今回のお話は、とある艦娘が横須賀基地に現れ、レイ達を翻弄していきます
横須賀がきそを追い掛け回している
普段と変わらない日常だが、これでも大分落ち着いた位だ
「捕まえたわ‼︎」
「は☆な☆せ‼︎」
そんな二人を、姫が眺めている
「てぃーほう。抱っこされるのは良い物ですか⁇」
たいほうは姫の膝の上で折り紙をして遊んでいる
「すてぃんぐれいにおねがいしたらしてくれるよ」
「お願いしてみましょうか。よいしょ…」
たいほうを降ろし、俺の所に来た
「マーカス。抱っこして下さらない⁇」
「姫をか⁇」
「えぇ。武蔵がたいほうにしている様な抱っこがいいわ」
「うっ…」
姫はたまに抜けているのか、自分で言っているのが無理難題だと気付かない事がある
「あら、私が重たいとでも⁇」
姫の視線が痛い…
「い…行くぞ‼︎」
「さぁ、早く」
車椅子に座りながら手を伸ばす姫の脇に手を差し込み、一気に抱き上げる
「おっ…」
姫は意外に軽く、至る所が柔らかくて女の子独特の良い匂いがした
「…マーカス。今日は鹿島が教官として横須賀に行っていますよ⁇意味、分かりますね⁇」
「だ…ダメだ‼︎」
「私だって溜まるんですよ…ふふふ。てぃーほう‼︎」
「すてぃんぐれい、うぉーすぱいとは”よっきゅーふまん”なんだって。かしまいってた」
「た、隊長‼︎」
しかし、隊長は本日哨戒任務中である
「離しませんよ⁇さぁ、マーカス⁇ふふふふふ…」
数時間後…横須賀基地
「へぇ〜、変わってねぇなぁ‼︎」
レイがパニックになっている間、リュックを背負った女の子が横須賀に着いた
「あら⁇貴方は何処の子⁇」
横須賀が現れ、その子に話し掛ける
「おおっ‼︎若っけぇな‼︎」
「…何が望み⁇」
不思議な少女に対し、横須賀は手を腰に当て、ため息を吐いた
「ジェミニ・はアンタだな⁉︎コレを預かって来た‼︎」
少女はリュックから筒を出し、横須賀に渡して何処かに行った
「何で私の本名知ってるのよ…」
「さて、次は…おっ、いたいた‼︎」
「あらっ⁇貴方は誰ですか⁇」
「ほいよ。アンタにはコレだ‼︎」
少女はギザギザの歯を見せて、鹿島にハンカチを渡した
「アンタの旦那は泣き虫だからな。いつかこれで拭いてやるといいぜ‼︎じゃあな‼︎」
「あ‼︎ちょっと‼︎」
訳の分からないまま、鹿島の手元にはハンカチが残った
「よ〜し、あ‼︎あの人は‼︎」
「ふぅ…」
「よっ、隊長っ‼︎」
「おっ⁉︎新人か⁇」
「いんや、新人じゃない。隊長には…あったあった‼︎コレだ‼︎」
少女が手渡したのは何かの設計図
「一応横須賀⁇には別の設計図を渡してあるよ」
「俺は機械に弱くてな…マーカスって人に渡した方が…」
「いんや。隊長でいい。マーカスには別の設計図を渡すから…それに、マーカスなら必ず造ってくれるさ‼︎」
「…不思議な奴だな」
「じゃあ、私は隊長さんの基地に行くから、あっちでまた会おう‼︎じゃあな‼︎」
そう言い残し、少女は海上に立ち、猛スピードて水平線に消えて行った
「何だったんだ…」
「ふふふっ、久し振りに抱かれるのは良い気持ちですわね‼︎」
「すてぃんぐれいかぴかぴ」
食堂に戻ってすぐにソファで倒れた俺を、たいほうは人差し指で突く
「この基地には性豪がいすぎる‼︎」
「邪魔すんぜ‼︎」
「おっ、客だ客‼︎」
すぐに立ち上がり、客の元に向かう
「ほほっ‼︎変わらねぇなぁ‼︎」
「だ…誰だよ⁇」
「内緒だ。コレを届けに来た‼︎ホラよ‼︎」
ギザギザの歯を見せて、俺に設計図が入った筒を渡した
「これは…」
「アンタなら出来んだろ⁇」
「まぁ…出来ん事は無いが…こんなモン、どっから手に入れた⁇」
「アンタの部屋からさ‼︎おほっ‼︎武蔵さんもいる‼︎」
ギザギザの歯の少女は、基地に居た皆を見るなり驚くというより、見慣れた感じを醸し出していた
少女が皆を見て回る中、クイーンが帰って来た
「おかえり」
「鹿島も乗っけて来たぞ」
「ありがとうございます‼︎」
「隊長、早速で悪いけど、アイツ知ってる⁇」
俺の指差す方には、きそが作業している工廠を見て回るギザギザ歯の少女がいた
「さっき横須賀で会ったんだが…不思議な子でな、設計図をくれた」
「どれ…」
手渡された設計図を見ると、隊長の為の義足の設計図が出て来た
「オーケー。これは早急に必要だし、造れる。任せな‼︎」
「任せたぞ。で、あの子だ」
「ほへ〜…変わってないのな〜…」
少女は工廠を見て回り、時々何かに触れては感心している
「おい、ギザギザ丸‼︎」
「あ⁉︎失礼な奴だな‼︎誰がギザギザ丸だ‼︎」
「ギザギザしてっからギザギザ丸だっ‼︎お前何処から来た‼︎」
「いいのかなぁ〜⁇さっき姫を抱いちゃった事、鹿島に言っちゃうぞ〜⁇」
「おまっ、何でそれを‼︎」
「アタイは何でもお見通しなんだよ〜‼︎」
「くっ…とにかく、お前どっから来た⁇」
「え〜と…居住区⁇」
「居住区にこんな設計図書ける連中はいない」
俺は先程貰った設計図をギザギザ丸を見せた
その設計図には、現代では思い付かない兵装の設計工程が描かれていた
「しかも俺の部屋とか言ったなぁ⁇俺はあそこに住んでねぇぞ‼︎」
「う…」
「それに何だ⁇一丁前にドックタグなんか付けやがって…」
ドックタグを掴み、名前を見た瞬間、背筋が凍った
「…マーカス・スティングレイだと⁉︎」
「触るな‼︎こ、これは大事な奴なんだ‼︎」
「何でお前が…」
俺のドックタグを持っているという事は、パクッたとしか考えられない
だが首から下げているドックタグを見ると、同じ物がぶら下がっている
「お前…」
「…そうさ。未来から来たんだよ‼︎悪いか‼︎」
「どうやって…」
「それは内緒だ。まぁ⁇これは教えてやろう。アンタはアタイのお父さんだ‼︎」
「お前みたいなヤンチャが⁇ないない。俺の子なら母親に似てお淑やかなハズだ‼︎」
するとギザギザ丸は自分の頭を指差した
鹿島と同じ白髪だ…
「お母さんの血は継いでるんだよね〜‼︎残念だねぇ〜‼︎」
「くっ…」
確かに人のおちょくり方は似ているし、何せドックタグが良い証拠だ
未来の俺は引退して、御守り代わりにやったんだろう
ギザギザ丸はこれ以上話せないといい、最後に一つだけ聞いた
どうしても気になる事だ
見送る前に、二人は少しだけ港で腰を降ろした
「みんな、平和に暮らしてるのか⁇」
「暮らしてるぜ。み〜んな元気だ‼︎」
「そっかぁ…まっ、それなら安心だっ」
「でもな…あの子は知らない」
ギザギザ丸が指差したのは…
「未来でいないのか⁉︎」
「分からん。居住区に居ないだけかも知れない。他の奴等はみ〜んな平和だ‼︎」
「隊長は⁉︎」
「隊長さんも笑顔に溢れた生活を送ってる」
ますます分からなくなって来た
「じゃ、アタイは行くぜ。未来で逢おうな‼︎」
「おぅ。気を付け…消えた」
瞬きする間に、ギザギザ丸は消えてしまった
設計図と未来に”たいほう”が居ない謎だけが、俺に残った…
ギザギザ丸…未来のレイと鹿島の本当の子供
名前も教えてくれないので、レイが勝手に付けた名前
歯がギザギザしてて、レイに良く似ている
噴射式エンジンで移動したり、訳の分からない言動が多いが、未来から来たのはホント
この時代のみんなに設計図を届けに来ただけだが、真相が分かるのは何十年も先のお話
突然現れたのかも教えず、そのまま基地を去った
本人はもう出ないが、レイに持って来た設計図は物語の鍵を握る重要アイテム
因みに横須賀に渡した設計図の中身は惚れ薬。この場合はレシピ⁇
パパは義足の設計図