艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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クリスマスも終わり、年末に入りました

皆さんはクリスマスはいかにお過ごしでしたか⁇

作者はリハビリに行ってグデングデンでした 笑

さて、今回のお話はアイリスのお話です


126話 星を旅する鯨(1)

俺は久し振りに子供達と釣りをしていた

 

「おさかなとれた‼︎」

 

たいほう、れーべ、まっくすはイワシの様な小魚をタモで取ってバケツに入れている

 

”\(^田^)/”

 

ボーちゃんもまっくすの横で中位の魚を取っている

 

「うはは‼︎爆釣爆釣‼︎」

 

「ぐぬぬ…」

 

横できそがホイホイ釣り上げる中、俺は相変わらずボウズだった

 

相変わらずきそはあのルアーを貸してくれない

 

「照月‼︎釣ったすぐは食べちゃダメ‼︎」

 

「ハマチさんは生で食べるから美味しいんだよ⁇いただきま〜す‼︎」

 

秋月が照月を止めるが、照月の食欲に勝てる訳がない

 

「待ちなさい‼︎」

 

霞はきそが持って来たバーナーで、ハマチを一気に焼いた

 

数秒もしない内に香ばしい匂いが辺りに漂う

 

「よし、いいわ。食べなさい」

 

「いただきま〜す‼︎」

 

まるでお菓子でも食べるかの様に、照月はハマチを一瞬で平らげた

 

「美味しかったぁ〜‼︎次‼︎」

 

照月は口を開けながら、再び海に糸を垂らした

 

「ちょい休憩だ。きそ、竿見といてくれ」

 

「オッケー。来た来た‼︎」

 

今日の夕飯は刺身だらけだろうな…

 

工廠の冷蔵庫からコーラを出し、タバコを吸いながら一服していると、パソコンに反応があった

 

「アイリスか⁇どうした⁇」

 

《きそ様も釣りをしているのですか⁇》

 

「そっ。今日の夕飯は豪勢だぞ⁇」

 

《”しおい”はどうしていますか⁇》

 

「しおいか⁇しおいは海に潜ってウニとか取ってるぞ⁇」

 

《そうですか》

 

その時のアイリスは、何故か怒っている様にも思えた

 

散々釣ったのか、子供達は竿を片付け始めている

 

「レイ‼︎貴子さんの所に渡したら来るね‼︎」

 

「冷たいのとあったかい飲みモン、どっちがいい⁇」

 

「コーラがいい‼︎」

 

きそが走り去る

 

遅れてしおいが食堂に入って行った時、アイリスの感情パラメーターを見た

 

何故か”怒り”のパラメーターが上がっている

 

「しおいが嫌いか⁇」

 

《嫌いではありません》

 

本当なら、頭の一つでも撫でてやるべきなのだが…

 

《頭を撫でるより、もっとマーカス様とお話がしたいです》

 

「よく分かったな⁇」

 

《何年貴方の傍にいると思っているのですか》

 

「お〜怖い」

 

アイリスが冗談を言う

 

どうやらAIは俺の傍にいると冗談を言う様になり、隊長の傍にいるとお淑やかで、ちょい抜けた子になる様だ

 

《と、返してみろと叢雲様が仰っていました》

 

「叢雲は好きか⁇」

 

《叢雲様もヘラ様も私を慕って下さいます。何でも”アンタは私の先輩”だとか》

 

「なるほどな…」

 

「レイ‼︎今日はお刺身だって‼︎」

 

きそが帰って来た

 

魚料理は隊長も得意だ

 

厨房は任せて大丈夫だろう

 

《きそ様》

 

「はいはい。どうしたの⁇」

 

きそはいつもの様に俺の膝の上に座る

 

《きそ様は、体を持てて幸せ…と、感じた事はありますか⁇》

 

「あるよ。こうしてレイに触れられるし、みんなと遊ぶ事だって楽しいよ⁇」

 

《私は誰かに触れた事がありません。それに…何故かしおいが羨ましく感じる時があります》

 

「妹だから⁇」

 

《妹…私はしおいを妹だから羨ましく感じるのでしょうか⁇》

 

アイリスの悩みは思ったより深刻だった

 

周りのAIがボディをもつ中、自分だけ持っていないからだろう

 

それに、アイリスからすれば、しおいは妹だ

 

俺が造った無人潜水艦の試作機に乗っていたAIはアイリスだった

 

それから正式に造られる様になって乗ったAIが”ステラ”

 

簡単に言えば、今のしおいだ

 

ステラはアイリスの改良型であり、情報処理能力に長けていたが、今では長年俺の傍にいたアイリスの方が強くなっている

 

「それは嫉妬って言うのよ」

 

叢雲が来た

 

「アンタとよく似た立場だったから分かるわ。分かり易くするならそうね…犬の名前は⁇」

 

《マーカス・スティングレイ様》

 

「この子は⁇」

 

《きそ様。若しくはフィリップ様》

 

「私は⁇」

 

《叢雲様、若しくはヘラ様》

 

「じゃ、アンタの妹は⁇」

 

《しおい》

 

しおいと言った瞬間、また怒りのパラメーターが上がる

 

「アンタ、しおいだけ呼び捨てなの気付いてないの⁇」

 

《何故でしょう…何故かしおいには様を付けたく無いのです》

 

「それが嫉妬って言うのよ」

 

叢雲は今のアイリスの状況を自分の過去に当て嵌めていた

 

叢雲は今でもF-22を恨んでいると思う

 

だが、この間こう言われた

 

 

 

「恨んでいるのは本当よ。嘘じゃないわ。隠す必要も無いわ」

 

「だけど、私は今の私が一番幸せよ⁇」

 

「犬がいて、犬の子分がいて、雌犬がいて…」

 

「恨んでいるより、犬や犬の周りの人間と遊んだり、一緒にいる方が幸せ…」

 

「犬。アンタが教えた…いえ、教えてくれたのよ⁇」

 

 

 

もしかしたら最近のヘラには母性が目覚め始めているかも知れない

 

当初の尖りまくった性格とは随分と差がある

 

「でも、嫉妬するのは一概に悪いとは言えないわ⁇嫉妬するのは、その人をよく見てるから嫉妬するの」

 

叢雲はパソコンの前に頬杖をつきながら、感情が右往左往するアイリスのパラメーターを眺めながら彼女と会話していた

 

《この感情は嫌いです。あまり抱きたくありません》

 

「アンタはどうしたい⁇」

 

《しおいの様に歩き回り、誰かに触れてみたい…今はそう感じます》

 

「なんだ。早く言えば良いのに」

 

《きそ様⁇》

 

きそはあたかも簡単な様に言った

 

「お安いご用さ‼︎ちょっと時間は掛かるけど、造ってあげるよ」

 

「良かったわね」

 

《はい。この”嬉しい”と言う感情は好きです》

 

「なら、これからはもう少し素直になんなさい。アンタの父親は、アンタの願いを叶えるだけの力量はあるわよ」

 

「叢雲がマトモな事言ってる〜」

 

きそが叢雲をおちょくる

 

「私は常にマトモよ。まっ、後は任せるわ」

 

叢雲は食堂に戻って行った

 

「きっと叢雲はアイリスの気持ちが分かるんだよ」

 

《私と良く似た境遇…だからですか⁇》

 

「そんな所かな⁇叢雲は過去に人に散々な事をされて裏切られたんだ…でも、それでも叢雲は人を愛する事を覚えた。今のアイリスみたいにね⁇」

 

《私もマーカス様やきそ様達と居て、人を愛する事を覚えました》

 

「それに叢雲は母性に目覚め始めてる。ほら、最近教官役してるでしょ⁇アレの影響かなぁ⁇」

 

「お前もそう思うか⁇」

 

「うん。じゃなきゃ、たいほうちゃんオンブして連れて帰ったりしないよ⁇」

 

「なるほどな…」

 

《それはマーカス様の教えが良いからだと推測します》

 

「お褒めの言葉ありがとう」

 

「さてっ‼︎僕はアイリスのボディを造るよ‼︎」

 

きそは俺の膝の上から降り、建造装置の前に立ち、装置を弄り始めた

 

「さ〜て。お前のボディはどんなのかなぁ⁇」

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