今回のお話は、いよとひとみが出て来ます
そして、レイの子供である双子ちゃんの姉の方が出て来ます
「これはりんご。たいほうのすきなくだもの」
「あ〜」
「う〜」
食堂の床で、たいほうとひとみ達がいる
たいほうが寝そべりながらクレヨンでお絵描きしているのを、ひとみ達が見ている
上から見ると、三人共口を尖らせているのが面白い
「まさかたいほうがあぁなるとはな…」
「たいほうも立派なお姉さんだな」
今まで一番子供扱いされていたたいほうが、一番二人の面倒を見ている事に驚きを隠せない
「ふっ…今日は騒がしくなりそうだな」
「朝霜も来るからな」
三人を眺めながら朝霜を待っていると、いつもの高速艇ではなく別の艦が見えた
「ガンビアだ。こんな時間にどうしたんだ⁇」
「照月の件でヤキ入れに来たんじゃねぇのか⁉︎」
俺達はハハハと笑った後、数秒謎の間を空けて椅子から飛び上がった
「あり得る話だ‼︎」
「考えてみれば、何度もガンビアを沈めかけてる‼︎そろそろ殺られてもおかしくないっ‼︎」
俺達二人は港に立ち、シャツで急造した白旗を振った
今回は全部俺達に非がある‼︎
謝って済む話では無い‼︎
「降参だーっ‼︎」
「私達が悪かったーっ‼︎」
その頃、ガンビア・ベイⅡ艦内…
「艦長‼︎あれは⁉︎」
「大佐とレイさんだ…ん⁇」
艦長は二人が意味不明に振っているシャツと叫び声に違和感を覚えた
「何故シャツを振ってるんだ⁇」
「我々は…何か過ちを犯してしまったのですか⁇」
「もしそうだとすれば大湊に大打撃だ‼︎私が事を聞いてくる‼︎」
二人の振っていた白旗に気付かず、ガンビアは港に停泊した
「ヤベェ…一気に来るぞ…」
「いいかレイ…こうなりゃ土下座スタイルだ。私達は丸腰、向こうは重武装…敵う相手じゃない」
「オーケー…」
生唾を飲むと、艦長が降りて来た
「大佐、レイさん。お疲れさ…」
「「申し訳ありませんでした‼︎」」
俺達はコンクリの上に頭を付ける
「は…え⁉︎」
「照月はよ〜く叱っておきます‼︎」
「だから子供達だけは‼︎」
「いや…その…」
「そそそそそうだ‼︎艦長の好きなお菓子があるんです‼︎」
「なっ、中で御一服を‼︎」
「あっ…はっ、はぁ…」
俺達は艦長を食堂に入れ、何とか話し合いの席に持って行こうとしていた
「あっはっはっは‼︎」
事の事情を聞いた艦長は、ビスケットを食べながら大きく笑う
「違いますよ‼︎我々は普段から貴方がたの世話になっている身です。攻め込む必要は微塵も御座いません‼︎」
「だってホラ‼︎普段から照月がとんでもない事を‼︎」
「それに関しては心配なさらず。この間、照月ちゃん専用の食料庫を造りましたので、安心してお越し下さい」
「それに、毎回毎回ダメコン駆使は大変だろ⁉︎」
「訓練と思っております。現に見て下さい。新人でさえダメコンの使い方を理解しているので、最近は滅多に航行不能に陥っていません」
「は〜っ…」
「取り越し苦労で良かった…」
「あ〜」
いよがたいほうの元から離れ、此方にハイハイして来た
「どうした⁇お腹空いたのか⁇よいしょ…」
「あぅあぅ」
いよを抱き、ガンビアの艦長に目を戻すと、何故か顔が尋常ではない程青ざめていた
「マーカス大尉…その子を何処で…」
「座礁してたイージス艦の中で眠ってたのを保護したんだ。いよ⁇ご挨拶は⁇」
「あ〜♪♪」
いよは何が面白いのか、艦長と俺の顔を見てケラケラ笑っている
「そのイージス艦…まさか、きくづきでは⁇」
「知ってるのか⁇」
「えぇ…同僚が艦長を務めていた艦です」
情報に限界があるブラックボックスに頼るより、彼に聞いた方が良さそうだ
二人が何故新兵器と呼ばれていたのか、分かるかも知れない
「私は聞いただけではありますが、この二人は二身一体…簡単に言うと、二人で一つの力を使います」
「…と、言うと⁇」
「簡単に言うと、敵に察知されない超音波で的確に位置を把握出来ます」
「あ〜」
ケラケラ笑ういよに笑顔を送り、頭を撫でる
「片方が位置を特定し、もう片方は敵艦の破壊…と言うのがこの子達の役目だったんです」
「ソナーか何かでか⁇」
「自分の声を反響させてるんです。数キロ先まで敵艦の的確な位置が分かります」
「あ〜」
無邪気に笑うが、この笑顔に少しだけ恐怖を抱いていた
「まっ、貴方がたなら大丈夫でしょう。私ももっと恐ろしい兵器と思っていましたが…こんな小さな子に、罪はありませんからね」
「あ〜♪♪」
頬を人差し指で撫でられ、いよは嬉しそうだ
「おっとそうだ‼︎娘さんを乗せて来ましたよ。アソコに…ホラ‼︎」
港付近で何かを降ろしている朝霜がいた
「何降ろしてるんだ⁇」
「帰りは”アレ”で帰るみたいです」
いよをたいほうの傍に降ろし、隊長と艦長と共に外に出た
「あっ‼︎お父さん‼︎」
朝霜が此方に気付き、走って来た
「逢いたかったぜ‼︎」
「朝霜かぁ‼︎デカくなったなぁ‼︎」
朝霜を抱き上げ、久々の再会を果たす
磯風が来るまで期間が空いていた為か、朝霜はかなり饒舌に話せる様になっている
「聞いてくれよ‼︎アタイ、お父さんみたいに飛行機乗れるんだ‼︎」
「どれだ⁇」
「アレさ‼︎」
ガンビアから一機の機体が降ろされる
「”ブリストル”じゃないか‼︎何処で手に入れた⁉︎」
降りて来たのは、時代を感じる複葉機”ブリストル”だ
「私が買ったのですよ、マーカス」
「おばあちゃん‼︎」
朝霜は母さんに気付き、突進するかの様に抱き着く
母さんはそれを平気で受け止め、朝霜を抱き締める
「おばあちゃん、ありがとうな‼︎」
「いいのよ。でも、ちゃんとお父さんの言う事聞いて、絶対落ちちゃダメよ⁇」
「うんっ‼︎大事にする‼︎」
そんな二人を横目に、俺と隊長はブリストルに釘付けになっていた
「後部銃座があらぁ…」
「この時代の戦闘機は案外強いんだぞ。何せ攻め方がシンプルだからな」
「娘には負けたくねぇな…」
「そうなればっ…私達は引退だよ」
ブリストルはスペンサーの格納庫の横に格納され、朝霜がいる間はそこに置く事になった
「では、我々はこれで」
「艦長、連れて来ました‼︎」
「お腹いっぱい‼︎」
「いつの間に…」
口周りに食べカスをいっぱい付けた照月がガンビアから降りて来た
「ちゃんとお礼言ったか⁇」
「うんっ‼︎ガンビアさん、ごちそうさまでした‼︎」
「んっ。また遊びにおいで」
艦長は照月の頭を撫でた後、ガンビアに乗り、基地から出航した
「照月。そんなにガンビアのご飯は美味いのか⁇」
話をしながら、照月の口周りを拭く
「うんっ‼︎缶詰とか、お肉がいっぱいあるんだぁ〜‼︎」
「そっか。トラックさんのご飯とどっちが美味しい⁇」
「う〜ん…トラックさんのご飯はとっても美味しいよ⁇でも、ガンビアさんのご飯も同じ位美味しいんだぁ〜‼︎」
「んっ‼︎照月は偉いなぁ‼︎」
照月は誰も傷付かない答えを出した
食堂に帰って来ると、照月は早速巨大なプリンを食べ始めた
「照月の姉貴…まだ食うのか⁇」
朝霜の前に置いてある普通のプリンがメチャ小さく見えるサイズのプリンを、照月は目にも止まらぬ速さで平らげて行く
「出来たわ。食べなさい」
「おっ、サンキュー」
霞の作ったフルーツの乗ったプリンを貰い、スプーンで食べようとした
「う〜」
いつの間にかひとみが足元におり、プリンをくれと言わんばかりにズボンを引っ張っている
いよはいよで、たいほうの足元にいる
「すてぃんぐれい、いよ、ぷりんたべる⁇」
「まだ早いかな…歯生えてたら良いんだが…よいしょ」
「う〜」
「いよちゃんはこっちよ〜」
「あ〜」
俺はひとみ、貴子さんはいよを抱き上げ、膝の上に乗せる
「ひとみ、い〜っ」
「う⁇」
歯を見せて行動を促すが、ひとみにはまだ早かった様だ
俺はプラスチックの小さなスプーンで少しだけひとみの口を開けて見た
「まだ生えてないな…」
「いよちゃんもまだね…」
ひとみもいよもまだ歯は生えていなかった
「ゔぅ〜」
「悪い悪い‼︎」
ひとみが唸り始めたので、スプーンを口から抜いた
「たいほうは歯は生えてるか⁇い〜っってしてご覧⁇」
「い〜っ‼︎」
たいほうは綺麗な歯を見せてくれた
「んっ‼︎いっぱい生えてるな‼︎朝霜は⁇」
「あ〜…」
朝霜は口を開けて歯を見せた
「朝霜は綺麗なギザギザの歯だな」
「お母さんもギザギザなんだ‼︎」
ギザギザの歯は母親譲りか…
確かに横須賀に噛まれると痛い
「レイ、これなら飲めるかしら⁇」
霞の手には、プリンを液状にした物が入った哺乳瓶が握られていた
霞から哺乳瓶を受け取り、ひとみの口に近付けてみる
「おっ‼︎」
ひとみは哺乳瓶を持つかの様に手を上げ、中身を飲み始めた
「おぉ‼︎飲んだ飲んだ‼︎美味しいか⁉︎」
ひとみはお腹が空いていたのか、哺乳瓶の中を全部飲み干した
「さっ、レイ君。ゲップが出るまで、背中ポンポンしてあげて」
貴子さんの見よう見まねで、ひとみの背中を軽く叩き続ける
「げふ」
「おっ、出た出た」
「けふっ」
「よしよし、良い子ね」
ひとみもいよも、ちゃんとゲップが出た
満足したのか、二人とも手を離れ、いつもたいほうと照月がいるテレビの前でコロコロし始めた
「ごちそうさま‼︎」
朝霜はちゃんと食べた後の器を流しに置き、ひとみといよがコロコロしている近くに座った
「たいほうもたべた‼︎」
「美味しかったか⁇」
「うんっ‼︎たいほうぷりんすき‼︎」
たいほうもテレビの前に座る
最後に照月もテレビの前に座る
これだけテレビの前に座ると言う事は、何か番組が始まるのか⁇
《ゴー、ゴー、橘花マーン‼︎ゴーゴー橘花マーン‼︎》
「きっかま〜ん‼︎」
「あぉ〜」
「うぁ〜」
子供向けのヒーロー番組の様だ
ひとみといよもテレビの向こうのヒーローに反応している
《橘花マンブレード‼︎》
「あ〜…」
《橘花マンショット‼︎》
「う〜…」
たいほうや照月、朝霜以上に二人はテレビに魅入っている
刺激が多くて、見てくれもカッコイイから、赤ん坊でも惹かれるのだろうか⁇