《どんな子だろうね⁉︎》
「産まれてすぐワインボトルが抱き枕な子だったらどうするよ」
《ポーラの子だったら有り得そうだね…》
「マーカス君もウィリアムも、こんな風景を見ながら飛んでるのね…」
「戦闘機に乗るのは初めてか⁇」
「二式大艇はあるわ⁇」
「たいほうふぃりっぷのったこといっぱいある‼︎」
「たいほうは何回も乗ってるのね⁇」
「うんっ‼︎」
「マーカス君。いつもたいほうの事見ててくれてありがとう」
「俺にとっても娘みたいなもんだからな…」
《レイは子供作らないの⁇》
「これだけ出産ブームだから、ちょい焦ってはいるな…」
《たいほうちゃんでしょ⁇アイちゃんでしょ⁇山風ちゃんでしょ⁇そんで、ポーラの子でしょ⁇いっぱいだね‼︎》
「マーカス君の子は、きっと立派な子になるわ⁇」
「だと良いんだけどなぁ…」
話している内に、呉に着いた
貴子さんとたいほうを先に降ろし、執務室へ向かわせた
俺は簡単な医療機器をハッチから出し、一足遅れてきそと共に執務室に入った
「レイさん、御足労ありがとうございます‼︎」
呉さんから一礼を受け、事の発端を探す
「ポーラは⁇」
「隣の部屋に」
隣の部屋に入ると、ポーラはベッドの隅に座り、たいほうを抱っこしていた
「ん〜…あったかいですて…」
「ぽーらしんどい⁇」
「ポーラ、ちょっとデブってゲロ吐いてますて…」
「すてぃんぐれいにみてもらうの」
「大丈夫か⁇」
「おぉ、レイさん。ポーラ、ちゃんと禁酒してますて」
「んっ。良く頑張ってるな。ちょっと見せてみな」
ポーラの口の中や心音を見る限り、病気の類ではなさそうだ
「ちゃんと食ってるか⁇」
「最近、すっぱい飲み物が美味しく感じますて」
問題のぽっこりしたお腹に、特殊な聴診器を当てる…
ポーラの血流の音の奥に、もう一つ心音がある
予想通り、ポーラは妊娠していた
きそにアイコンタクトを送ると、持って来たタブレット出した
タブレットには、ポーラのお腹の内部が映し出された
耳に付けた聴診器を外し、ポーラのお腹にだけ聴診器を当てる
「見えるか⁇」
タブレットには赤ちゃんが映し出されている
「赤ちゃんがいますて‼︎」
「じき産まれるな。貴子さん、後はお願いします」
「分かったわ。さっ、ポーラ。横になりましょう⁇」
「貴子さん。そこにある程度の機器とお湯は入ってます」
「ありがと。流石ね」
「たいほうは俺と行こうな」
「わぁ」
たいほうを抱き上げ、貴子さんを残し、部屋から出た
ここは男の出る幕じゃない
「どうでしたか⁉︎」
「じき産まれる。貴子さんがいるから心配はない。しっかし…呉さんも元気だなぁ…」
「お父さん。きそちゃんが来たの⁇」
「あぁ。この子がきそちゃん。こっちの子がたいほうちゃん」
「初めましてかな⁇」
「あたしたいほう‼︎」
きそとたいほうは山風と遊びに行き、男二人が残された
「食堂で何か飲みませんか⁇」
「そうだな。頂くよ」
食堂で瓶のコーラを貰い、二人で飲む
「レイさん」
「ん⁇」
「ポーラのお腹の子は、私の子ではないかも知れません…」
「…どういう意味だ⁇」
「その…記憶が無いんです」
「ポーラとシたかどうかか⁇」
「えぇ…」
呉さんはかなり深刻に悩んでいた
ポーラと一緒に寝た事はあるが、事に発展した事は無いと言う
「心配ならDNA検査に出すが…どうする⁇」
「…幾らしますか⁇」
「金の心配はいい。するかしないかだ」
「…お願いします」
「オッケー。了解だ」
一時間後…
「オギャア」
「産まれた‼︎」
呉さんはいの一番にポーラのいる部屋へ向かった
確信が持てなくても、やはり産まれて来た子は可愛い事に違いなかった
「ポーラ‼︎」
「ほ〜らほ〜ら、お父さんですて」
出産直後の艦娘に立ち会うのは初めてだが、ポーラは既にピンピンしている
流石に赤ちゃんはポーラの腕の中にいるが、既に呉さんの目を見ている
「名前決めましたて‼︎」
「どんな名だ⁇」
「アサカゼにしますて」
「朝風⁇」
「この子、朝によくお腹を蹴ってましたて。それと、山風の名前を拝借しましたて」
「良い名だ」
「それに、提督襲ったのも朝ですて」
「え⁉︎」
「提督が悪いんですて‼︎ポーラが何回も何回も起こしたのに、起きない提督が悪いんですて‼︎」
「…あっ」
呉さんは思い当たりがあるのか、顔を真っ赤にして下を向き、俺達はクスクスと笑う
「良かった良かった‼︎」
「疑って済まなかった…」
「朝風を抱っこしたら許しますて」
ポーラから朝風を受け取り、呉さんは目に涙を浮かべていた
「あうあう♪♪」
朝風は父親に抱かれて嬉しいのか、呉さんの顔を触っている
俺は機器を片付けながら呉さんに話した
「数日後には言葉を理解して返答する様になるし、歩き回る様になる」
「山風がそうでした。大体一緒ですか⁇」
「大体一緒と思う。性格は違うかもな⁇」
「また、何かあったらご相談しても良いですか⁇」
「いつでも」
「さぁ、お母さんの所に行こうな」
呉さんは朝風をポーラに返し、気疲れしたのか、部屋を出た
「朝風は良い子ですねぇ〜」
ポーラは朝風を溺愛しそうだ…
そんな二人を見ていると、窓の外から声がした
「わーい‼︎」
表で子供三人が遊んでいるのが見えた
「ふっ…」
子供達を見て、ふと笑みが零れる
「マーカス君も子供欲しい⁇」
「まぁな…鹿島との間には出来なかったからな…」
「あら…どうして⁇」
「鹿島は俺を愛してなかった…それだけさ」
ため息混じりで窓の外を見ながら癖の様にタバコの箱に手を掛けたが、すぐにポーラと朝風に気付いて手を降ろした
「マーカス君…」
「艦娘ってのは特別なんだよ。好きな人に抱かれた時にだけ身籠るんだ」
「あら。詳しいのね⁇」
「伊達に建造装置造ってないさ…タバコ吸って来る。ポーラ、体を労われよ⁇」
「たまにはお酒飲んでも…」
「少しだぞ⁇朝風にやる母乳に影響が出るからな」
「んっ。分かりましたて‼︎」
ポーラの腕に抱かれる朝風の頭を指先で撫で、機器を入れたカバンを持ち、部屋を出た
フィリップにカバンを入れた後、着陸脚にもたれてタバコに火を点けた
二回紫煙を吐き、フィリップに話し掛けた
「アイリス」
《どうされましたか⁇》
やっぱりアイリスがいた
「俺に子供は似合うか⁇」
アイリスはすぐに答えた
《基地で子供達と過ごしている時、貴方はいつも隊長様と同じ顔をしています》
「そっか…」
《貴方にはジェミニ様が居ます》
「横須賀とは一人二人欲しいとは思う。だが、あいつは人間だ…本当に受け入れてくれるだろうか…」
《貴方が深海棲艦だから…ですか⁇》
「まぁな…」
《ジェミニ様がスティングレイ様に当てる愛は、嘘偽りの無い愛だと思います》
アイリスは珍しく根拠の無さそうな答えを出した
「ふっ…根拠あるのか⁇」
《ジェミニ様はスティングレイ様と一緒にいる時、いつも思考パターンが一つになります》
「それは⁇」
《貴方にどう愛されれば良いか…です》
「俺のAIも冗談が上手くなったな」
《本当です。そしていつも至る結論が何故か”暴力”や”暴言”になります》
「それがあいつの愛と⁇」
《貴方もたまには正直になる事も大切です》
「きそにも同じ事言われたよ…」
後頭部を掻いた後、一度灰を落としてから下を向いた
《スティングレイ様》
「なんだ⁇」
《鹿島様が貴方を愛していたのは嘘だと思いますか⁇》
「殺意と紙一重だったんだろ⁇」
《そんな感じです。鹿島様がスティングレイ様に向ける愛情の奥で、彼女はいつも貴方を恨んでいました》
「だから身篭らなかっ…た…か⁇」
《貴方に好意を向けている方は沢山います。きそ様、たいほうちゃん、霞ちゃん、照月ちゃん…》
「俺はロリコンじゃない」
「どこかで私の事を言われた気がしますね…」
「スティングレイじゃない⁇」
「スティングレイね‼︎レディの勘よ‼︎」
《ジェミニ様に次ぎ、War spite様も貴方に好意を向けていますが、War spite様の好意は、他の方々と少し違う様です》
「母性だろ⁇」
《えぇ》
「姫は特別さ…あの人は護らなきゃいけない。そんな気がするんだ」
《ジェミニ様と同じ様に…ですか⁇》
「う〜ん…何か違うんだよなぁ…」
「マーカス君‼︎」
「レイ〜‼︎」
みんな帰って来た
貴子さんがたいほうを抱っこする様に、俺はきそを抱っこする
「楽しかったか⁇」
「うんっ‼︎山風がありがとうって言ってた‼︎」
「そっか。貴子さん、助かったよ」
「また呼んでね⁇」
「さっ、帰ろうか‼︎」
フィリップに乗り、俺達は基地に戻った…
その日の夜
俺は自室で休んでいたが、きそは工廠で電子機器を弄っていた
《きそ様》
「アイリス⁇どうしたの⁇」
アイリスの声に気付き、きそはフィリップに乗った
「あ''っ‼︎」
きそは”女王の反逆”を喰らった
これをするという事は、何か内緒の話をしたいと言うアイリスの主張だ
《このデータをご覧下さい》
「ん〜⁇」
きそはメガネを掛け、モニターを見る
そこにはレイともう一人の写真が映し出されており、写真と写真の間に文字が出ている
「これホント⁇」
《間違いは無いでしょう。お二方共、この事を存じ上げているのでしょうか⁇》
「レイは知らないと思う。けど、この人は分かってるんじゃないかなぁ…」
きそはモニターを指でコツコツ突いた
きそは最近、ちょっとした榛名の癖が移っている…
《何故隠す必要があるのです》
「きっと事情があったんだよ…」
《情報にロックを掛けますか⁇》
「うん…でも、いつかレイが知りたいって言った時は、見せてあげて⁇」
《畏まりました。では、情報をロックします》
アイリスは情報をロックし、きそ以外、その情報を見る事は出来なくなった…
機密文書”R&W”…レイと誰かの機密情報
アイリスの中に入っている機密文書
レイと誰かの関係が書かれているが、現在公開されていない