艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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150話 愛憎劇の果てに(3)

数日前…

 

「今日、岩川にいた子がここに着任する。みんな、よろしく頼むよ⁇」

 

「へ〜へ〜。任されたダズル〜」

 

「楽しみニム‼︎」

 

「新規の子はニム以来マイク‼︎」

 

一時間後、その艦娘が単冠湾に来た

 

「駆逐艦、萩風。着任しました‼︎」

 

「いらっしゃい」

 

「歓迎するダズル」

 

この時ニムは素潜り漁

 

霧島はイージス艦と共に近海警備に当たっていた

 

榛名は万が一に備え、ワンコの傍に居た

 

最初の頃はなんて事ない…いや、単冠湾にようやく来た、普通の語尾の艦娘だった

 

萩風は尽くすタイプの子と気付くのには、そう時間は掛からなかった

 

炊事、洗濯、家事等、家庭的な仕事を万全に熟す、単冠湾にはいなかった母親の様な存在だ

 

だがその反面、戦いにはあまり向いていないという印象が持てた

 

そんな生活が続いた今日…

 

ワンコは執務室でたまたま一人になっていた

 

護衛でもある榛名がたまたま執務室を出て何処かに行った時に、事件は起こった

 

「ご主人様⁇」

 

「萩風か⁇どう⁇ここの生活は慣れた⁇」

 

「あ、はいっ。ニムや霧島も良いお方です」

 

「榛名は怖い⁇」

 

「…ご主人様。健康ケーキを作ってみました。食べてみて下さい」

 

萩風は何故か榛名の事に関しては答えなかった

 

「美味しい‼︎」

 

「ふふっ、ニンジンのケーキです。大湊の方から教わりました」

 

「そっかそっか‼︎萩風は根菜が好きなんだな‼︎」

 

「えぇ、とても…」

 

ワンコはニンジンのケーキをパクパク”食べてしまった”

 

「榛名遅いなぁ…何してるんだろ⁇」

 

「…ご主人様」

 

「ん⁇」

 

ワンコは気付く事が出来なかった

 

萩風の裏の顔に…

 

「どうして榛名ばかりを見るのですか⁇どうしてHAGYは見てくれないのですか⁇ねぇ…ねぇねぇねぇ」

 

萩風は机越しにワンコに滲み寄り、顔を近付ける

 

「は…萩風⁇」

 

「ご主人様…HAGYならいつだってご主人様のお世話をします。だからもっとHAGYを見て⁇ねっ⁇ねっ⁇」

 

「見てるよ…ちゃんと…」

 

「見てないです‼︎ご主人様の目には榛名しか映っていません‼︎」

 

この時点で萩風の目の色が違っていた

 

「榛名がいなくなれば、ご主人様はもっとHAGYを見てくれますか⁇」

 

「萩風。それは怒るよ⁇」

 

「怒って頂けるのですか⁉︎HAGYの為に‼︎」

 

「うぅ…」

 

ワンコは萩風の気迫に負けていた

 

既に萩風は机の上に乗り、息がかかる程、ワンコの顔に自身の顔を近付けていた

 

「ご主人様…HAGYはご主人様だけのモノ…そしてご主人様はHAGYだけのモノ…誰の邪魔も要らないのです」

 

萩風はスリスリとワンコの頬を撫でる

 

「萩風…お前、ケーキに何入れた…」

 

ワンコの視界がグラつく

 

「うふふっ…HAGYと二人になりましょう…二人だけの世界に行きましょう…」

 

「いやぁ〜出た出た‼︎スッキリキリンダズル‼︎…おいハギィ‼︎テメェ何してるんダズル‼︎」

 

事に気付いた榛名が瞬時にワンコを引き寄せ、間一髪を逃れた

 

「…チッ」

 

萩風は右手の親指の爪を噛んだ後、背中の後ろに隠していた包丁を手にした

 

「お前がいるから、ご主人様はHAGYを見てくれない…死ね‼︎」

 

「黙れヤンデレ女‼︎貴様なんかに負ける榛名じゃないダズル‼︎」

 

榛名は本気で遅い掛かって来た萩風の包丁をトンカチで弾く

 

「いっぴー取れたニム‼︎」

 

タイミング良くニムが帰って来た

 

「おいクソニム‼︎今から言う言葉をレイに送るんダズル‼︎えぇい‼︎」

 

榛名は包丁を弾きながら、胸元からタブレットを取り、ニムに投げた

 

「わ、分かったニム‼︎」

 

そして現在に至る…

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