「ぽれとあった‼︎」
俺達がジュースを選んでいる二つ向こう側のレーンで、ひとみといよが子供用のカートにお使いの品を入れていた
「さんつかって⁇」
「いちつ、につ、さんつ‼︎さんついえた‼︎」
いよはちゃんと数を数えながら、ポテトの徳用袋を3つ、カートに入れる
「つい、とあとのかんかんよんつ‼︎」
「いちつ、につ、さんつ、よんつ‼︎よんついえた‼︎」
カートにトマトの缶詰が4つ放り込まれる
「あらっ⁉︎二人共何してるの⁇」
二人は横須賀と鉢合わせた
横須賀が二人の前に屈むと、二人はまず抱き着く
「しゃらとまーきゅんのおつかい‼︎」
「ぴよしゃんのおさいふもあった‼︎」
「お父さんとお母さんのお使いしてくれてるの⁉︎良い子ね〜‼︎」
「初月‼︎」
「ここに‼︎」
いつも通り、初月がスーぴゃ〜マーケットの天井から降りて来た
「二人の護衛を頼めるか⁇」
「言うと思った。大丈夫だ。朝潮と言う護衛が着いてる。安心してくれ」
初月の目線の先には、レーンの向こう側から、棚越しに二人をガン見している黒髪の少女が居た
「彼女は強い。普段はマークの所で隠密をしているからな」
「色々すまんな…」
「構わない。僕の仕事はこれだから…なっ‼︎」
初月は瞬く間に天井裏へと消えた
横須賀に目線を戻すと、ひとみといよに目線を合わせ、楽しそうに話している
「レイ、ひとみちゃんといよちゃんと一緒に帰りましょうか」
「ぴゃ〜とは会わなくていいのか⁇」
「会うわよ。レジでね⁇さっ、後は何買うの⁇」
「ちょこえ〜とごつ‼︎」
「さいごあ、さいら〜はちつ‼︎」
「じゃあ、お菓子の所行きましょうか‼︎」
こう見ると横須賀は本当に良いお母さんだ
娘達に自堕落な母と思われがちだが、忘れないで欲しい
産まれて初めて俺に愛を教えてくれたのは紛れもなく、目の前にいるその自堕落な女性だ
「ちょこえ〜とあった‼︎」
「いよちゃんとって⁇」
「んっ、んっ」
お菓子の所に来るが、いよの身長ではチョコレートに届かない
「とろかへん」
「よいしょっ‼︎」
横須賀はいよを抱き上げ、棚にあるチョコレートを取らせた
「ちょこえ〜となんつ⁇」
「ごつ‼︎」
「いちつ、につ、さんつ…」
いよは数を数えながら、カートにチョコレートを落として行く
「ごつ‼︎ごついえたか⁉︎」
「いえた‼︎」
「よいしょっと…」
「よこしゅかしゃん、あいがと‼︎」
「あいがと‼︎」
降ろして貰ったひとみといよは、キチンと礼を言っている
「い〜え‼︎最後はサイダー⁇」
「さいら〜‼︎」
「さいら〜はちつ‼︎」
横須賀は二人の一歩後ろを歩き、一生懸命カートを引く二人を眺めている
俺はそんな三人の少し後ろを歩く
横須賀…
お前、本当はこんな買い物をしたかったんだろ⁇
すまないな…
俺がこんな体なばっかりに…
朝霜達には本当に申し訳ないが、ひとみといよと接する幸せそうな横須賀を見ていると、どうしてもそう考えてしまう…
「レイ」
「なんだ⁇」
横須賀は振り向かずに歩みながら俺に話し掛けて来た
「朝霜達に囲まれていても幸せよ⁇だから、そんな考え持たないでちょうだい」
「…何で分かった」
「誰の嫁と思ってんのよ」
横須賀は二人に笑顔を送りながらも、俺の心を見抜いていた
俺は、背中を見せている横須賀に、何度目か分からない恋に落ちる音を聞いていた…