艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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143話 恋は動き出す(3)

「本日は社会見学の日でして…」

 

何とタイミングの悪い…

 

ワンコは学校から出ようとしたが、一人の職員に止められた

 

「犬養君じゃない⁇」

 

「山城先生⁉︎」

 

ワンコはこの学校に居たのだ

 

だから、当時からここに居る教職員はワンコを知っていた

 

この山城先生は、今も当時も国語の先生

 

「提督になったのね」

 

「えぇ」

 

「私が着いていてあげるから、ちょっと学校回らない⁇」

 

ワンコは山城先生の言われるがまま、校内を回る事にした

 

 

 

 

ワンコは一つ一つ思い出していた

 

当時のまま変わらない廊下

 

まり達と沢山話した中庭

 

そして教室…

 

自分が座っていた席の机を撫で、ちょっと座ってみる

 

目を閉じると、当時の思い出が蘇ってくる…

 

今でも背後から千切った消しゴムを当てられそうだ…

 

「犬養君はまりちゃんが好きだったのよね⁇」

 

山城先生はいつもの癖なのか教壇に立っている

 

「知ってましたか…ははは」

 

「あの日の事、許してくれなんて言わないわ…」

 

「別にいいです…」

 

「私は許してないけどね」

 

「なっ‼︎」

 

山城先生の手にはピストルが握られており、銃口をワンコに向けた

 

「あの日殺された先生ね…私の婚約相手だったの」

 

「生徒を売った奴だぞ‼︎」

 

「そうね。だから私達はそのお金を手にして、何処かに行こうとしてたのよ⁇」

 

「そんな事の為にまりとりさは…」

 

「真実を知って後悔した⁇」

 

「ゆるさなイ…」

 

机を掴んでいたワンコの手に力がこもる

 

「あはははは‼︎化け物は地獄に堕ちなさい‼︎」

 

山城先生が引き金に指をかけた時、いきなり黒板が置かれていた壁がバラバラに砕け散った

 

「はっ‼︎」

 

破壊された黒板と壁から見えた、見慣れたダズル迷彩のハンマー…

 

「そういう真相だったんダズルなぁ‼︎」

 

榛名だ‼︎

 

「な、何よコイツ‼︎」

 

「榛名‼︎」

 

「ぬぅんダズル‼︎」

 

榛名は山城先生の肩を掴み、頭突きを当て、一撃で気絶させた

 

「はっ‼︎口先だけのヘボダズルな‼︎」

 

榛名は久々に破壊行動が出来たのか、表情は嬉々としている

 

「大丈夫ダズルか⁇撃たれてないダズルか⁇」

 

「榛名…」

 

「提督に盗聴器を仕掛けといて正解ダズル」

 

「え⁉︎どれ⁉︎」

 

「そのカバンに付いてるピンバッチダズル」

 

今まで何故気付かなかったんだろう…

 

肩掛けカバンには、明らかに目立つピンバッチが付いていた

 

榛名が舌を出して、アッカンベーしてるピンバッチだ

 

…見ていたら腹が立ってくる

 

「よ〜し、榛名は表の警官にコイツを放ってくるダズル」

 

榛名は気絶した山城先生の足を持ち、ズリズリと引き摺って教室を出ようとした

 

「は、榛名‼︎」

 

「いいか提督。榛名はまりなら許してやるダズル。だがな、自分から抱こうとしたら、榛名はブッ殺すダズル」

 

「まりは…俺を覚えてくれてるかな⁇」

 

「心配するんじゃないダズル。こんなクソみたいな学校ダズルが、榛名は思い出がイッピーダズル。こんなキラキラの思い出、誰も忘れる事なんて出来んダズル。だから、まりが提督を忘れてるハズなんてないダズル」

 

「そっか…そうだよね」

 

「そうだ提督」

 

「ん⁇」

 

「因みに榛名は、ここで提督を好きになったんダズル。ここは長い長い恋愛の始まりの場所でもあるんダズル」

 

「俺もだよ、榛名」

 

「はんっ‼︎提督が言うとクッセェダズル‼︎」

 

「ぐっ…」

 

何故だろうな⁇

 

榛名に言われても、あまり腹が立たない

 

なるほど…

 

罵しられは、まりで慣れてたのか…

 

結局、学校でまりに逢う事は叶わなかった

 

ワンコは色んな思い出が詰まった学校を後にし、トボトボと歩き始めた

 

気付けばいつの間にか艦娘が固まって住んでいるエリアに来ていた

 

「あらあら。迷子さんかしら⁇」

 

振り返ると、そこには見た所大学生位の女性がいた

 

「私はみほ。君は⁇」

 

「犬養健一です。あの…」

 

「誰か探してるのね⁇」

 

ワンコはふと、みほの胸元に目が行った

 

ネックレスの先に指環が付いている

 

「これ⁇とても大切な人から頂いたのよ⁇」

 

「大佐とケッコンしてるのってまさか‼︎」

 

「あらあら、ウィリアムの知り合い⁇なら、ちゃんとお相手しないとね‼︎」

 

ワンコはみほにまりの話をした

 

まりはバイトがあるらしく、そのバイト先を教えてくれた

 

ワンコはみほにお礼を言い、そこへ走った

 

「あらあら…若いのね」

 

年寄りみたいな事を言った後、みほは家に入った

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