艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、14話が一旦終わりました

ここからの話は、パパとビスマルクのちょっとした過去のお話です

ビスマルクがパパと出逢い、ちょっとずつ成長していくお話です


15話 雀と雄鳥(1)

3年前…

 

〜横須賀鎮守府の地下研究室〜

 

「これは…」

 

深海棲艦の攻撃から2年が経ち、まだ療養中だった私は、リハビリがてら横須賀君に誘われ、基地の見回りをしていた

 

「艦娘ですよ。耳に入ってませんか⁇」

 

「いや…」

 

連れて来られた地下研究室の中では、溶液に満たされた巨大な試験管の様なものの中で、一人の女性が眠りについていた

 

「我々生身の人間では、奴等にはかないません。ですから、最初で最後の対策として、ドイツから試作の艦娘のサンプルを貰い、今作り上げてる所です」

 

「名前は⁇」

 

「ビスマルク…ドイツではそう呼ばれています」

 

「ビスマルク、ね…」

 

これが、私と彼女の初めての出会いだった

 

 

 

数日後…

 

病院のベッドで横になっていた私の所に、息を切らした横須賀君がやって来た

 

「大佐‼︎出来ましたよ‼︎」

 

「昼飯か⁉︎」

 

「違いますよ‼︎ビスマルクです‼︎」

 

「是非見たいね」

 

「行きましょう‼︎さ‼︎」

 

まだ義足にあまり慣れていなかった為、地下研究室まで大分時間がかかった

 

「いいですよ、大佐。ゆっくりで」

 

「すまんな…」

 

横須賀君に支えられながら、ようやく地下研究室に着いた

 

「ばうむくぅへん‼︎」

 

「そうだ‼︎偉いぞ‼︎」

 

数人の研究員が、ビスマルクと呼ばれる女性の周りで何かを教えていた

 

「この子が…」

 

「おはよう、ビスマルク」

 

「おはよう、よこすかくん‼︎」

 

上からも下からも、大体彼は横須賀君と呼ばれている

 

が、女性にまで呼ばれるとは…

 

「この人は隊長さん。今日から君の面倒を見てくれる」

 

「たいちょうさん、よろしくね‼︎」

 

「あ、あぁ…」

 

「取り敢えず、散歩してみてはいかがでしょう⁇」

 

「おさんぽ⁇」

 

「そう。隊長と手を繋いで…」

 

ビスマルクは私の手を取った

 

私はそれを握り返す

 

「そう。じゃあ、ちゃんと隊長の言う事聞くんだよ⁉︎」

 

「わかった‼︎」

 

事態が読めぬまま、外に出された

 

「うわぁ〜‼︎ひろ〜い‼︎」

 

さて、何から教えようか…

 

「たいちょうさん、あれなに⁇」

 

ビスマルクが指差す方向には、編隊飛行をしている戦闘機が飛んでいた

 

「あれは戦闘機だ。名前はイーグル」

 

「いーぐる⁇」

 

「そう。私達を護ってくれる」

 

「いーぐるすごい‼︎」

 

はしゃぐビスマルクを見て、自分の足が憎くなった

 

こいつが無けりゃ、「乗せてやろう」とか、粋な言葉が言えたのに…

 

「飛行機、好きか⁇」

 

「ひこうきすき‼︎」

 

「よし、じゃあ見に行こうか‼︎」

 

「やった〜‼︎」

 

ビスマルクを連れ、飛行場に向かった

 

「隊長⁉︎隊長だ‼︎」

 

一人の青年が私に気付き、駆け寄って来た

 

こいつはいつも私に懐いてくれるので、可愛がりがある

 

「元気にしてたか⁇」

 

「はいっ‼︎」

 

「この娘に戦闘機を見せてやりたい」

 

「いいですよ。色々教えてあげて下さい‼︎」

 

立っていたその一瞬の時でさえも、スクランブルで数機が飛び立って行く…

 

「速いな…」

 

「新しく配備された機体ですよ…あれでも通用するかどうか…」

 

「ぴかぴかのひこうき‼︎」

 

さっき飛んで行った機体と同じ型だ

 

「ビスマルクちゃん…でしたっけ⁇ビスマルクちゃんがドイツから輸入されたのなら、こちらはロシアから輸入したんです」

 

「名前は⁇」

 

「T-50です。じき、隊長も乗るかも、ですよ⁇」

 

「たいちょうさんは、ひこうきのれるの⁉︎」

 

「昔はな…今はちょっとお休みだ」

 

「いいこにしてたら、びすまるくものれる⁇」

 

「そうだなっ…俺がいつか乗せてやる」

 

ビスマルクの頭を撫でると、彼女は小指を出した

 

「にっぽんのひと、こゆびでやくそくする‼︎」




チビスコ…ドイツからやって来た、プロトタイプビスマルク

深海棲艦に対抗する為、急遽ドイツから輸入した試作型のビスマルク

スピードは尋常じゃない速度だが、人と同じ様に体と感情が成長していく

パパや整備兵、研究員のみんなから大切に扱われている
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