艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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題名は変わりますが、話は続いてますよ


110話 僕の好きな背中

隊長達が食堂に戻った後、レイは一人工廠の机で書類を眺めていた

 

そんなレイの後ろに、僕は立っていた

 

「レイ」

 

僕が呼ぶと、レイは机に書類を投げた

 

「はは…お前を察知出来ないとは。俺も落ちたもんだな」

 

レイはいつも通り、左手で後頭部を掻いた

 

「レイ、今日テンション低いね」

 

「たまにはセンチになってもいいだ…」

 

僕はすかさず後頭部を掻いた手を取った

 

「指輪、どうしたの⁇」

 

「あ…」

 

僕が気付いたのは、レイの左手薬指からケッコン指輪が消えていた事だ

 

「鹿島と喧嘩した⁇」

 

「してないさ。どう考えてもおしどり夫婦だろ⁉︎」

 

「じゃあ何で泣いてるのさ」

 

知らず知らずの内に、レイの頬から涙が落ちていた

 

その原因は、机の上の書類にあった

 

察した僕は書類を手に取り読み始めた

 

「これホントなの⁇」

 

「ホントじゃなかったらこうなってない」

 

「わぁ…」

 

「明日、大湊に向かう」

 

「待って」

 

食堂に向かおうとしたレイを、僕は書類を持った逆の手で俺の服の裾を掴んで止めた

 

「レイはホントにいいの⁇」

 

「俺が決める事じゃない」

 

「僕、連れて行かないよ⁇」

 

「好きにしろ。別機で行く」

 

レイは僕の制止を振り払い、食堂に向かった

 

「レイ…」

 

レイが僕にこんな態度をするのは初めてだった

 

それ程まで、彼は悩んでいた

 

食堂に戻ったら、レイは普通のレイに戻っていた

 

あくまで勘付かれない気でいる

 

「ほらたいほう、こっち向いてみ⁇」

 

たいほうの口を拭いたり、霞の食事を小さくしたりといつも通りだ

 

「レイ、私がしますよ⁇」

 

「んっ、頼んだ」

 

見ていて痛々しかった

 

あぁ、レイは全部を背負って、これからも生きて行くんだと思った

 

食事を終えると、レイはいつも通り港で座って一服し始めた

 

僕はその時を見計らい、もう一度レイに近付いた

 

「レイ」

 

「んっ」

 

やはり浮かない顔をしている

 

「全部…背負って生きるんだね…」

 

「仕方無いさ。これが宿命なんだろ⁇」

 

レイはずっと下を向いたまま、僕の方を見なかった

 

「…やっぱりレイは凄いや‼︎」

 

「…」

 

「僕はもう充分だと思うなぁ〜‼︎」

 

「きそ…」

 

「いいよ。明日連れてってあげる。ちょっと来て‼︎」

 

僕はレイの手を引いて、工廠の中に入った

 

シャッターも扉も全部閉め、念の為にフィリップの中に入った

 

「どうしたんだ⁇」

 

「これ」

 

僕はレイに手紙と便箋を渡した

 

レイは迷わずにそれを手にした

 

「何も言わなくて良いよ。僕だけは、レイの味方でいるから…」

 

「…すまん」

 

「んっ…」

 

僕はレイの頭を撫でた

 

ぎこちない笑顔だけど、レイは笑ってくれた

 

「今日はここで寝よっか⁉︎」

 

「…おぅっ‼︎たまにはいいな‼︎」

 

涙を拭いたレイは、少しだけいつものレイに戻った…

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