「こんな物があるから‼︎世界は平和にはならんのだ‼︎ははははは‼︎」
「何て事を…」
先程レイに噛み付いていた老人が、基地内の爆薬を使い、フィリップを破壊してしまった
「レイ‼︎」
「ダメだよ‼︎今行ったら危ない‼︎」
きそはレイの所に行こうとした横須賀を引き留める
余程爆薬が多かったのか、火の手はたいほう達の所にも広がる
「うぇ〜〜〜〜〜ん‼︎すてぃんぐれい‼︎パパ〜‼︎たすけて〜〜〜‼︎」
「うわ〜〜〜〜〜ん‼︎お父さ〜〜〜ん‼︎」
火の中からたいほうと朝霜の声が聞こえた
「あっついよーーーーー‼︎」
「お父さーーーーーん‼︎」
「たいほう‼︎朝霜‼︎待ってろ‼︎」
二人の泣き声が聞こえてすぐ、隊長が火へと向かう
「あぁっ‼︎」
「うわぁ‼︎」
その悲鳴を最後に、二人の泣き声が止んだ
「たい…ほう…」
隊長はその場に膝を落とした
目の前で娘が、老人の身勝手で二人も死んでしまったのだ
「うぅっ…すまない‼︎」
「パパ‼︎」
「たいほう⁉︎」
何故か目の前にたいほうが居る
隊長はたいほうを見るなり抱き締めた
俺はそんな二人を見て、抱えていた朝霜を降ろし、背中を押した
「…イクンダ」
「…お父さん⁇」
「レイ、お前…」
「タイチョウ。オレガイマカラスルコト、コドモタチニミセナイデクレ」
「分かった。行こう」
俺はフィリップを破壊された怒りと、子供達に被害が及んだ怒りにより、深海化してしまっていた
お陰でたいほうと朝霜を助ける事は出来た
隊長達が安全な場所に避難して行く所に、老人共は固まって存在していた
俺はゆっくりと老人共が固まっている場所へと歩んで行く
「オマエラ…カクゴハデキテルンダロウナ」
「このバケモンが‼︎さっさとこの世から消えろ‼︎」
老人の一人が石を投げて来た
俺はその石を掴み、瞬時に石を投げた老人に投げ返した
老人の動きが一瞬止まり、ガクンと首が落ちる
石は老人の眉間を貫通し、完全に死に至らしめていた
「ば…バケモン‼︎」
残った四人の老人は、蜘蛛の子散らす様に逃げ出し始めた
老人はこれだから嫌いだ
見ろよ、ついさっきまで車椅子に乗ってた老人が必死こいて両足で走り回ってる
俺は一人を掴み、首を180°捻り、断末魔を叫ぶ暇すら無く、地べたに落とす
次に捕まえた老人は、喉元に噛み付き、一撃で仕留め、地べたに落とす
残り二人
「く、来るんじゃない‼︎」
「見ろ‼︎君達‼︎バケモノだぞ‼︎」
「ひぃぃ…」
残った二人の内一人が、逃げ遅れた子供を盾にし始めた
老人共に盾にされたのは山風だ
「クズドモガ…」
「マーカスさん…助けてぇ…」
あまりにもビックリしたのか、山風は漏らしてしまっていた
俺は一瞬で山風に近付き、老人の手から連れ戻した
「コノコハカエシテモラウ」
「マーカスさん…ありがと…ありがとう…」
「モウダイジョウブダ…」
山風を隅にやり、俺は再び老人共に目をやる
「マズハオマエダ…」
山風を人質に取っていた老人の首を掴み、力を入れて握る
白目を向いて息をしなくなるまで、それ程かからなかった
「サイゴハオマエダ。カンタンニシネルトオモウナヨ…」
「助けてくれぃ‼︎頼む‼︎後生じゃ‼︎」
最後の老人の頭を掴み、一度持ち上げる
「ソノコトバ…オレァナンゼンナンマントサケンダケド…オマエラハタスケテクレナカッタヨ…ナッ‼︎」
一気に床に顔面を叩きつけ、老人は悲鳴を上げる
「ぐぎゃあ‼︎」
「イタイカ⁇イタイダロウナッ‼︎」
老人の腕を折り、何度も何度もコンクリートの床に顔面を叩きつける
「アァッ‼︎イテェカ⁉︎コドモタチハモットイテェンダゾ‼︎」
数十回叩きつけ、老人は既に事切れていた
だが、それでも止めない
「ハハハハハハ‼︎シネ‼︎シネシネシネ‼︎クタバレクタバレクタバレ‼︎」
「横須賀さん‼︎レイはもう限界だよぉ‼︎」
「分かったわ…」
横須賀は腰に挿していたピストルに一発、弾を込めた
そして、レイ目掛けて引き金を引いた
「グァッ…」
レイの後頭部に当たり、レイはその場に倒れた
「うわっ‼︎しまった‼︎」
「どこ狙ってるのさ‼︎ヘッドショットじゃんか‼︎」
「麻酔弾だから大丈夫よ‼︎レイをスカイラグーンに搬送するわ‼︎担架用意して‼︎」
レイはスカイラグーンに搬送され、露天風呂に浸けられた
「私が付き添うわ」
横須賀さんは服を脱ぎ、レイが溺れない様に抱き寄せながら露天風呂に浸かる
皆が心配する中、数時間後、レイは目を覚ました
「もう大丈夫よ…」
横須賀さんはレイの顔を掴んで顔を近付ける
「あ…あぁ…」
レイは湯船から立ち上がり、脱衣所に向かった
横須賀さんも湯船から上がり、レイの背後を着いて行く
「ホラッ、ちゃんと着替えてっ‼︎みんな待ってるわよ」
横須賀さんはレイに服を渡し、レイはそれに着替える
「みん、な…⁇」
「そうよ。みんな心配してるわ」
「あっ‼︎起きた‼︎」
僕はようやく起きたレイに抱き着いた
「…離せ」
「心配したよぉ〜‼︎」
「離せと言ってる」
「え…」
ふとレイの顔を見ると、本気の目をしているのに気が付いた
「れ…レイ⁇」
レイが何だか他人の様な気がする
「ちょっとレイ…」
レイは僕を引き剥がした後、脱衣所から出て行ってしまった
僕は横須賀さんと顔を見合わせ、首を傾げた後、レイを追って脱衣所を出た
喫茶ルームに戻ると、みんなから安堵の息が漏れた
「レイ‼︎心配したぞ‼︎」
「すてぃんぐれい、もうだいじょうぶ⁇」
「あ…あぁ…」
やっぱりレイの様子がおかしい
いつもの様にたいほうちゃんが足元にくっ付いても、抱き上げようとしない
「離してくれるか」
「だっこして⁇」
「あの人にして貰え」
「すてぃんぐれいがいいの‼︎」
「レイ…⁇」
レイの復活を歓喜していた一同が、一気に不安に駆られる
「ちょっと…レイ⁇アンタさっきから何言ってるの⁇」
「頼む。この子駄々こねるんだ。ホラ、このお姉ちゃんにして貰え」
「ヤダ‼︎すてぃんぐれいがいい‼︎」
「ワガママ言うな‼︎」
「ひっ…」
レイがたいほうちゃんに吠える事なんて、今までなかった
これは明らかに様子がおかしい
「さっきからなんだ。俺に何か用か⁇」
「レイ、横須賀さんがずっと付き添ってくれてたんだよ⁇御礼位言ったらどうなのさ」
「いいわよきそちゃん…」
「横須賀⁇そんな奴知らん。きそ…とか言ったか⁇お前も俺に何か用か⁇」
「…いい加減にしなさいよ⁇」
「横須賀、待て。レイ、私は分かるか⁇」
パパがレイに歩み寄る
「知らん。アンタは誰だ⁇」
「お前…記憶が…」
レイは普段パパにタメ口は利くが、アンタなんて絶対に言わない
「とにかく、これ以上俺に関わらないでくれ」
レイはそう言い残し、喫茶ルームから出て行ってしまった
「嘘でしょ…」
横須賀さんはその場にへたり込んでしまった
「私の所為だ…当たり所が悪かったのよ…」
「自分を責めるな。大丈夫だ」
パパは顔面蒼白の横須賀さんの背中をさする
すると、レイが戻って来た
「ここは何処だ…」
「レイ、スカイラグーンだ。お前が取り戻した平和の象徴だよ」
「俺が…取り戻した⁇」
「そうだ」
「アンタらは…俺を知ってるのか⁇」
レイが見回した先には、沢山の友人がいる
「勿論さ‼︎ここにいるみんな、お前の友達だよ‼︎」
「思い出せん…この女が誰だったのかも、アンタ達が友人だった事も…」
「大丈夫。大丈夫さ。きっと思い出す」
「隊長、しばらくレイを預からせて下さい」
「…頼んだ。私は医学は分からない。明石辺りに診て貰ってくれ」
「…畏まりました」
「レイ。すぐ逢いに行くからな⁇」
「あぁ…」
「レイ、行くわよ」
私はレイの手を引き、横須賀行きの高速艇へと乗り込んだ…
レイが記憶喪失になりました