「そう。でも、一つ位は大丈夫だ。俺はコレにする」
私は足元にあった緑色の宝石にした
「私はコレだ。色が気に入った︎!!」
武蔵の手には黒い宝石が
「はまかぜのも、もってかえっていい⁇」
「それ位ならいいよ」
「じゃあ、これとこれにする︎!!」
たいほうの手には、金の延べ棒が二本握られている
「これならけんかしないね︎!!」
「ふっ…よし、帰ろう」
私達は財宝がある場所を後にした
「ん⁇」
先程休憩した場所に着いた時、ふと風を感じた
「待て」
「どうした⁇」
「風だ…こっち…」
財宝がある場所の反対側に、大きな岩があり、そこの隙間から、微量だが風が吹いている
「武蔵、壊せるか⁇」
「待ってたぜ︎!!おりゃあ︎!!」
たった一発の武蔵の拳で、岩がバラバラになった
「流石だ」
「むさしすご〜い︎」
「ふっ、いつでも」
岩の向こうは、小さな砂浜になっていた
「ふむ、綺麗だな」
「︎!!」
「どうした⁇」
「…」
砂浜の角にあった物を見て、声が出なくなった
心臓の音がどんどん高まる
「お、おい︎!!提督よ︎!!」
無言のまま、私はそれに近付いた
「これは…戦闘機の残骸か⁇」
長い間埋もれていたのだろう
私は、足元にある残骸の上に積もった砂を取り払ってみると、黄色い鳥のエンブレムが出て来た
「さんだぁ…ばぁど⁇」
「う…」
「提督⁇」
「うわぁぁぁぁあ︎!!」
そのエンブレムを見て、私はうずくまり…
泣いた
武蔵とたいほうが居たが、気にはならなかった
「ごめんな…痛かったよな︎!!」
「提督よ︎!!しっかりしろ︎!!」
「パパ、しっかりして︎!!」
「うぅぅ…」
出て来たエンブレム…
それは、私が指揮していた飛行中隊のエンブレムだった
サンダーバード中隊…
このエンブレムは、隊の名前の後に”3”と書かれていたので、三番機だ
「こんな所にいたのか…辛かったろう…」
「提督よ…」
「パパ…」
その後、私はしばらく泣いた
「…たいほうよ。しばらく砂浜で遊んでいてくれないか⁇」
「わかった︎!!」
「あまり遠くに行くなよ︎!?」
「わかった〜︎!!」
事態を察した武蔵が、自身の胸に抱き留め、私の頭を撫でてくれた
「辛いな…耐えられないな…ん⁇」
「うん…」
「このエンブレムは、提督の飛行隊のものか⁇」
「うん…」
「提督よ…私は、温かいか⁇」
「うん…」
「何故か分かるか⁇」
「生きてるから、か⁇」
「そうでもあるが、少し違う」
「⁇」
「この戦闘機からも、温かさを感じる。提督よ…人が温かいのは、愛されてる証拠なんだ」
「愛されてる証拠⁇」
「そうだ。愛されてるからこそ、人は温かくなれる」
「こいつは…愛されてるのを分かってくれてるのか⁇」
「そうだ。提督の愛は、しっかり伝わっている。だからだろうな。この戦闘機は、後悔や嫉妬が無い」
「分かるのか⁇」
武蔵は、自身の犬の耳のような髪の部分を指差し、少し動かして見せた
「機械の声がな、聴こえるんだ…隊長、生きてるか⁇だと」
「あぁ…生きてるぞ」
とても不思議な時間だった
まるで、死んだ人間と話しているような…そんな感覚
しばらく話した後”彼”は話さなくなった
武蔵曰く、また話せるらしい
「ありがとう、武蔵」
「相変わらず提督は激しいな」
「ふっ…」
「それ、持って帰るのか⁇」
私の胸には、エンブレムの一部が残った、機体のカケラが抱かれていた
「うん。次はちゃんと傍に置いてやりたい」
「…帰ろう、な⁇」
「パパ〜︎おさかないっぱいいる〜︎」
砂浜では、たいほうがはしゃいでいる
「今を生きよう、提督」
「…あぁ︎」
涙を拭い、立ち上がった
「たいほうよ︎お家に帰るぞ︎」
「むさし〜︎」
両手に魚を抱えたたいほうが、武蔵の方へ走って来た
武蔵はそれを抱き留め、いつものように抱え上げた
「おっきいおさかなとれた」
武蔵の腕の中で、たいほうは、まだ跳ねている魚を私達に見せた
「はっはっは︎そうかそうか︎なら、今日はお刺身だな︎提督よ︎」
「カンパチか。美味そうだな」
三人で話しながら、私達は洞窟を後にした
砂浜の片隅で、青年が一人佇む…
生きろよ、隊長
振り返るんじゃねえぞ、隊長
達者でな…
サンダーバード中隊三番機”サンダーバード3”の死亡が確認されました