艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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題名は変わっていますが、前回のお話の続きです

注※ちょっとサスペンスに仕上がっています

ちょっとした伏線回収もあるよ‼︎


クリスマス特別編 愛を込めた銃口

興奮冷めやらぬ衣笠が執務室から出てすぐ、入れ違いで誰かが入って来た

 

「て・い・と・く‼︎」

 

「蒼龍。今日は済まなかったな…」

 

蒼龍がニコニコしながら執務室に来た

 

「衣笠にプレゼント貰ったんですかぁ〜⁇」

 

「あぁ。蒼龍にもあるよ。え〜と…」

 

机の引き出しから蒼龍へのプレゼントを探し出し、目線を蒼龍に戻すと、眉間に冷たい物が当たった

 

「えへへ〜♪♪」

 

「蒼…龍…⁇」

 

トラックさんの眉間に当たっていたのは、回転式拳銃の銃口

 

「勿論弾は入ってますよぉ〜⁇」

 

「な…何が望みだ…」

 

「提督、拳銃欲しいでしょう⁇」

 

「要らないよ…拳銃退けてくれるかい⁇」

 

「あぁ、すみません」

 

蒼龍は拳銃を降ろしたが、手にはまだ拳銃が握られている

 

「要るはずですよぉ〜⁇だって、今から衣笠も撃つんですよねぇ〜⁇」

 

「撃たないよ。撃つ必要がないだろう⁇」

 

「そんなはず無いですよぉ〜。だって、人は人を好きになったら撃つんですよねぇ〜⁇」

 

「え…」

 

蒼龍は机を大回りに避け、トラックさんの前に来た

 

「提督…私が何で駆逐艦の子を食べるか、分かりますかぁ〜⁇」

 

トラックさんは体の震えが止まらなくなった

 

蒼龍の様子がおかしい

 

トラックさんが衣笠とケッコンしたから嫉妬しているのだろうか⁇

 

「お…美味しいからか⁇」

 

「み〜んな大好きだからですよぉ〜。だから食べるんです‼︎だから殺すんです‼︎」

 

「…どういう意味だ⁇」

 

「私、いつも言ってますよねぇ〜。提督を食べるって」

 

蒼龍はトラックさんの頬を拳銃でペチペチ叩きながら話を続けた

 

「好きだからこそ食べるんですよぉ。分かりませんかぁ〜⁇駆逐艦の子は〜、と〜っても美味しいんですよぉ〜⁇」

 

「好きなら、何故食べるんだ…」

 

「何故⁇面白い事を聞きますねぇ〜‼︎」

 

蒼龍は再びトラックさんの眉間に銃口を当てた

 

「提督が教えたんですよぉ〜⁇私はこんなに人を愛する努力をしてるのに、提督がしない訳には行けませんよねぇ〜⁇」

 

「…なんだと⁇私はそんな事を教えた覚えは‼︎」

 

「そうだ提督‼︎あのね‼︎」

 

タイミング悪く衣笠が入って来た

 

「来るな‼︎」

 

「え…」

 

「提督がしないなら、私がしてあげますよぉ〜」

 

「やめろ‼︎」

 

蒼龍はゆっくりと衣笠に銃口を向けた

 

一発の銃声が響く

 

「くっ…」

 

トラックさんは蒼龍の手首を取り、間一髪の所で銃口を逸らせ、衣笠に弾丸は当たらなかった

 

だが、跳弾でトラックさんのペンダントのネックレスが切れて、床に落ちてしまった

 

「蒼龍‼︎お前どうしたんだ‼︎」

 

「提督が教えたんじゃないですかぁ‼︎好きな人は撃つって‼︎」

 

蒼龍は拳銃を手から離そうとせず、トラックさんが外そうとしてもガッチリと持ったままだった

 

「提督‼︎今銃声が聞こえましたけど‼︎」

 

「提督‼︎大丈夫か⁉︎」

 

飛龍と江風が入って来たのにも構わず、トラックさんは蒼龍との会話を続けた

 

「私はそんな事を教えた覚えは無い‼︎」

 

「じゃあ何で”私”を撃ったんですかぁ‼︎」

 

「…え⁇」

 

トラックさんの手が止まる

 

「私が蒼龍を…撃った⁇」

 

トラックさんに、蒼龍を撃った記憶は無い

 

幾ら悪人や建造装置から出て来る駆逐艦の子を食べようが、トラックさんはそれだけはしなかった

 

「提督、私に言いましたよねぇ〜⁇私を撃つ前に”愛してる”って…好きな人は撃つんですよねぇ‼︎そうですよねぇ‼︎」

 

「蒼龍…お前まさか…」

 

「好きだから殺すんですよぉ…」

 

蒼龍はトラックさんの足元に落ちたペンダントを手に取り、トラックさんの腹に突き付けた

 

「好きな人は撃つ…」

 

次に蒼龍が言った言葉で、トラックさんは膝から落ちた

 

「そうでしょう…”お父さん”…」

 

「嘘だろ…」

 

膝を落としたトラックさんの眉間に、再三銃口が突き付けられる

 

「提督、愛してますよぉ〜。でもっ、サヨナラですねぇ〜‼︎」

 

引き金に掛けた蒼龍の指に力がこもるのを見て、トラックさんは目を閉じた

 

「待って待って待って‼︎」

 

腰を抜かしていた衣笠が立ち上がり、蒼龍の手を止めた

 

「待ってよ‼︎まずは提督の話を聞こうよ‼︎ねっ⁇」

 

「…貴方から先に撃ちますよぉ〜⁇」

 

衣笠に銃口が向いた瞬間、乾いた音が響いた

 

「痛っ…何するんですかぁ〜⁇」

 

音の正体は、飛龍が蒼龍の頬を叩いた音だった

 

「いい加減にしなさい‼︎」

 

「どうして…どうしてみんな私を止めるの⁇」

 

「蒼龍、よく聞きなさい…」

 

「…」

 

蒼龍は睨む様に飛龍を見ながら拳銃を握る手に力を込めるが、銃口は床を向いていた

 

「提督はね…貴方が苦しまない様に貴方を撃ったの…思い出しなさい。撃たれる前、とっても痛かったでしょう⁇」

 

「…うん」

 

「提督は貴方を救う為に、嫌々引き金を引いたの。大好きな娘を好きだからって理由だけで撃つ訳ないでしょう⁉︎」

 

「…本当ですかぁ⁇」

 

「本当だ」

 

「じゃあ、今まで私がしていたのは何だったんですかぁ‼︎」

 

蒼龍は大粒の涙を流しながら大声を出す

 

「すまない…もっと早く気が付くべきだった…」

 

「もう…戻れないんですよぉ〜…」

 

しゃくり上げながら、蒼龍はトラックさんに銃口を向けた

 

「分かった。なら撃て」

 

「提督⁉︎」

 

「提督止めろ‼︎蒼龍の姉貴‼︎提督撃ったら承知しねぇぞ‼︎」

 

「江風、ありがとう」

 

「は…はは…もう取り返しつかないんですよぉ〜…私、いっぱい人殺しちゃったんですよぉ〜…」

 

「まだ間に合うさ。引き金を引かなければの話だけどね」

 

「最後にっ…言い残す事は、ありませんかぁ〜⁇」

 

トラックさんは笑って言った

 

「ありがとう。また私の所に帰って来てくれて‼︎」

 

「う…」

 

蒼龍は拳銃を落として、目を抑えて泣き出した

 

「すまない…すまなかったな…」

 

「私の為に撃ったのなら、もっと早くに言ってよ‼︎」

 

トラックさんは蒼龍を抱き締め、必死に頭を撫でる

 

「もう大丈夫だ…」

 

「提督、ありがとう…」

 

「それを言うのは私の方だ。帰って来てくれたんだな⁇」

 

「…うんっ‼︎」

 

「さぁっ‼︎私達もクリスマスを楽しみましょう⁉︎ねっ⁉︎」

 

飛龍の切り替えにより、執務室に机が置かれ、小さいながら、トラックさん達はクリスマスを堪能する事にした

 

人を食べなくなった蒼龍は案外子供っぽく、ずっとトラックさんにベッタリしている

 

江風も飛龍も衣笠も、そんな蒼龍とトラックさんを見て微笑む

 

「鳥海はどうした⁇」

 

「鳥海は居住区の姉妹の所に行きました」

 

「そっか。鳥海の分もちょっと…」

 

「大丈夫ですよ。そう言うと思って、二つ程ケーキを取ってあります‼︎」

 

「そっか。ありがとう」

 

それからと言うもの、蒼龍はあまり人を食べなくなった

 

あまりと言うのは、まだ少し食べているからだ

 

だが、それは罪人のみにとどまり、駆逐艦の子を食べる事は完全に無くなった

 

トラックさんのクリスマスプレゼントは、ケッコンと、蒼龍のカニバリズムを最小限に抑え、娘が帰って来ると言う、最高のクリスマスで幕を降ろした

 

 

 

 

次の日の朝…

 

「天津風」

 

「えっ⁉︎なっ、何…」

 

蒼龍は朝ごはんを食べる天津風の頬を撫でた

 

天津風は昨日の一件を知らない為、食われると勘違いしてガタガタ震えている

 

「ご飯粒、付いてましたよぉ〜」

 

蒼龍は天津風の頬に付いていたご飯粒を口に入れ、どこかへ行った

 

「あ…ありがと…」

 

 

 

 

「ふふっ。ホントだ。提督のごはんって美味しい‼︎」




トラックさんと衣笠がケッコンしました‼︎

蒼龍がちょっとカンニバルを控える様になりました‼︎
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