艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、85話が終わりました

今回のお話は、きそがとある発明をします

そして、今まで明かされてなかった誰かの本名がサラッと明らかになります


86話 きそ、発明をする(1)

「フンフンフ〜ン♪♪」

 

きその鼻歌が工廠に響く

 

前から言っていた、クイーンのボディを造る方法を見つけたのだ

 

パパが最初に使って、それ以来閉じられている”建造装置”だ

 

少し前に横須賀に行った時、偶然これと同じ物を見付け、自分の基地にあった事を思い出した

 

「え〜っと。これはこうして…」

 

きそは建造装置を弄り、一つ一つ起動して行く

 

「あれ⁇何これ⁇」

 

きそは人一人入れるカプセルの前で足を止めた

 

「何か書いてある…なになに⁇」

 

前屈みになり、書かれている文字を読む

 

「母…貴子。父…ウィリアム・ヴィットリオ。娘…大鳳。知らないや‼︎」

 

段差を飛び降り、装置の前に戻って来た

 

きそはモニターに集中し、数字を打ち込んで行く…

 

「出来た‼︎」

 

数分後には、既に装置は建造を開始し、装置の中心に備えられたカプセルの中には人の形が徐々に出来ている

 

「よいしょ…っと」

 

倉庫から一本持って来た高速建造材を手に持ち、専用の穴から装置の中に火を送る

 

「よし‼︎出来た‼︎よいしょ‼︎」

 

きそは装置に直結したケーブルを持ち、クイーンの所に走った

 

「よいしょ…クイーン‼︎出来たよ‼︎」

 

《きそちゃん⁇何が出来たんですか⁇》

 

「クイーンの…新しいボディだよ。うんしょ…」

 

ケーブルをズリズリ引っ張りながら、クイーンの所に寄る

 

「これをクイーンに付ければ、また繋ぐまでクイーンは人間のボディでいられるんだ…んしょ。繋げるね⁇」

 

《あの…怖くないですか⁇》

 

「怖くないし、痛くもないよ。ちゃんとテストもしてあるから、安全性は確かだよ⁇行くよ⁇」

 

《じゃ、じゃあお願いします‼︎》

 

ケーブルをクイーンに繋ぎ、きそは装置の所に戻り、スイッチを押した

 

数秒後にカプセルが開き、中から可憐な白い長髪の少女が出て来た

 

「クイーン‼︎どう⁉︎」

 

「これは…」

 

出て来た少女は両手を何度も握ったり開いたりしていた

 

「いい、クイーン⁇クイーンがこの体でいる時は”翔鶴”って名前。クイーンじゃないよ⁇」

 

「きそちゃん…」

 

「お…お、おろろろ⁇」

 

翔鶴はきその顔をペタペタと触り始めた

 

「あはっ‼︎これが”触る”って感じですね‼︎」

 

「そうだよ。ご飯も食べられるからね。これでたこ焼きの味もしっかり分かるよ‼︎」

 

「ありがとう‼︎きそちゃん‼︎うふふふっ‼︎」

 

翔鶴は余程嬉しいのか、工廠をクルクル回り始めた

 

「ビール、ビール、ビールっと〜♪♪」

 

レイが来た

 

いつもの机に座り、足元の小さな冷蔵庫からラムネサイズのビールを取り出して、妖精に蓋を開けさせ、小さなコップに注いでから、瓶に口を付けた

 

「レイさんっ‼︎うふふっ‼︎」

 

翔鶴はレイの背後から抱き着いた

 

レイはビールを少し吹き、背後にいる少女に顔を向けた

 

「おわっ‼︎何だ⁉︎何処から来た⁉︎何か依頼か⁉︎」

 

「レイさんは筋肉質なんですね‼︎」

 

「だ…誰…」

 

最初は驚いていたレイだが、段々恐怖心に変わって行くのが目に見えた

 

「レイさん⁇たこ焼き、また作って下さいますか⁇」

 

「たこや…クイーンか⁉︎」

 

ようやく気付いたみたいだ

 

「はいっ‼︎この姿では、翔鶴とお呼び下さいっ‼︎」

 

「お…おぉ…でもどうやって⁇」

 

「きそちゃんがボディを造ってくれたんですよ‼︎」

 

「…きそが⁇」

 

レイの目付きが変わった

 

ビールを置き、きそに歩み寄る

 

「あわわ…ご、ごめんなさ‼︎」

 

きそは無断でクイーンのボディを造った事を怒られると思っていた

 

「どうやった」

 

レイはきその肩を掴んだ

 

「えと…ここをこうして…」

 

「違う‼︎どうやってボディにクイーンの頭脳を入れたんだ‼︎」

 

「このケーブルだよ。このケーブルをクイーンのAI接続部に繋げて、あっちで装置を起動するんだ。そしたらAIがボディに行くんだ。ホントだって‼︎」

 

「はぁ…」

 

レイはきその肩を持ったまま下を向いた

 

「…怒ってる⁇」

 

「…才だ」

 

「え⁇」

 

「天才だよ‼︎解けなかったんだよ‼︎AIの移行手段が‼︎ネットワークからネットワークに移行するのは簡単だけど、AIから直結する方法が分からなかったんだ‼︎」

 

「あ…うん…」

 

実はきそ、このシステム自体は何度もテストをしたが、これを思い付いたのはただの閃きだった

 

「きそ‼︎お前が造ったシステムで何千何万の人間が救える‼︎分かるか⁉︎お前は世紀の発見をしたんだ‼︎」

 

「う、うん…」

 

きそは自分が凄い大発見をした事を、まだ実感していない

 

レイが言いたいのはこうだ

 

病気や障害で苦しむ人間の頭脳を新しいボディに送り、真っ新な体で第二の人生を送る事が可能になったのだ

 

勿論、まだまだテストは必要だが、ゆくゆくはそう言う事に平和利用が出来るようになったのだ

 

「あぁ…」

 

レイはその場に膝を落とした

 

「レイ、大丈夫⁇」

 

「報われた…これを造って良かったって、ようやく実感出来た…」

 

「え⁉︎これレイが造ったの⁉︎」

 

きそは建造装置を指差した

 

「あぁ。生身の人間にそのまま艤装を付けて無理矢理艦娘にする”艦隊化計画”に反発する為に造ったんだ」

 

「ほへぇ〜…」

 

「この装置はな、ある程度の資源を消費する代わりに、人間に近い生体を造り出す事が可能なんだ。人間と変わらぬ経口摂取、人間と変わらぬ生殖機能…人間と変わらない寿命…人間と変わらない生活が送れるんだ」

 

「あ。そうだ‼︎レイなら知ってるかなぁ⁇」

 

「ん⁇」

 

「来て‼︎」

 

きそは先程のカプセルの前にレイを連れて来た

 

「これ、誰か入ってたの⁇」

 

「…」

 

レイはそのカプセルの前に立つと、急に黙ってしまった

 

「聞いちゃダメな事⁇」

 

「いや、お前には話してもいいかな…」

 

レイはカプセルの事を話し始めた

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