艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、123話が終わりました

今回のお話は、レイの小さな悩みのお話です


124話 母性を求めて(1)

朝早く、グラーフがたいほうを連れて出掛けて行った

 

この組み合わせは非常に珍しい

 

知っての通り、たいほうは子供達と一緒にいるか、姫や武蔵の膝の上にいる

 

グラーフと二人で何処かに行くのは初めてかも知れない

 

「たいほうはトラックに行ったんだとよ」

 

「グラーフは⁇」

 

「グラーフは横須賀に行った。途中たいほうをトラックで降ろしてくれたんだ」

 

「なるほどな。工廠にいるよ。何かあったら呼んでくれ」

 

「分かった」

 

隊長は執務室

 

俺は工廠で作業を始めた

 

《アレン様からメールが入っています》

 

「出してくれ」

 

PCに入ったアイリスがメールを開く

 

いつもいるきそがいない

 

「きそは⁇」

 

《先程ハンモックで就寝されました》

 

徹夜で作業したのか、きそはハンモックで寝ている

 

ハンモックの上にいるきその毛布を掛け直している間、アイリスはメールを読んだ

 

《新しい航空部隊の進捗はどうだ⁇》

 

「暇があったら訓練に付き合えと返しておけ」

 

《畏まりました》

 

 

 

 

 

 

 

「グラーフが来れなかったら、誰かにお願いするの」

 

「わかった‼︎」

 

「グラーフ行くね」

 

「ばいば〜い‼︎」

 

たいほうがトラックに降り立った

 

「いらっしゃい、たいほうちゃん‼︎」

 

「とらっくさんだ‼︎」

 

トラックさんも、隊長やレイと同じくたいほうを抱き上げる

 

大人の男性にとって、たいほうは丁度いい抱き易さの重さと身長している

 

きそでは大きすぎ、照月では重すぎる

 

「とらっくさん。このまえのもんぶらん、すてぃんぐれいがたべちゃったの…」

 

「よしよし‼︎みんなで食べような‼︎」

 

トラックさんはたいほうを抱っこしたまま、厨房に来た

 

「ほらっ‼︎食べていいよ‼︎」

 

「わぁ〜‼︎」

 

食堂では既に駆逐艦の子がケーキを食べていた

 

たいほうは目当てのモンブランを見つけ、そこにいた江風の横に着いた

 

「江風。モンブラン残ってるか⁇」

 

「あるぜ‼︎山程作ってくれたからな‼︎たいほうちゃんだったっけか⁉︎おいで‼︎」

 

「うんっ‼︎」

 

たいほうは江風と一緒に、モンブランを食べ始めた

 

 

 

 

 

グラーフは蟹瑞雲の前に来ていた

 

”空母会様一同”

 

と書かれているので、ここで間違いは無い

 

本当はたいほうも連れて来たかったが、大人のグチばかりになるので、せっかくなのでトラックの子供達限定のパーティに置いて来たのだ

 

「グラーフ‼︎こっちこっち‼︎」

 

中でグラーフを手招きしていたのはサラだ

 

「いつも二人がお世話になってます」

 

と、グラーフが頭を下げると、サラは「マーくんは今日はいないの⁇」と、聞いて来た

 

「ちょっと呼んでみる」

 

グラーフはあのアプリを起動し、レイに連絡を入れてみた

 

 

 

なーぐーちゃん> サラがマーくんは来ないのかって

 

リヒター> たいほう迎えに行かなきゃならん

 

なーぐーちゃん> 来いよ。ジェミニに有りもしない事言うぞ

 

リヒター> 行きます。行かさせて下さい

 

なーぐーちゃん> はよ来いよ

 

グラーフはレイのアバターを何度か叩いてからログアウトした

 

 

 

 

「来るって」

 

「良かった」

 

サラはレイが来ると分かると嬉しそうにした

 

「そうだ。隊長に報告しとく」

 

グラーフはスマホを自撮りにし、何気無く一枚を撮り、隊長に送った

 

 

 

 

 

基地で隊長のスマホが鳴る

 

「おっ。グラーフだ」

 

グラーフから送られて来た写真を見た瞬間、隊長の顔が変わった

 

隊長はすぐにグラーフに返信を送り返す

 

そしてグラーフから返信が来た途端、隊長は机にスマホを放った

 

「貴子。ちょっと頼む」

 

「あら、任務⁇」

 

「帰ってから話す。急ぎだ」

 

「分かったわ。気を付けてね⁇」

 

返答する間も無く、隊長は空へと飛んだ

 

「お〜お〜何だ何だ⁉︎えらい急ぎでブッ飛んでったぞ⁉︎」

 

俺は横須賀に行く事を隊長に報告する為に食堂へと戻って来ていた

 

そのすれ違い様に、隊長は猛スピードで離陸するのが見えた

 

「急な用事らしいわ⁇マーカス君も行くの⁇」

 

「グラーフが呼んでるから行って来る」

 

「たいほうは誰かに拾わせるわ。気を付けてね⁇」

 

「迎えに行ける様なら連絡入れるよ」

 

貴子さんに言伝をし、工廠に戻るときそがタイミング良く起きていた

 

「何か戦闘機のエンジンの音がしたよ⁇」

 

寝起きの為、きそは目を擦りながら俺に抱き着く

 

「横須賀に行くけど、お留守番するか⁇」

 

「ううん。行く…ふぁ…」

 

きそがフィリップに入ったのを確認し、俺も空へ上がる

 

 

 

 

途中、かなりのスピードで横須賀方面に向かっているクイーンが見えた

 

「隊長も横須賀か⁇」

 

《急用だ》

 

隊長の声に焦りを感じた

 

こう言う場合は、隊長の傍に居た方が良い

 

「一緒に行くよ。多分、行き先一緒だしな」

 

《…すまん》

 

横須賀に着き、隊長は蟹瑞雲に向かうと言った

 

事情は違うとは思うが、やはり行き場所は一緒だった

 

「きそ‼︎」

 

「翔鶴‼︎」

 

「「留守番しててくれ‼︎大人しくな‼︎」」

 

《分かったよぉ‼︎二人して同じ事言わないでよ‼︎》

 

《了解です‼︎》

 

 

 

 

隊長と俺が基地を飛び立つ少し前…

 

グラーフの隣に座っていた女性が声を掛けて来た

 

「貴方、グラーフさん⁇」

 

「うん」

 

グラーフは人の話を聞かず、目の前の蟹を口に運ぶ

 

「今度横須賀に配属になった”アクィラ”と言います。宜しくね⁉︎」

 

「うん」

 

普段あまり蟹を口にしないので、グラーフはパクパク食べる

 

「あっ、そうそう‼︎いつもウィリアムがお世話になってま〜す」

 

「うん。うん⁇」

 

グラーフはようやく事の重大さに気付いた

 

「隊長の知り合い⁇」

 

「ん〜…知り合いと言うか…」

 

次にアクィラが放った言葉の所為で、グラーフは鍋の熱気で出る汗とは別の汗を垂らす

 

隊長に送った写真には、アクィラが写っていた

 

隊長はそれを見た瞬間、こっちに来ると言った

 

…嫌な予感しかしない

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