そして週末…
早朝、ワンコは出掛ける準備をし、いざ出ようとしていた
「ニム、榛名は⁇」
「なんか本土に遠征に行くって言ってたニム。提督、ニムもコレしたいニム」
「あぁ、いいよ。榛名がいない内にしときな」
「ニムゥ‼︎」
ニムはいつも榛名が牛耳っているマッサージチェアーに座り、映画を見始めた
ニムを執務室に残し、ワンコは港に来た
「提督、霧島も横須賀まで行くマイク」
「うん」
霧島と共に高速艇に乗り、横須賀を目指す
横須賀に着くと、霧島は繁華街に向かって行った
「おっ、ワンコ‼︎」
「レイさん‼︎」
ジープの貸し出し場でレイに出会った
「休暇か⁇」
「えぇ。居住区に行こうかと」
「ほぅほぅ…なら手前まで送ってやるよ」
「いいんですか⁉︎」
「どうせ俺達も居住区の近くまで行くからな」
ワンコはレイの言葉に甘え、ジープの助手席に乗った
高速に乗ると、レイはタバコに火を点けた後、口を開いた
「帰りは横須賀に電話寄越しゃ、迎えが来る」
「分かりました‼︎」
「…まりに逢いに行くのか⁇」
「どうしてそれを⁉︎」
「たいほうに聞いたよ。ワンコ、まりの事を知ってるって」
「…まりは同級生なん…もが‼︎」
ワンコが何か言おうとした時、レイはワンコの口にタバコを一本咥えさせ、火を点けた
「言いたくないなら言うな。人には色々事情がある」
「レイさん…」
「…お前タバコ吸うよな⁉︎」
「えぇ。たまにですが」
「なら良かった」
レイは何も聞かなかった
ワンコはレイの優しさに触れ、居住区の入り口付近で降ろして貰った
「ハンカチは持ったか⁇」
「大丈夫です‼︎」
「じゃあな。俺はボウリングして来る」
「ボウリングですか⁉︎」
「横須賀にコテンパンにされたからな…内緒だぞ‼︎」
「えぇ‼︎」
レイはそう言い残し、ジープを走らせた
居住区の入り口の検問は厳しい
一般市民は入れる人が限られる
ワンコは身体検査を受け、ようやく居住区に入った
だが、居住区は広い
何せ街一つ分だ
「あの…まりという子の家は何方ですか⁇」
「申し訳ありません。提督と言えどもお答えしかねます」
「そうですか…」
検問所の職員に断わられ、ワンコは広い居住区を渡り歩く事にした
「…ふぅ」
ワンコの思ってる以上に、居住区は広かった
一旦広場のベンチで休憩を取り、自販機で買ったジュースを口にする
「あら。見慣れない顔ね⁇」
「君は…」
ワンコの前で、ブロンドの髪が踊る
見た所、大人の女性の様だ
「アドミラルとお見受けするわ。違う⁇」
「よく分かったね」
ブロンド髪の女性はワンコの横に座り、顔を合わせる
「私はビスマルク。貴方は⁇」
「犬養健一。みんなからワンコって呼ばれてる」
「私もワンコって呼ぶわ。それで、誰かお探し⁇」
「うん。まりって子を探してるんだけど…」
「まりなら今学校よ。案内してあげる‼︎」
ビスマルクに手を引かれ、赤いオープンカーに乗せられた
「行くわよ‼︎」
「うわっ‼︎」
ビスマルクの運転は荒らそうに見えるが、中々上手い
ワンコは必死に車にしがみ付きながら、ビスマルクの運転に着いて行こうとする
「びっ‼︎ビスマルク‼︎ちょっとゆっくり‼︎」
「ごめんごめん‼︎」
ビスマルクは高々と笑う
笑った顔も美しい
信号で止まると、ビスマルクは口を開いた
「ワンコはウィリアム大佐を知ってる⁇」
「うん。とてもお世話になってる人だからね」
「私、あの人に育てられたのよ⁇」
「そうなの⁉︎」
「大佐には嫁がいるでしょ⁇ここにはね、もう一人の大佐の嫁もいるから、暇なら探してみるといいわ‼︎」
学校の前に着き、ワンコはそこで降りた
「大佐にもう一人ケッコン相手がいるの⁉︎」
「いるわ。まっ、すぐに分かると思うけど⁉︎それにケッコンとは言え、その子も大佐も恋愛止まりよ。体の関係じゃないわ⁇」
「はへぇ〜…」
「じゃっ。頑張ってまりを探しなさい。じゃあね〜」
ビスマルクはサングラスをかけ、そのまま走って行った
残されたワンコは、とりあえず学校のチャイムを鳴らしみた
「大佐かぁ…私も好きだったなぁ…」
ビスマルクはオープンカーを走らせながら、独り言の様につぶやいた…