艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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131話 新兵器”保護”(2)

「よ〜し、あらかたオッケーだ‼︎イェーガー、聞こえるか‼︎上空から水撒いてくれ‼︎」

 

《了解。そこから離れて下さい》

 

イェーガーに言われ、俺は一旦格納庫に入った

 

最近のイェーガーは戦闘に赴く事は少なく、農家から依頼され、水や農薬の散布で小銭を稼いでいる事が多くなっている

 

呉さんやター坊は、イェーガーがやりたいならそれで良いと言いつつ、そうやってイェーガーが稼いで来た小銭をピンハネしているとの噂もある

 

…当のイェーガーはそれで良いらしい

 

《鎮火完了。このまま農薬の散布に移ります》

 

「ダイオキシンは入ってないだろうな⁇」

 

《ただの除草剤ですよ。御心配なさらず。では‼︎》

 

「サンキュー。代金は口座に振り込んどく」

 

イェーガーが去って行くのを見届け、俺はきそに無線を繋いだ

 

「きそ、聞こえるか⁇」

 

《うはは‼︎うにょうにょしてる‼︎えいっ‼︎えいっ‼︎》

 

何かの生物を突いているのか、無線の先からきその楽しそうな声が聞こえて来た

 

「きそ〜。き〜そ〜」

 

《うはは‼︎はっ‼︎》

 

ようやく無線に気付いた

 

《はいはい‼︎ごめんね‼︎》

 

「滑走路の掃除は終わった。はっちゃんは⁇」

 

《ん〜と…島の裏側に居るね》

 

「了解っと。一度連絡を取る。帰って来い」

 

《レイ、何かうにょうにょした奴居るよ‼︎》

 

「ポイしなさいポイ‼︎」

 

《分かった‼︎ポーイ‼︎》

 

きそとの無線を切り、はっちゃんに繋げる

 

「はっちゃん、そろそろ帰ろうか⁇」

 

《マーカス様‼︎大変です‼︎》

 

「どうした⁇サメでも出たか⁇」

 

《難破船です‼︎》

 

「なんだと⁉︎」

 

「ただいま‼︎」

 

「すぐに行く。そこで待ってろ」

 

無線を切ると、目線の下にきそが居た

 

「何か見付かったのかな⁇」

 

「難破船らしい。足はあるか⁇」

 

「うんっ、あるよ‼︎来て‼︎」

 

行くとは言ったが、フィリップで海上に着水すると墜落してしまう

 

何か代わりの足があれば良いのだが…

 

きそに手を引かれ、砂浜の横にある港に来た

 

「これ‼︎」

 

港には、一機の水上機が停めてあった

 

「動く…のか⁇」

 

真新しそうな機体ではある

 

どうやら最近ここに来たみたいだ

 

「秋津洲が造ったらしいからきっと動くよ。煙吹くだろうけど」

 

「横須賀から持って来たのか⁇」

 

「らしいね。装備が全部近代化されてるもん。よいしょ」

 

先にきそが乗り、俺も操縦席に座る

 

「一人乗りだ」

 

「ここに座れ」

 

きそを膝の上に座らせ、機体のエンジンを入れる

 

プロペラが回り、ご機嫌に白煙を吐く

 

「ぶはあっ‼︎」

 

「くっ、クッセェ‼︎」

 

操縦席にも白煙が立ち込める

 

「これだから秋津洲謹製は困るんだ‼︎」

 

「れっ、レイ‼︎とっ、とにかくレッツらゴーだ‼︎」

 

速度を出し、水上を走る形ではっちゃんの居る場所を目指す

 

白煙立ち込めるまま、はっちゃんの居る場所に着き、機体から降りた

 

「マーカス様⁇きそちゃん⁇」

 

「ウェ〜‼︎ゲホゲホ‼︎」

 

「爆発すんじゃねぇのか⁉︎」

 

「大丈夫ですか⁇」

 

「大丈夫だ…んで、その難破船ってのはどいつだ⁇」

 

「あれです‼︎」

 

はっちゃんに案内された先には、船体が軽く斜めを向いてしまった状態で難破してしまったイージス艦がいた

 

「急降下爆撃が致命弾になったみたいだな…」

 

「レイ、探検しようよ‼︎」

 

「ん〜…まぁ良いだろ。大分年月は経ってそうだし、そんな危険はないだろうからな」

 

俺達はイージス艦の穴から中に入り、探検する事にした

 

「へぇ〜、イージス艦の中ってこうなってるんだ〜」

 

「はっちゃんはあっちに行きます」

 

「じゃあ僕こっち〜」

 

きそもはっちゃんも入ってすぐバラバラの場所に行った

 

俺は何かの証拠が残っているかと思い、操舵室へ入った

 

「え〜と…あったあった‼︎」

 

目当ての物はすぐに見付かった

 

探していたのはブラックボックスだ

 

見付かったは良いが、中身を見る為の機材が今は無い

 

「仕方無い。持って帰るか…」

 

「レイ‼︎こっち来て‼︎凄いの見つけたよ‼︎」

 

「マーカス様大変です‼︎」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ‼︎よいしょ…」

 

ブラックボックスを分かる所に置き、一旦二人の呼ぶ場所へ向かう

 

「こっちこっち‼︎」

 

二人に連れられ、恐らくだが貨物室に来た

 

「これ‼︎」

 

「これです‼︎」

 

「おいおいおい…」

 

二人の指差す先には見慣れたカプセルがあり、しかもまだ中に誰か入っていた

 

それも二本だ

 

「生命反応はありますね…どうされますか⁇」

 

「保護しよう。でもどうやって持って帰る…」

 

《…ちゃん‼︎も…だよ‼︎》

 

どこからか無線が入って来た

 

恐らく近場を巡回している艦船だろう

 

「混線ですねぇ。繋げます」

 

はっちゃんが耳に付けていた無線を弄ると、段々クリアになって来た

 

《艦長‼︎食料庫が被害甚大‼︎》

 

《なっ、何だと⁉︎向こう数カ月分の食料はあったハズだぞ‼︎》

 

「…は〜」

 

大体犯人が分かった

 

《照月、まだお腹空いてるよ⁇》

 

《うわぁ‼︎艦が傾斜してる⁉︎ダメコン急げ‼︎》

 

「…ガンビアに繋げろ」

 

「こちら横須賀分遣隊マーカス。ガンビア・ベイⅡ、応答せよ」

 

《こっ、此方ガンビア・ベイⅡ通信室‼︎現在、船体傾斜中の為、緊急ダメコンを作動中‼︎》

 

「こちらの位置が分かりますか⁇照月ちゃんを引き取ります」

 

《了解した‼︎操舵室‼︎今から言う方向に舵を取れ‼︎》

 

はっちゃんが無線を切って数十分後、ガンビア・ベイⅡは傾斜しながら俺達の居る場所に着いた

 

フラフラの艦長が降りて来た

 

「ほんっとすみません…」

 

「いえっ‼︎これも我々の職務の内であります‼︎」

 

流石は大湊の兵士だ

 

良く教育されている

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