艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

47 / 1101
15話 雀と雄鳥(2)

「はいっ」

 

二人は小指を絡め、指切りげんまんをした

 

「やくそくだよ⁉︎」

 

「分かった」

 

「あら、隊長」

 

「お疲れ様」

 

現れたのは、女性のパイロット

 

どうやら戦闘機から降りて来たみたいだ

 

「足はどうです⁇」

 

「リハビリがてら出て来ただけだ。まだ完全じゃない」

 

「この娘は⁇」

 

「びすまるく‼︎」

 

「あぁ…研究室で造っていた」

 

「まだ生まれたての赤ちゃんみたいなもんだ」

 

彼女は膝を曲げ、ビスマルクに話しかけた

 

「ビスマルクちゃんは何が好き⁇」

 

ビスマルクと彼女が話している最中、机の隅に置いてある物に気が付いた

 

「ひこうきとばうむくぅへん‼︎」

 

「そう‼︎飛行機が好きなのね‼︎」

 

「ひこうきはね、おそらとんで、びすまるくをまもってくれるの‼︎」

 

「隊長」

 

「ん⁇」

 

「この娘、私に下さい‼︎」

 

「ダメ」

 

「ぐぬぬ…」

 

「ビスマルク」

 

「ん⁉︎」

 

「これをやる。使いさしだが、まだ充分使える」

 

渡したのは、クレヨンとスケッチブック

 

スケッチブックの中には、過去に私が趣味で書いた戦闘機の絵が沢山ある

 

「おえかきする‼︎」

 

「お部屋に帰ってからな」

 

「うんっ‼︎」

 

スケッチブックとクレヨンを大事そうに抱いているビスマルクと共に、ようやく研究室に着いた

 

ちょっと歩いただけなのに、もう足が限界だ

 

「今日はお別れだ」

 

「またあしたもあえる⁇」

 

「体調が良かったらな」

 

「おやすみ、たいちょう」

 

「おやすみ」

 

彼女を見送った後、私は病室に戻った

 

「どうでしたか⁇」

 

そこには横須賀君が待っていた

 

「いいリハビリになりそうだ」

 

「彼女はすぐに成長します。明日になったら、言語も身体機能も発達して…」

 

「楽しみだな…」

 

「今日の彼女は産まれたての状態ですからね。もう数日すれば、実戦に参加出来ます」

 

「実戦って…海にほっぽり出すのか⁉︎」

 

「えぇ…上層部が決めた事ですから」

 

「そっか…」

 

「さぁ、今日はもうおやすみになって下さい」

 

「ん…」

 

横須賀君は私の布団を掛け直した後、部屋を出て行った

 

「実戦参加、か…」

 

航空戦力でさえ叶わなかったのに、あんな柔そうな少女に一体何が出来るのだろう…

 

「隊長さん、起きなさい」

 

「ん…」

 

ちょっと命令口調気味の女性の声で目が覚めた

 

「昨日貰ったスケッチブックに絵を描いてみたわ。ほら」

 

寝ぼけ眼でスケッチブックの中身を見た

 

昨日格納庫にあった機体が、綺麗に描かれている

 

T-50…だったかな⁇

 

「この機体は美しいフォルムをしているわ。気に入った」

 

「誰だ‼︎」

 

ようやく気が付いた

 

容姿は確かにビスマルクに似てはいるが、口調とかが全く違う

 

「寝る子は育つのよ、隊長さん」

 

「本当にビスマルクなのか⁇」

 

「昨日、隊長さんと初めて見た飛行機はF-15、イーグルだったわ。その後、T-50を見たわ」

 

どうやら本物らしい

 

「疑って悪かったな」

 

「今日は海に行きましょう。私が連れて行ってあげるわ‼︎」

 

ビスマルクに支えられ、ゆっくりだが何とか立ち上がった

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。