艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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特別編 想い人、想われ人(2)

次の日、私達は遊園地に来た

 

五人は行動自体は一緒だったが、健吾とりさはずっと一緒に居た

 

ジェットコースターに乗る時も隣

 

昼ご飯の時も対面

 

おばけ屋敷に入る時もベッタリ

 

とにかく、やたら二人は隣に居た

 

「最後にあれ乗ろうよ‼︎」

 

まりが指差す先には観覧車がある

 

「じゃあ、私は健吾さんと一緒にっ。いいですわね⁇」

 

「んっ、行こう」

 

乗る前に健吾に耳打ちされた

 

”出て来た時に手を繋いでたら告白成功な”

 

そう言い残し、りさと健吾は観覧車に乗った

 

二人の乗った数台後のゴンドラに私達三人も観覧車に乗る

 

「うはぁ〜‼︎人ちっちゃあ〜‼︎」

 

「高い…」

 

まりとはるはずっと下を眺めて興奮している

 

私は数台先のゴンドラが気になり、それ所ではなかった

 

「ワンコ。健吾とりさ付き合うかなぁ⁇」

 

「どうだろうなぁ…」

 

「付き合うといいね」

 

「もしさ…もし、健吾とりさが付き合ったら…私達も付き合っちゃう⁉︎」

 

まりからの突然の告白

 

まりの隣に居たはるは目を見開いて驚いている

 

私は余りにも突然の出来事だった為、思考が固まっていた

 

「勿論、まりじゃなくってもいいよ⁇はるだっているし‼︎」

 

そう言って、まりははるの肩を抱いた

 

「ちょっ…まりちゃん…」

 

はるの表情を見る限り、満更嫌でもなさそうだ

 

「さぁ、どうする〜⁇」

 

ここで決めろと言うのか⁉︎

 

でも、ここで何方かを選んでしまうと、片方を傷付けてしまう事になる…

 

…どうすれば

 

「まぁ、その内まりかはるに告白してよ‼︎まりはいつだってOKだよ‼︎」

 

「わ、私もだよ…ワンコ‼︎」

 

危機は脱したみたいだ…

 

この時、素直に”まりが好きだ”と言っておけば良かったな…

 

観覧車を降りると、りさと健吾が手を繋いで降りて来た

 

告白は成功したらしい

 

「りさ‼︎良かったね‼︎」

 

「えぇ‼︎これで私”りあじゅう”でしてよ‼︎」

 

「さぁ‼︎お土産を選ぼう‼︎」

 

出入り口付近に設けられたお土産コーナーで、五人はお土産を選ぶ

 

「お馬さん」

 

「欲しい⁇」

 

「ワンコとお揃いのにする」

 

はるの手には、メリーゴーランドで一匹だけいたシマウマのキーホルダーが握られていた

 

「はい」

 

はるからシマウマのキーホルダーを貰う

 

はるはピンクの紐

 

私は黄緑色の紐のキーホルダーだ

 

このキーホルダー、今でも私の財布に付いている大切な物だ

 

 

 

 

 

「そう言う事ダズルか。んで、キーホルダーはどこいったんダズル」

 

「それがさぁ…さっきどっかに落としちゃって…」

 

「…紐がボロかったんダズル」

 

「それで、この後なんだ…」

 

 

 

 

遊園地の日から数日後…

 

りさが学校に来なくなった

 

そして数日後、まりも来なくなった

 

「静かだね」

 

「何か怪しいな…」

 

りさが学校に来なくなってから、健吾の口数が少ない

 

…何か知っているな

 

「健吾」

 

「…」

 

「健吾‼︎」

 

「あぁ…ワンコか。どうした⁇」

 

健吾はボーッとしていて、しばらく私の声が耳に入っていなかった

 

「りさもまりも何かあったのか⁇」

 

「…」

 

健吾は頭を抑えている

 

どうやら本当に何か知っているみたいだ

 

「健吾、今日は学校休もう。帰ろう」

 

「あぁ」

 

「はるも帰ろう⁇」

 

「うん」

 

健吾の様子を見る限り、ただ事では無い

 

私達は学校から出て、繁華街の喫茶店に来た

 

「健吾。話してくれ」

 

健吾はようやく口を開いてくれた

 

「艦隊化計画を知ってるか⁇」

 

「まぁ…」

 

艦隊化計画…

 

後々、大佐達が死ぬ思いで食い止めた国家計画だ

 

人体に特殊な改造を施し、兵器として扱う計画だ

 

「…りさとまりはその実験体に選ばれた」

 

「な、何だと⁉︎」

 

その実験体に選ばれたと言う事は死を意味する

 

まりとりさはまだ高校生だ

 

そんな彼女達がこれから先、戦場に身を寄せるのだ

 

「助けようよ」

 

そう言い出したのははるだ

 

「相手は国家だぞ⁉︎」

 

「…一つだけ方法がある」

 

「方法⁇」

 

健吾は言った

 

「今、横須賀の港に空母が停泊してるだろ⁇あの中で、艦隊化計画が進んでいるらしい」

 

「やるのか⁇」

 

「…やるしかない。俺達も手術を受けよう。そしたら、りさもまりも助け出せる」

 

「あ。私、明日そこに呼ばれてる」

 

まさかのはるまで呼ばれていた

 

「ワンコ。もうダメだ。このまま放置していたら犠牲者が増えるだけだ。行こう」

 

「い、今からか⁉︎」

 

「当たり前だ‼︎行くぞ‼︎はる、一人で帰れるか⁉︎」

 

「はるも行く」

 

「…怪我すんなよ」

 

三人、案外腰は軽かった

 

 

 

 

 

〜横須賀軍港〜

 

「見えっか⁇」

 

「見えた。人がワンサカいる」

 

双眼鏡で停泊している空母の周りを見渡す

 

軍服を着ている人物は男性が多いが、私服の人は皆女性だった

 

「あの空母の中に入る。入れそうな場所はあるか⁇」

 

「う〜ん…無さげだな」

 

「こうなりゃ正面突破で行こう」

 

「こんにちは、侵入者さん‼︎」

 

聞き覚えの無い声に振り向くと、一人の女性がいた

 

「お友達を見に来たのかなぁ⁇んっ⁇」

 

「そっ…そうです」

 

「それとも…艦隊化計画を止めるため⁇」

 

そう言った瞬間、女性の目が変わった

 

「迎えに来たんです。彼女を」

 

健吾が上手く返す

 

「そっ。なら、お姉さんと一緒にいらっしゃい。中を見せてあげます」

 

これはチャンスだ

 

私達は怪しいとは思いつつ、この女性に着いて行き、空母の中へと案内された

 

「スゲェ…」

 

空母の中は最新機器が整備され、慌ただしく乗組員が動いていた

 

「さっ、ここよ」

 

案内された部屋に入り、三人はたじろいでしまう

 

巨大な試験管の様な装置

 

人を寝かせる台

 

白衣を着た、何人ものスタッフ

 

「おかえり。いたか⁇」

 

一番偉そうな男性が此方に来た

 

「いたわ‼︎はいっ‼︎」

 

連れて来て貰った女性に背中を押され、私達は何故かその男性にボディチェックをされた

 

目にライトを当てられたり、聴診器で身体中の音を聞かれた

 

「なるほど…特に君達二人は逸材の様だな」

 

「まりとりさは何処ですか」

 

「まり⁇りさ⁇あぁ、後で逢わせてやる。その前にっ…この子の治療をしないとな」

 

「私⁇」

 

「そっ」

 

「私、どっこも悪くない」

 

「オーケー。なら、私の目は何色だ⁇」

 

「う…」

 

はるは何故か答えられなかった

 

「君は”ホワイトアウト症”にかかってる。今の君の目には、白と黒しか映っていないハズだ。違うか⁇」

 

「…うん」

 

ホワイトアウト症候群…

 

目の色彩感覚がモノクロに映る病気だ

 

他人に伝染したり、この病気だからと言って死ぬ訳では無いが、日常生活に支障をきたす

 

…特にパイロットの様な人物には致命症だ

 

艦隊化計画の一環で、目の手術もする

 

はるは目を治して貰う事になり、男性に奥へと案内された

 

「さてっ‼︎」

 

女性が手をパンと叩く

 

「君達は恋人に逢わせて欲しいんだったね⁇」

 

「えぇ」

 

「行きましょうか。君達の恋人の所に」

 

また女性に案内され、研究室の奥の扉の中へと入る

 

「なんだよ…これ…」

 

「うわ…」

 

二人して息を飲む

 

先程の部屋にあった巨大な試験管の中に液体が満たされ、人が入っている

 

それも幾つもだ

 

「君達の恋人はいる⁇」

 

「アンタら…何て事を‼︎」

 

健吾が女性に殴り掛かる

 

女性はいとも簡単に健吾の腕を取り、宙に上げて顔を近付けた

 

「私達も好きでしてるんじゃないの。分かって⁇」

 

「…離せ‼︎」

 

健吾が女性の腕を離した時、私は見付けてしまった

 

「け…健吾…これ…」

 

 

 

Heavy Cruiser ”Suzuya”

 

Heavy Cruiser ”Kumano”

 

 

 

 

鈴谷と書かれた試験管の中にはまりが

 

熊野と書かれた試験管にはりさが入っていた

 

「嘘だろ…りさ‼︎りさ‼︎」

 

健吾はりさの入った試験管を何度も殴り、叩き割ろうとするが、早々割れるものでもない

 

「りさ‼︎り、うっ…」

 

「健…吾…」

 

背後から何かを撃ち込まれ、二人共急な眠気の所為で、二人共その場に倒れてしまう

 

「ごめんなさい。貴方達二人は必要なの」

 

女性は私達を連れ、部屋から出た…

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