艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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116話 PとT〜反撃のT編〜

「はぁ…」

 

「おいしくない⁇」

 

「ポーラ、最近お酒飲んでないですて…」

 

「そのおさけ、すてぃんぐれいのおさけなの。ぼじょなんとかだって」

 

「おぉ…毎年味が変わるお酒ですて」

 

「…」

 

たいほうはグレープジュースを飲み干し、湯船から出た

 

「ぽーら‼︎たいほうとくれさんのところいこう⁇」

 

「たいほうちゃん…一緒に行ってくれるんですか⁇」

 

「いくよ‼︎たいほうといっしょなら、くれにかえれる⁇」

 

「…ありがとう」

 

この時、ポーラは気付いていなかった

 

たいほうがかなり怒っている事を…

 

 

 

 

脱衣所に戻って来ると”ポーラ”と書かれた紙の下に、着替えが置いてあった

 

「たいほう、ちょっとじゅんびしてくるね」

 

「ん」

 

たいほうを見送ると、ポーラは着替えを始めた

 

「ブカブカですて」

 

ポーラは意外に小さく、隊長の替えのシャツを着るとブカブカだった

 

食堂に戻ると、ソファに座っていたパパの横に座った

 

「似合ってるじゃないか」

 

「ニッポンの男子は”モエソ〜デ”が好きと聞きましたて」

 

「良く知ってるじゃないか」

 

ポーラはニコッと笑うと、テレビを見始めた

 

「よしっ‼︎ぽーら‼︎じゅんびできたよ‼︎」

 

何故かたいほうもブカブカの服を着ている

 

「たいほうちゃん。隊長さん、この服、借りてもいいですか⁇お洗濯して返しますて」

 

「ん。いいよ。もう帰るのか⁇」

 

「たいほうちゃんと帰りますて」

 

「そっか。たいほう、帰りは迎えに行ってあげるから、お電話するんだよ⁇」

 

「わかった‼︎」

 

たいほうとポーラは、呉に向かう為、基地を出た

 

 

 

「行っちまったな…」

 

「大丈夫かなぁ…」

 

俺ときそは、工廠から二人の様子を眺めていた

 

「大丈夫ですよ」

 

「姫⁇」

 

車椅子を自分で押しながら、裏口からWarspiteが来た

 

「てぃーほうには、特別な武器を渡してあります」

 

 

 

 

「…」

 

「何読んでるですて」

 

たいほうは海の上を走りながら、何かを見ていた

 

「ぽーら、これあげる‼︎」

 

たいほうはポシェットからキャラメルを出し、ポーラに渡した

 

「あまいものは、おちつくのにいいって、すてぃんぐれいいってた‼︎」

 

「ありがと…キャラメルは久し振りですて」

 

ポーラがキャラメルを口に放り込むのを見て、たいほうは微笑んだ

 

「みえてきたよ‼︎」

 

呉鎮守府が見えて来た

 

ポーラは不安を残したまま、執務室へと向かう

 

「あ…」

 

「ぽーら⁇」

 

不安に駆られたのか、ポーラは足を止め、その場にうずくまってしまった

 

「提督に冷たくされたら、ポーラ、耐えられないかも知れませんて…」

 

「だいじょうぶ。たいほう、さくせんがあるの」

 

「作戦ですか⁇」

 

「うんっ‼︎いこう‼︎」

 

たいほうはポーラの手を引き、執務室をノックした

 

「ただいま…」

 

「ポーラか。おかえり」

 

「て、提督‼︎ポーラ、一人で大佐の基地に行けましたて‼︎」

 

「そっか」

 

忙しいのか、呉さんはそっけない態度を取った

 

「くれさん」

 

ポーラの横にいたたいほうに気付き、呉さんは仕事を止め、たいほうの前に屈んだ

 

「たいほうちゃん⁉︎久し振りだね‼︎ポーラ連れて来てくれたのかい⁉︎」

 

「あのね。たいほう、くれさんにおはなしがあるの」

 

「なんだい⁇」

 

「あのね…んしょ」

 

たいほうはポシェットから何かを取り出した

 

「そ…それはなんだい…」

 

「これはうぉーすぱいとからもらった”せーなるばくだん”だよ」

 

「ばっ爆弾⁉︎」

 

それは、たいほうとポーラが基地を発つ少し前…

 

 

 

「きそ‼︎」

 

「たいほうちゃん⁇どっか行くの」

 

たいほうは工廠できそを引き止めた

 

「てぃーばくだんちょうだい‼︎」

 

「だっ、ダメだよ⁉︎アレは危ない爆弾なんだ‼︎」

 

「てぃーばくだんいるの」

 

「う…う〜ん…」

 

流石のきそでも、たいほうにT-爆弾を手渡すのは気が引けた

 

「何に使うんだ⁇」

 

そこにレイが来て、たいほうの前に屈んだ

 

「くれさんにぽいするの。ぽーら、くれさんがつめたいから、ないてるんだよ⁇」

 

「お〜お〜‼︎たいほうも一発かましたい年頃か⁇」

 

「いっぱつかます。たいほうおこってるの」

 

「けどなたいほう…たいほうが使うのにはまだ早いな。ホントに危ない爆弾なんだ」

 

「わかった…」

 

たいほうはトボトボと工廠を後にした

 

「てぃーほう」

 

工廠の裏でWarspiteが手招きしていた

 

「爆弾が欲しいのですか⁇」

 

Warspitの膝には宝箱が乗っている

 

たいほうは爆弾より、そっちの方が気になっていた

 

「ばくだんほしい。くれさんにぽいするの」

 

「では、これをあげましょう」

 

Warspiteはたいほうに上着を着せ、持っていた宝箱を開けた

 

「わぁ‼︎ばくだんいっぱい‼︎」

 

「これは”聖なる爆弾”です。説明書もあげましょう」

 

海上でたいほうが読んでいたのは、この聖なる爆弾の取り扱い説明書だ

 

「これ、ひとしなない⁇」

 

「死にませんよ。ビックリさせるだけです」

 

「ありがとう‼︎頑張ってくるね‼︎」

 

Warspiteはヒラヒラと手を振り、意気揚々と海原に出た二人を見送った

 

「ただの倦怠期とは思いますが…」

 

 

 

 

「たいほうのいうこときかないと、この”せーなるぴん”ぬくよ」

 

たいほうは聖なる爆弾に手をかけ、呉さんにジリジリと歩み寄った

 

「わ…分かった‼︎分かったから‼︎それっ‼︎」

 

呉さんは隙を見て、たいほうから聖なる爆弾を取り上げた

 

「こんなモノ持ってたら危な…」

 

たいほうは上着を広げ、呉さんを睨んでいる

 

上着の下にはなんと大量の聖なる爆弾が備えられていた

 

「ぜんぶばくはつしたら、たいほうもぽーらも、くれさんもしぬよ」

 

「ま、待て‼︎落ち着いてお話しよう⁉︎なっ⁉︎」

 

「たいほうおこってるんだよ⁇たいほう、おともだちなかせるひときらいなの」

 

「悪かった‼︎俺が悪いんだ‼︎」

 

「たいほうちゃん。もういいですて」

 

ポーラはたいほうの頭を撫で、少し寂しそうに微笑んだ

 

「提督。ケンタイ〜キなのは知っますて。でも、ポーラ寂しいですて」

 

「もうしないよ…ごめんな⁇」

 

「くれさん‼︎」

 

「はい‼︎」

 

「たまにはぽーらとおさけのんであげて。わかった⁉︎」

 

「分かりました‼︎」

 

「んっ‼︎よろしい‼︎」

 

ムフーと鼻息を立てた後、たいほうは部屋から出て行こうとした

 

「ぽーら」

 

「ありがとう、たいほうちゃん」

 

「こんどはたいほうとあそぼうね‼︎」

 

「うんっ‼︎ポーラ、い〜っぱいお菓子持って行きますて‼︎」

 

「ばいば〜い‼︎」

 

「ばいば〜い‼︎」

 

たいほうが去り、呉さんはようやく落ち着いた

 

「怖かったぁ…あんなに怒ってたとは…」

 

「提督…」

 

「ごめんな…もう一人にしないよ」

 

「ポーラ、一人ぽっちは嫌いですて…だから…」

 

相当嫌だったのか、ポーラは声を出して泣き始めた

 

呉さんはそんなポーラを抱き締め、今しばらく離さなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かならず”さん”でなげます。”ご”でなげるひとはろんがいです」

 

基地に帰って来たたいほうは、再び説明書を読んでいた

 

説明書を読んだ後、たいほうは聖なる爆弾を一つ手に取り、ピンを抜いた

 

「いち‼︎に〜‼︎ご〜‼︎」

 

 

 

たいほうはきそに発見されるまで、目を回して気絶していた…




聖なる爆弾…音だけする非殺傷兵器

Warspiteが持っていた手りゅう弾

中世をイメージした外見をしており、殺傷能力は無く、耳鳴り程度の音がするだけ

ただ、たいほうの様な子供が使うと気絶する

何かの映画をモデルにした爆弾かもしれない…
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