数分したら、ポーラは急に大人しくなった
「ポーラ、ポーラー」
《気絶してます》
「何ちゅう脆い奴だ…」
「どっかで聞いた事あるね…」
落胆する呉さんを見ながら、いつの間にかいたきそがツッコミを入れている
降りて来たイェーガーのコックピットを見ると、目を回したポーラが横たわっていた
「反省したか⁇」
「提督…やり過ぎですて…ポーラ、提督に吐きますよ⁇」
「総員退避‼︎」
イェーガーの中にいたポーラを取り残し、俺達含め、散り散りに退避した
「レイ、きそちゃん」
呉さんから水鉄砲を受け取った
「ポーラの目を覚まさせるには、水鉄砲で攻撃するしかない‼︎」
「提督〜どこ行きました〜⁇うぇへへへ〜…ウップ」
俺達は格納庫の陰に隠れているが、いつ表にいるポーラに見付かるか分からない
「ねぇ」
きそが何かに気付いた
「イェーガーって、ネットランチャーか何か付いてなかった⁇」
「あったな。アレを使うか…」
「イェーガー、聞こえるか⁇」
《聞こえます、提督。話は聞きました。一撃で仕留めます‼︎》
「よし、俺達がポーラを引き寄せる‼︎」
「頼んだ‼︎」
俺ときそは一旦フィリップに戻り”お土産”を持って来た
そしてそれをイェーガーの前に置き、陰に隠れてスタンバイ
「あっ‼︎」
ポーラがお土産に気付いた‼︎
「これは〜ポーラの好きな”ニホンシュー”ですねぇ…よいしょ」
「発射‼︎」
ポーラが日本酒を取った瞬間、イェーガーからネットランチャーが発射された‼︎
「うわぁ‼︎」
網を喰らい、ポーラはその場に倒れるが、酒瓶は大事に守っている
「イェーガー‼︎放水開始‼︎」
《了解‼︎》
イェーガーから水鉄砲が発射された‼︎
「何あれ‼︎不思議装備ばっかだよぉ‼︎」
「ちべたいちべたい‼︎…あれ⁇この味は…」
何を思ったのか、ポーラはイェーガーから放水された水を飲み始めた‼︎
「電解水を入れたのが間違いだったか…」
「ん〜、ウップ…お腹いっぱいですて」
網に掛かりながらも、ポーラはご満悦の表情をしている
そして何故か呉さんが冷や汗を流す
「ポーラはあの状態でも動き回れる。腹がタポタポしたら一番ヤバい‼︎」
「つまりそれって…」
「…今のポーラは無敵だ」
「あ〜、いたいた。提督〜。ポーラ、満腹ですて」
「うわぁ‼︎」
屋根の上から此方を見つめる、腹がタポタポしたポーラ
「行きますよぉ〜…ほーこ‼︎」
ポーラは何を思ったのか、俺達目掛けて飛び降りて来た‼︎
「危ない‼︎ポーラ‼︎」
「うぇへへへ…提督ぅ、ポーラからは逃げられませんよぉ…」
「うっ…」
ポーラはヨダレを垂らしながら、呉さんに一歩一歩近付いて行く…
「ポーラ‼︎」
「はひゃっ‼︎」
甲高い声でポーラは目が覚めた
ザラだ‼︎
「あ、ザラ姉様‼︎ポーラ、お酒は飲んでませんて」
「手に持っているのは何⁇」
「こっ‼︎これは”コンボー”ですて‼︎」
苦し紛れに言い訳をするが、余計ザラを怒らせる
「没収します‼︎」
「あっ‼︎あぁ…」
シュンとしたポーラ連れて、ザラはこちらに来た
「すみません…再三ご迷惑をお掛けして…」
「ポーラ悪い事はしてませんて‼︎」
「してなくても飲み過ぎ‼︎いい⁇お酒は一日一本まで‼︎一日何本飲んでるの⁇」
「え〜と…これ位⁇」
ポーラは両手の指を全部立てた
意外に小さくて可愛い指をしている
「このおてて、後何個追加⁇」
「二つですねぇ」
「二十本も開けてるのか⁉︎ど、どうやってその量…」
「う…」
ポーラの視線が、イェーガーの格納庫に向いた
「レイ、客人に頼むのは忍びないが…」
「探そう」
どうやらポーラは隠し場所の多いイェーガーの格納庫に酒を隠している様だ
小一時間決死の捜索を行った結果、ドラム缶が三本と、酒瓶が約200本程出て来た‼︎
「な…何だこの量は⁉︎」
「逆に称賛するぜ…」
「あぁ〜‼︎ポーラの秘蔵酒がぁ〜…」
まるで地獄にでも落ちた様な顔で酒を見つめるポーラ
「ポーラ、一日三本にしない⁇」
「…あ、はい‼︎ポーラ、一日三本にしますて‼︎」
「言っとくが”瓶”だぞ⁇」
「ポーラ飲まないと死にますて‼︎」
「ダメだ‼︎ポーラにはチョットお酒を節制して貰う。全く…よくこんだけ隠せたな。どうやって隠したんだ⁇」
「ポーラ、夜は得意ですて。夜にバーンて起きて、コソコソッと隠して、そんでまたベッドにボーンですて」
「はぁ…」
呉さんは頭を抑えた
「提督…ポーラの事、嫌いになりました⁇」
「嫌いじゃないよ。でもポーラ⁇飲み過ぎはよくないな⁇」
呉さんはポーラの小さな手を掴み、彼女の前で屈んだ
「ポーラ、飲み過ぎ⁇」
「そっ。だから明日からで良いから、お酒飲む時は誰かと飲む様にしような⁇」
「提督とか、隼鷹とか⁇」
「そっ。ポーラは物覚えは良い子だろ⁇ちゃんと覚えた⁇」
「…うんっ‼︎覚えましたて‼︎」
ポーラは黙っていたり、素直になると本当に可愛い
酒飲みが勿体無い位だ
「じゃあ、私はこれで帰ります。提督さん⁇またポーラが暴れたりしたらいつでも呼んで下さいね⁇」
「ありがとう、ザラ」
「いえいえ」
ザラは帰って行った
どうやら近くの海域で遠征をしていた途中だった様だ
「わーい‼︎」
気付けばイェーガーの前にはビニールプールが置かれていた
イェーガーはそこに水を入れ、子供達を遊ばせている
「人気者だな、イェーガーは」
「いつも子供達の面倒見てくれるから助かってるんだ」
どうやら最近のイェーガーはアトラクションになっているらしい
人を乗せればジェットコースターやフリーフォールになり
地上に降りれば即席のビニールプール位は作れる
そして、モニターでは映画を観れる
「あ、そうそう。忘れる所だった。これ、新しい艤装の設計図。どう使うかは呉さんに任せる」
「すまないな…助かる‼︎」
「じゃあ、俺達は帰るからな‼︎」
こうして、俺達は呉鎮守府を後にした