今回のお話は名機が沢山出てきます
その中の一機に魅入ったレイは一体何を見ていたのか…
アイツも出てくるよ‼︎
哨戒飛行中、謎の小島を見付けた
何故か滑走路があり、気になった俺は降りて見る事にした
「横須賀基地、聞こえるか⁇」
《なぁに⁇敵でも出た⁇》
「いや、地図に載ってない小島を見付けた」
《どの辺り⁇》
「単冠湾の南西200kmの地点だ。座標をフィリップから送る」
数分後、横須賀から返答が来た
《オーケー、登録したわ》
「少し探索してみる」
《気を付けなさいよ。謎の原住民とかいるかも知れないわ》
《スキャンかけたけど、生体反応は動物ばっかりだよ⁉︎》
「だと」
《じゃあ、行ってらっしゃいな》
俺はきそと共に、島を探索し始めた
「凄いなぁ〜…草ボーボーだぁ…」
「ナイフがなきゃ…一苦労だぜっ‼︎」
滑走路付近には無かったが、建物の中は草が生い茂っていた
だが、人がいた痕跡は何処と無くあった
「何これ‼︎超☆古い無線とレーダーだ‼︎」
建物の中にはレーダーや無線が乱雑に置いてあり、どうも逃げて出た様な跡が目立つ
「触るなよ‼︎爆発するかも知れんぞ‼︎」
「ビリビリ来る⁇」
「分からん。通電してるかも知れない」
「んっ」
きそは素直に電子機器から離れた
電気が通ってるハズなんかないが、万が一の為だ
「これは⁇」
机の上に置かれてあった資料を見ると、レシプロ機の写真があった
「おいおい…ここは70年前の戦争の跡地だってのか…」
コルセア…
ヘルキャット…
ドーントレス…
ワイルドキャット…
当時の日本の敵であるアメリカの機体ばかりだ
資料は日本語で書かれてあるので、日本の資料で間違い無いようだ
周りをよく見ると、至る所に日本語が散らばっている
「陸軍の基地か…」
「レイ、ダイナモがあるよ‼︎」
「つけてくれ‼︎」
きそがダイナモを起動すると、施設に電気が通った
「わぁ‼︎無線付いたよ‼︎」
《レイ、きそちゃん、聞こえる⁉︎》
ボロボロの無線から聞こえて来たのは横須賀の声だ
きそは椅子に乗り、無線機に目線を合わせた
《そこは太平洋戦争時に何か特殊な兵器の秘密工場だった場所らしいわ》
「あぁ、それは何と無く分かった。アメリカのレシプロ機の資料があるからな」
《色々資料持って帰って欲しいんだけど…出来る⁇》
「オーケー。また後でな」
《気を付けて帰って来なさいよ⁉︎いいわね⁉︎》
「はいは〜い‼︎プチッと‼︎」
きそは無線を切り、小走りで施設から出た
「レイは資料集めてて〜‼︎僕はトンネル探検してくる〜‼︎」
「オーケー‼︎何かあったら無線で知らせろよ‼︎」
きそは滑走路と繋がっているトンネルの中に入り、俺は資料を探し始めた
烈風…
流星…
月光…
彗星…
秋水…
旧日本軍時代の色々な機体の資料が出て来る
そんな中、一つの資料に目が行った
「Me 262…火龍…」
太平洋戦争末期に何機か配備されたが、そのまま終戦を迎えた不遇のジェットエンジンの機体だ
その資料が何故こんな所に…
その疑問はすぐに解けた
一つの資料を手に取った時、ようやく気付いた…
「なるほど…そう言うこ…」
一人で感心していると、表でパタパタと足音が聞こえた
「レイ〜‼︎ちょちょ、ちょっと来て‼︎」
きそが慌てた様子で戻って来た
「どうした⁇蛇でも出たか⁇」
「蛇どころの騒ぎじゃないよぉ‼︎何か凄い機体を見つけたんだ‼︎」
「機体〜⁇」
きそに案内され、トンネルの中に入る
幾つも重圧そうな扉があり、鍵穴からギリギリ中が見えた
「ホラ、ここから見えるでしょ⁇」
「…雷撃機だ。ソードフィッシュが何で…」
「しかもボロボロだよ⁉︎」
鍵穴から見えた機体はボロボロだった
恐らく墜落か事故を起こした機体を鹵獲したんだろう
他の扉も鍵穴から覗くが、どれもボロボロの機体がそこで朽ちるのを待っているだけだった…
「名機ばかりだな…」
「どれか残ってると良いんだけど…」
「こいつが最後か。しかしまぁ…」
最後の扉は、異常なまでに頑丈に、厚く備えられていた
「じゃん‼︎」
きそはポーチから筒の様な物を出した
「こいつでドカンだよ‼︎ライター貸して‼︎」
きそにライターを貸すと、導火線に火を点け、扉の近くに置き、一気に離れた
物陰に隠れて数秒後、爆発音と共に溜まっていた埃やチリが舞う
「ドア開いたね‼︎」
「入ろう」
扉だけ綺麗に外れ、中に鎮座していた機体が、風化して落ちた屋根からの光を浴びていた
「嘘だろ…」
「この機体、プロペラが後ろに付いてるよ‼︎変な機体だね‼︎」
「まさか…生きてる内に見れるとは…」
まるで俺達を待っていたかの様に、その機体は悠々とした態度でそこにいた
他のレシプロ機と比べても異形のボディ…
プロペラが後ろに付き、それまで主翼にしか取り付けられなかった機銃を、機首に取り付ける事が可能になった…
当時の技術をふんだんに詰め込んだ、不遇の名機…
「し…震電だ…」
「レイ、知ってるの⁇」
「あぁ。世に出てれば最強の戦闘機だったからな」
「ほへぇ〜…」
きそは不思議そうに震電を魅入る
流石に埃とかは積もっていたが、70年経った今でも形を変えず、朽ちる事なくここで眠っていたのだ
「動くかなぁ…」
「動く。資料を手に入れたからな‼︎」
「ようし‼︎ならやるだけの事はやってみようよ‼︎」
「やろう‼︎」
きそと共に基地にある使えそうな機材を運び、修復作業が始まった
とは言え、ダメな部分は少ししかなかった
それ程完璧な状態で保管されていたのだ
「エンジンと燃料だけダメだ…ガソリンでエンジンコテコテだよぉ…」
「エンジン…そうだ‼︎」
ふと別の格納庫に目が行った
「きそ。この基地には確か火龍が眠ってたな」
「うん。ドアの所に”火龍”って書いてあったよ」
「火龍のエンジンを見よう。使えそうならパクる」
「オッケー‼︎あの状態ならもう飛べないもんね…」
きそが再びダイナマイトで火龍のある扉を吹き飛ばし、中に入った
「生きてるよ‼︎これなら使える‼︎」
「よしっ‼︎」
エンジンは確保出来た
エンジンを台車に乗せ、震電の所に戻って来た
問題は燃料だ
「サラダ油ならあるよ‼︎」
きそはポーチから小さなサラダ油の容器を出した
「何でんなモン持ってるんだよ‼︎」
「何かあった時用⁇」
「…バカッ。その量じゃどの道動かん。そうだな…」
「なら、フィリップの燃料半分使う⁇」
「う〜ん…途中で落ちたら嫌だしな…」
「なら近場の単冠湾まで飛んで、そこで補給してから横須賀に行く⁇それなら大丈夫だよ、きっと‼︎」
「…そうするか‼︎」
「じゃあ、ちょっと持って来るね‼︎」
きそがフィリップに向かうのを見て、何度も考えた事を再び考えた
恐らく動く事は動く
問題は燃費だ
馬鹿食いの機体ならヤバい
資料にも
”ム求良改。シ悪費燃干若”
とも書いてあった
「持って来たよ‼︎」
きそは震電に燃料を入れ、入れ終わると蓋を閉め、操縦席に座った
「レイ、操縦分からないでしょ⁇」
「資料の中に説明書みたいのがあった」
「操縦は大体一緒。日本語で書いてあるか英語かの違いだよ。ホラ」
速加
速減
昇上
降下
門火
大まかなのはこれ位だ
「じゃあ、僕はフィリップに乗って単冠湾まで案内するよ」
「レーダー付いてるから場所位分かるさ」
「付けたら分かるよ」
きそに言われ、レーダーを起動してみた
付かない
「ハリボテかよ‼︎」
「お金無かったんでしょ⁇じゃあレイ、上で待ってるからね‼︎」
「置いてくなよ‼︎」
きそを見送り、資料を紐でまとめた物を持ち、風防を閉めた
今のキャノピーと違い、ビスだけで留めてあるだけなので、若干不安要素が残る
《レイ、無線は使えるから、僕を見失っちゃったら連絡して⁇すぐ迎えに行く‼︎》
「オッケー。行くぞっ‼︎」
震電はご機嫌にエンジンを吹いた
初期加速も何ら問題無い
震電は一番居たかった場所へ、70年経った今、ようやく還って来た
「よーし良い子だ。問題無いぞ‼︎」
《じき単冠湾に着くから、もうちょい頑張ってね‼︎》
数十分後、単冠湾に着陸
野郎共が異形の戦闘機にガヤガヤしている
降りた瞬間、その辺に居た野郎共が一歩下がる
「な…何だレイさんか…」
「ビビらせないでくれよ〜」
「レイさん⁉︎この機体は⁉︎」
ワンコが来て、事情を説明する
「でだ。燃料が無いんだ。入れてくれないか⁇」
「えぇ‼︎勿論です‼︎」
「あれ、榛名さんは⁇」
いつもならハンマー片手にやって来る榛名が居ない
「ごめんねきそちゃん。榛名はさっき東京急行から帰って来たばかりで寝てるんだ」
「起きてるダズル」
「うわぁ‼︎」
ワンコの背後で腕を組んでいる榛名が居た
「榛名さん‼︎」
「きそ。よく来たダズルな‼︎」
きそは榛名に抱き着き、久し振りの再会を楽しむ
「きそはホントに榛名に懐いてるな…」
「きそちゃん位ですからね。対等に話してくれる艦娘は…」
そう言うワンコの目は、過去の目と違い、男の目になっていた
補給が終わるまで俺達はワンコの執務室にお邪魔する事にした
「んんんんんんんん〜〜〜〜〜………」
「気持ちいい⁇」
「気持ちいいダズルルルルル…」
榛名は相変わらずお気に入りのマッサージチェアーに座り、その隣できそは榛名を嬉しそうに眺めていた
「しかしまぁ、震電が現存していたとは…」
「ししし震電とは何ダズルルルルル」
マッサージチェアーの振動で震え声の榛名が話に入って来た
「昔の機体さ。背後にプロペラが付いてる特殊な戦闘機なんだ」
「ウチは航空戦はレイやラバウルに頼りっぱなしダズルルル。いつもすまんな」
「お前から感謝の言葉を聞けるとはなぁ…」
「何ダズル。罵声が良いダズルか⁉︎」
そう言いつつも、榛名は目を閉じてご満悦だ
「レイさん。補給完了しました‼︎」
「んっ。サンキュー。あ、そうだ。誰かパイロット経験者はいるか⁇」
「補給に当たった野郎共と妖精の数名が、元パイロットです」
窓の外を見ると、震電の周りに二、三人固まっているのが見えた
「分かった。ワンコ、そいつらリストに上げて、横須賀に渡せるか⁇」
「はい‼︎早急に‼︎」
「んじゃまたな‼︎」
「気を付けるダズルよ⁇」
「へ〜へ〜…」
「貴様に言ってないダズル‼︎きそに言ってるんダズル‼︎」
「くっ…」
「じゃあ行って来るね‼︎榛名さん‼︎」
「レイに何かされたらすぐに言うダズルよ〜‼︎」
ワンコと榛名に別れを告げ、俺達はそれぞれの機体に乗り込んだ
野郎達の見送りを受け、横須賀へと飛び立った