艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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135話 双子の記憶(2)

急に扉が開き、船体に叩きつけられた

 

”いや〜‼︎やっと着いたで〜‼︎”

 

”愛し懐かしおうちやな‼︎”

 

扉が開いた瞬間、まるで群れを成したフナムシの様にワサワサゾロゾロと妖精達が降りて来た

 

”なんや大佐。ピストルなんか構えて”

 

「あ…いや…」

 

”あれ⁇レイさんは何処行ったんや⁇”

 

「テメェら…」

 

”なにしてんねん”

 

”ぷげら‼︎って聞こえたんはレイさんやったんか”

 

”すまんすまん”

 

「まぁいい…点呼‼︎」

 

俺の一声で、妖精達がズラッと整列する

 

「全員いるか⁇」

 

”おるわアホ‼︎”

 

”おらんと思ったかマヌケ‼︎”

 

「ぐっ…おっ…」

 

現状、俺しか妖精を束ねる事が出来ないらしいのだが、その俺がこういう扱いである

 

悪く言えば舐められている

 

良く言えば仲が良い

 

「たらいま‼︎」

 

「たらいま‼︎」

 

四人が帰って来た

 

「おかえり。楽しかったか⁇」

 

「…」

 

「…」

 

ひとみといよは、きくづきを見るなり黙り込んでしまい、ずーっときくづきを見詰めている

 

「どうした⁇」

 

「いちじくしゃん…」

 

「いちじくかんちょー…」

 

「…覚えてるのか⁇」

 

「いよ、これにのってた‼︎」

 

「ひとみものってた‼︎」

 

「マーカス様。やはりこの艦は主人の所へ返すべきです」

 

はっちゃんが本を弄ると、何かの地図が表示された

 

「一軸様が提督をされている基地がここにあります」

 

はっちゃんが指差す位置には、小さな島がある

 

「それに、一軸様なら二人の謎も分かるかと」

 

「よし分かった。行こう‼︎」

 

「少し準備をしますね。貴方達、はっちゃんに着いて来て下さい」

 

はっちゃんは妖精を引き連れ、工廠へと入って行った

 

「レイ。イージス艦なんか運転した事あるのか⁇」

 

「無いっ‼︎」

 

「言うと思ったよ…」

 

隊長は上着を脱ぎ、肩に掛けてきくづきに入って行く

 

「隊長⁇」

 

「子供達の面倒を頼むぞ」

 

「あ…あぁ‼︎」

 

そうだ‼︎

 

隊長は船の運転が出来るんだ‼︎

 

大分前にラバウルの連中をグルグル巻きにして、ボッロイ船に乗せて横須賀に行ってた‼︎

 

貴子さんとローマに留守を頼み、たいほうとはっちゃんとしおい、そして、きそとひとみといよを乗せた

 

「全員乗ったか⁇」

 

「オーケー‼︎詰め込んだ‼︎」

 

「出るからな。しっかり掴まってろよ」

 

きくづきが基地から出る

 

「たいほうちゃんは僕と遊ぼうね⁇」

 

「うんっ‼︎おりがみしよ‼︎」

 

きそとたいほうは貨物室の様な場所で一緒に折り紙をやり始めた

 

「さぁ、はっちゃんが本を読んであげます」

 

「はっしゃんのほんよむ‼︎」

 

「おしゃかなのおはなし‼︎」

 

「しおいも‼︎」

 

子供達はきそとはっちゃんに任せて大丈夫そうだ

 

俺は二人に任せ、操舵室に来た

 

「ありがとう、隊長」

 

「レイに負けてられんからな。座標を設定したから、後は目を閉じていても着く」

 

隊長は時々俺と張り合おうとする

 

隊長、俺は越える気は無いぜ

 

「しっかしまぁ…良い装備が揃ってるな。流石はイージス艦だ」

 

「”アレ”も乗ってるのか⁇」

 

「あるぞ。ホラ」

 

隊長が操作している電子機器の一つに”しーすぱろー”と書かれていた

 

妖精が書いたのか、何故か平仮名で書かれている

 

「サジタリウスの矢だな…こいつは」

 

「ふっ…絶対当たるってか⁇」

 

このミサイルは大変面倒くさい

 

一度発射されると、目標が死ぬまで追い掛け回してくる

 

「敵に回すとメチャクチャ面倒くさい奴だよ…まさか乗る事になるとはな」

 

「山程撃沈して来たのに…か⁇」

 

「まぁな…」

 

「レイ。こう考えよう。敵を知るのも戦いの一つ、ってな⁇」

 

「いい勉強になるよ」

 

皮肉も含めて隊長に言葉を返す

 

火気厳禁の癖に、俺達はタバコに火を点けた

 

「ブラックボックスの中身、ようやく開示出来たよ」

 

「どうだった⁇」

 

「艦長は良く出来た人間みたいだ。統制が取れていた艦だったって、よく分かった」

 

「なるほどな…」

 

隊長と話し込んでいると、無線に通信が入った

 

《此方、呉分遣基地。所属不明艦へ》

 

「ヤッベェ…俺達は今、ただの不審人物だ‼︎」

 

隊長が無線を取り、何かを言おうとした時、別の通信が入った

 

《その艦は我々の旗艦だ》

 

「誰だ‼︎」

 

きくづきの両サイドの海面から、何かが浮上してきた‼︎

 

「潜水艦だ‼︎」

 

《遅れたようだな。すまない》

 

「呉さん‼︎」

 

現れた二隻の内、片方の潜水艦に呉さんが乗っているらしい

 

《”艦長”、基地で補給を受けたい。良いですか⁇》

 

《清政か⁉︎お〜来い来い‼︎そのイージス艦もな‼︎あっ‼︎》

 

何故か呉分遣基地の無線は急に切れた

 

「呉さん、ありがとう」

 

《なぁに。懐かしい艦を見かけたのでね》

 

「乗ってたのか⁉︎きくづきに⁉︎」

 

《えぇ。貴方の隣にいる潜水艦の艦長もですよ》

 

《いつもお世話になっています》

 

「誰だ…」

 

《ご、ゴホン‼︎今日は照月ちゃんは⁇》

 

「「イカさん‼︎」」

 

もう片方に乗っていたのは、高速艇を運転している、あのイカさんだった

 

《さぁ、着きますよ‼︎》

 

呉分遣基地が見えて来た

 

二隻の潜水艦は、きくづきを護る様にして、呉分遣基地の港に停泊した

 

子供達を降ろす前に、俺達は先に呉分遣基地に降りた

 

「ご無沙汰です」

 

「ありがとう。助かったよ」

 

隊長は呉さんと

 

「助かったよ。それに、いつも照月が…」

 

「気にしないで下さい。我々は、いつだって貴方がたの味方ですよ」

 

俺はイカさんと握手を交わす

 

「しかしまぁ…よくきくづきを修復出来ましたね…」

 

「礼なら、レイの妖精達に言ってくれ」

 

「レイだけに、ですか⁇」

 

「そう言う事」

 

隊長と呉さんは、イカさんに頭を下げる俺を見た

 

「それで、本題ですが…貴方がたがここに来たのは、きくづきの件だけでは無いハズです」

 

「あぁ…それなんだけどな…」

 

隊長が頭を掻いていると、きくづきから子供達が降りて来た

 

「うっはぁ〜‼︎リゾート地みたいだね‼︎」

 

「海が綺麗です‼︎」

 

きそとはっちゃんが、小さい子を連れて降りて来た

 

そして、呉さんとイカさんは目を疑う

 

「えいしゃんいた‼︎」

 

「だっこ‼︎」

 

ひとみといよは俺に抱っこをせびり、いつも通り両肩に乗って来る

 

「”セイレーン・システム”…だと⁇」

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