艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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遅れてしまいすみません

本当はハロウィン当日に貼ろうと思っていましたが、予期せぬ事態の為貼れませんでした

…は、ハロウィンの余興としてお楽しみ頂けたら幸いです


ハロウィン特別企画 お菓子くれなきゃ⁇(2)

その頃、俺達は…

 

「とりっくおあとりーと‼︎」

 

「てぃーほう。今日はおめかししてるのね」

 

「たいほうまじょなんだよ‼︎」

 

グラーフが作ったコスプレを子供達が着て、小さいながらもハロウィンを満喫していた

 

「なんで俺達まで…」

 

「いいじゃないか。楽しまなきゃ損だぞ⁇」

 

「そう言われるとそれまでだけどな…」

 

俺達二人はドラキュラのコスプレを着させられ、子供達にお菓子を配っていた

 

「うはは‼︎レイ、ドラキュラの格好してる‼︎」

 

俺の格好を見て笑うきそは、狼のコスプレをしている

 

中途半端に可愛い

 

「ねぇレイ。狼ってどう鳴くの⁇やっぱりガォー、なのかな⁇」

 

「ガルルルーだ」

 

「オッケー。ガルル〜‼︎お菓子くれガル〜‼︎」

 

「ホラよ」

 

きその頭にチョコレートバーを置いた

 

「ありがと〜‼︎僕からはコレ‼︎」

 

きそは持っていたカゴからポン菓子を取り出した

 

「サンキュー」

 

「マーカス君、お嫁さんから電話よ」

 

貴子さんから電話を受け取ると、電話の向こうからすすり泣く声が聞こえて来た

 

「なんだ、またオネショしたのか⁇」

 

《違うわ。照月ちゃんが…》

 

 

 

 

 

「次はここだね‼︎」

 

照月は単冠湾に降り立った

 

「ここはハンマーの榛名さんがいるから、気を付けないと、だね」

 

「珍しいマイクな‼︎」

 

出迎えてくれたのは霧島だ

 

この基地では比較的良識派の人だ

 

「ワンコさんは〜⁇」

 

「提督なら工廠にいるマイクよ」

 

「ありがと〜」

 

照月は長10cm砲ちゃんを引き連れ、工廠に入った

 

「わぁ〜っ…‼︎」

 

工廠の中には、基地とは違い、色んなハンマーが置かれていた

 

最近榛名が気に入っているチェインソーもある

 

「お、珍しいね。どうしたの⁇」

 

前屈みになったワンコに対し、照月は言った

 

「トリックオアダイ」

 

「トリックオアダイ…えと、つまり、僕は死ぬのかな⁇」

 

「お菓子くれなきゃ、照月、どし〜ん‼︎するよ‼︎」

 

「そ、それは参ったなぁ…」

 

ワンコは頭をポリポリ掻くが、反応が薄い

 

彼は普段から致命傷のダメージを榛名から与えられ続けている為、反応が鈍っているのだ‼︎

 

「照月ダズル」

 

タイミングよく榛名が来た

 

「あっ‼︎榛名さん‼︎トリックオアダ」

 

「ホレ」

 

まるで分かっていたかの様に、榛名は照月にお菓子の詰め合わせを渡した

 

「今日は世間一般ではハロウィンダズル。照月もお菓子食べたいんダズルな⁇」

 

「うんっ‼︎」

 

「榛名はいっぱい食べる子好きダズル‼︎」

 

「照月もコレ、あげるね‼︎」

 

「ありがとう。美味しく頂くダズル」

 

「ばいば〜い‼︎」

 

単冠湾は早く終わった

 

「榛名、良く分かったね⁇」

 

「さっき横須賀から連絡があったんダズル。照月が”お菓子寄越さなきゃ、ぶっ殺す”と言い回ってると言ってたダズル」

 

「人は見掛けによらないなぁ…榛名と一緒だ」

 

「あ⁇もういっぺん言うダズル‼︎」

 

「い、いや‼︎悪かった‼︎悪かったから、チェインソーのスイッチ切って‼︎」

 

 

 

 

 

「後二箇所だよぉ〜。イカさん、次はここ‼︎」

 

照月は地図上の一箇所に指をさした

 

「お任せあれ」

 

イカさんは疲労を通り越し、既に肉体と精神を切り離した状態で運転をしていた

 

「さぁっ‼︎着いた‼︎あれ⁇貴方はだぁれ⁇」

 

一人の少女が出迎えてくれた

 

照月と良く似た、動く砲を傍らに置いている

 

「私は天津風。てんしんふうじゃないわ」

 

「照月、天津飯は好きだよ⁇」

 

「あまつよ。提督は今、厨房にいるわ」

 

「分かった‼︎ありがとう、あまつふうちゃん‼︎」

 

「あまつかぜよ‼︎」

 

天津風に言われた通り厨房に行くと、トラックさんが料理を作っていた

 

「提督〜、この紐解いてくれないんですかぁ〜⁇」

 

「ダメだ‼︎蒼龍には人以外の肉の味を覚えて貰う‼︎」

 

食堂では、ロープでグルグル巻きになった蒼龍が、床でゴロゴロしながらトラックさんの料理を待っていた

 

「おや照月ちゃん‼︎照月ちゃんも一緒に食べるかい⁇」

 

「トリックオアダイ」

 

「ようし分かった‼︎今美味しいの作ってあげるからね‼︎」

 

「うんっ‼︎」

 

火が上がる厨房を見ながら照月は、ゴロゴロする蒼龍の横でチョコンと座って待った

 

「照月ちゃん、これ解いてくれたら、も〜っと美味しいの食べさせてあげますよぉ〜⁇」

 

「もっと美味しいの⁇照月も食べたい‼︎」

 

「いかん‼︎照月ちゃん‼︎人に戻れなくなる‼︎ビフテキがもう出来る‼︎頼む‼︎もう少しだけ辛抱してくれ‼︎」

 

「うんっ、分かった‼︎照月、辛抱するよ⁇」

 

「いい子だっ‼︎」

 

3分後、トラックさんは何とか照月にビフテキを出す事が出来た

 

「提督〜。これじゃあ食べられませんよぉ〜⁇」

 

「蒼龍は私が食べさせる」

 

「美味しかったぁ〜‼︎」

 

照月は一口でビフテキを平らげ、付け合せのポテトやブロッコリーも、既に胃に落ちていた

 

「美味しかったかい⁇」

 

「うんっ‼︎照月分かるよ。神戸のお肉だよね。子牛のステーキ‼︎」

 

「素晴らしい…大正解だ‼︎」

 

「人間の…モガッ‼︎熱い熱い‼︎」

 

蒼龍が何か言いかけたが、トラックさんが熱々のビフテキを口に突っ込んだ為、それは封じられた

 

「どうだ蒼龍‼︎牛肉の方が美味いだろう‼︎」

 

「味はどっこいどっこいですねぇ…食感は人げ…アチアチアチ‼︎」

 

「これが終わったら、次は豚肉だ‼︎」

 

「わぁ〜…大変そう。照月、ドロンするね」

 

「すまないなぁ…今度、美味しいケーキ、みんなに作ってあげるから、それで許してくれ」

 

「うんっ‼︎楽しみにしてるね‼︎」

 

流石の照月にも状況を読めた様で、きゃんでぃの袋を机の上に置いて、トラック基地を後にした

 

 

 

 

 

 

照月がトラック基地から出る少し前…

 

スカイラグーンでは…

 

「多方面で照月による恐喝被害が確認された」

 

隊長と横須賀、そして俺のたった三人だが、一応は対策本部だ

 

「被害報告は横須賀、呉、単冠湾、トラック、そして一般人にも多少だが被害が出ている」

 

「タウイタウイでも被害報告だ。食料庫のサツマイモを強奪したそうだ」

 

「大湊では、空母の一ヶ月分の食料をほぼ壊滅に追い込んだと報告があったわ」

 

「ったく…」

 

「おイ。電報だ」

 

潮から受け取った電報には、最悪の事態が書かれていた

 

”マイヅル ショウテンガイ カイメツ

 

ゼンテンポ ヘイテン”

 

「おおおおごごご…」

 

被害報告を聞き、倒れそうになる

 

「2まイ目だ」

 

”テルヅキ トリックオアダイ コワイ

 

タスケテ ダレカ”

 

どうやら好戦派の基地にも出向き、食料を食い荒らしたり、強奪している様だ

 

「あ…後、被害が行ってないのは何処だ…」

 

「ラバウルだけだ」

 

「ラバウルか…」

 

照月がラバウルをラストに回すのには、何か理由がありそうだ

 

「ラバウルに防衛線、及び事情聴取を行う‼︎これ以上被害を出す訳にはいかん‼︎」

 

 

 

 

 

一方‼︎

 

その頃照月は‼︎

 

「空母だって‼︎凄いね‼︎」

 

空母の甲板の先に座り、照月は口を開けて水平線を眺めていた

 

数分前…

 

「あらっ、照月ちゃん‼︎」

 

「鹿島さんだ‼︎」

 

照月は大湊に来ていた

 

「鹿島、知り合いかい⁇」

 

「えぇ。レイの所の子です」

 

「照月も知ってる‼︎レイとリコンした人‼︎」

 

「あぐっ…」

 

冷や汗を流し、引きつった笑顔を見せる鹿島を横目に、照月は棚町さんに言った

 

「トリックオアダイ」

 

今回は長10cm砲ちゃんが銃口を向けている

 

「の…望みはなんだ…」

 

「お菓子ちょ〜だい‼︎」

 

「わ、分かった。頼むから銃口を降ろしてくれ…」

 

が、二人の長10cm砲ちゃんは銃口を降ろさず、何かジェスチャーで伝えていた

 

それに気付いた照月は二人の気持ちを翻訳した

 

「そっかぁ〜‼︎深海さんの所に行ってないね‼︎ハネっぽはダメだよね‼︎」

 

「わ、分かった…軽空母を出そう…それでいいか⁇」

 

「うんっ‼︎」

 

棚町さんはすぐに無線で連絡を入れた

 

「棚町だ。ガンビア・ベイⅡを深海中枢に向けて出す。深海中枢には私が伝える。至急、出港準備を」

 

「ガンビア・ベイⅡ⁇」

 

照月は不思議そうに外を眺めた

 

「昔の空母を元に造った空母です。タイコンデロ・改だってそうなんですよ⁇」

 

鹿島の説明を聞きつつ、執務室がある建物に一番近い海に停泊した、ガンビア・ベイⅡ

 

「棚町です。今から軽空母を其方に向かわせます。ははは、トリックオアトリート、ですよ」

 

どうやら向こうからも許可が降りた様だ

 

棚町さんと共に外に出て、照月は何の恐怖も感じない様な歩き方でガンビア・ベイⅡに乗ろうとした

 

「待ちなさい」

 

「ん⁇」

 

棚町さんは照月を引き止め、膝を曲げて照月と視線を合わせた

 

「照月ちゃん。頼んだよ。君は大切な任務を遂行する事になった…いや、なってしまった」

 

「大丈夫‼︎照月、トリックオアダイするだけだよ‼︎」

 

「うん。トリックオアダイして来てくれ‼︎」

 

棚町さんは照月の頭を撫で、照月をガンビア・ベイⅡへと乗せた

 

「船長さん、今の内に横須賀へお帰り下さい」

 

「あ…有り難き幸せ…」

 

鹿島の一言で、イカさんはようやく解放された

 

 

 

そして、現在に至る

 

「見えて来たね〜」

 

照月は呑気に構えているが、一応は敵の本丸だ

 

「よいしょっと‼︎こんにちはー‼︎」

 

「イラッシャイ♡」

 

迎えに来てくれた中枢棲姫に向かって、開口一番に照月は言った

 

「トリックオアダイ‼︎」

 

「トリックオアダイ‼︎」

 

中枢棲姫の掛け声と共に、戦艦棲姫と重巡棲姫、そして大量の駆逐艦やその他諸々が集まって来た

 

皆それぞれ、手にお菓子を手にしている

 

「照月もあるよ‼︎見て‼︎」

 

ガンビア・ベイⅡの中から、大量のお菓子がこれでもかと出て来た

 

「オォー‼︎」

 

深海側から歓声が上がる

 

実はコレ、照月が各地を回って集めて来たお菓子の数々である

 

照月はここで皆に配る為、必死にお菓子を集めていたのである

 

 

 

 

ハロウィンの数日前…学校に行った時、深海の子達はハロウィンやお祭り事を知らないと言っていたのを、照月は聞いていた

 

何よりも食べる事が好きな照月は、深海の子達にもハロウィンを楽しんで欲しかったのだ

 

大湊に行った時、長10cm砲ちゃんが棚町さん脅したのも計画の内だったりする…

 

 

 

「いっぱい食べてね‼︎」

 

「アリガトウ♡」

 

照月は深海の子達から大量のお菓子を貰い、そして大量のお菓子を皆に配った

 

中枢棲姫は後に語る

 

ホントウニ、イイナカマヲモッタ…ト

 

 

 

 

 

 

夕日が落ちて来た頃…

 

ラバウルでは、ラバウルさんとの練習を終えたきそも混ざり、四人が照月を待っていた

 

しかし何故かきそはソワソワしている

 

「Sorry…まさかこんな事になるなんて…」

 

事の発端はアイちゃんだった

 

照月ときそを連れて、アイちゃんの検診に行った時、きそはラバウルさんにフェンシングを習いに、照月は検診が終わったアイちゃんと話していた

 

その時照月はハロウィンの話と計画を話していた

 

「IOWA、Candyなら作れるよ⁇」

 

「照月にきゃんでぃの作り方教えて‼︎」

 

アイちゃんは照月にミルクキャンディーのレシピを渡し、照月はそれを基地でハロウィンの前日の夜から大量に作って、早朝には出掛けていたのだ

 

「照月は良い子だな…」

 

「俺達が決め付けてたんだよ…照月は食いしん坊だって」

 

「まぁいいじゃない。説明したらみんな一応は納得してくれたし、これでまた少し、深海の子達とも仲良くなれたわ⁇」

 

「お兄ちゃ〜〜〜ん‼︎」

 

ガンビア・ベイⅡの甲板から手を振る照月が見えた

 

数分後、照月はラバウルに降り立ち、いの一番に俺に抱き着いた

 

「あばらんちっ‼︎」

 

背骨の折れる音がした

 

「た…楽しかったか⁇」

 

「うんっ‼︎みんな喜んでたよ‼︎」

 

「照月、トリックオア⁇」

 

「ダイ‼︎」

 

「誰に聞いたんだ⁇」

 

「きそちゃん‼︎」

 

「き〜そ〜…」

 

「あ、あははは…」

 

「…まぁいい。照月⁇ハロウィンはトリックオア”トリート”だ。言ってごらん⁇」

 

「トリックオアトリート‼︎」

 

「そっ。来年からはそう言ってお菓子貰おうな⁇」

 

「うんっ‼︎」

 

 

 

 

こうして、大パニックハロウィンは幕を閉じた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「商店街…潰れちゃう…」

 

「台風みたいな乙女だったな…」

 

「ホンット、良く食べる子なんだから…」

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