艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、162話が終わりました

前回が軽くシリアスだったので、今回は楽しいお話です

序盤は双子は出てきませんが、途中で出て来ます

久し振りにきそが暴言を吐くよ‼︎


163話 イカれたメロン(1)

横須賀の工廠に新しい奴が来たらしい

 

普段から朝霜辺りが世話になるので、きそと共に挨拶に来た

 

「ばばりばりばり〜‼︎」

 

見た事の無い奴が電極を合わせて、手元でバチバチ言わせている

 

「ちょちょちょちょレイ‼︎」

 

工廠に入る寸前に聞こえて来たヤバそうな声を聞き、きそが俺を引っ張って入り口に引き戻した

 

「アレはヤバいって‼︎」

 

「あ…あぁ…イカれてるな…」

 

きそと共に入り口に隠れながら、もう一度声の主を見る

 

後ろ姿を見る限り、女の子の様だ

 

「エッレ、エレエレエレキテル〜。電気ショックでば〜りばり〜‼︎」

 

鼻歌を歌いながら、手元で何か造っている

 

「び〜りびりびり、ば〜りばり‼︎感電したらエクスタシー‼︎」

 

「…頭おかしいのかな⁇」

 

「だぁれだぁ‼︎」

 

「バレた‼︎」

 

ばりばりちゃんは手元に電極を持ったままいきなり振り返り、此方に走って来た‼︎

 

「出歯亀する奴ぁ、特製のエレキテルでばりばりにしてやるぁ‼︎」

 

「「うわぁぁぁぁぁあ‼︎」」

 

二人して悲鳴を上げ、飛び掛かって来たばりばりちゃんに対して屈んで身構えた

 

「うおりゃ‼︎」

 

「ばりっ‼︎」

 

ばりばりちゃんが急に吹っ飛んだ

 

ばりばりちゃんは頭からゴミ箱に突っ込み、足をバタつかせる

 

「お父さん‼︎きそ姉‼︎大丈夫か⁇」

 

目を開けると朝霜が手を伸ばしていた

 

「助かったよ…」

 

「メッチャ怖かった‼︎」

 

どうやら朝霜がドロップキックでばりばりちゃんを吹っ飛ばしたらしい

 

「”夕張”‼︎この人がアンタの逢いたかったマーカス・スティングレイときそ姉さんだ‼︎」

 

「えっ⁉︎」

 

夕張と呼ばれた女の子はゴミ箱の中から返事をした

 

「マーカスさん、きそさん、ごめんなさい‼︎エレキテルでエクスタシーさせようとしたのは謝るから出して〜」

 

「ったく…」

 

「よいしょっ…」

 

きそと共に夕張の足を掴み、ゴミ箱から引き摺り出した

 

「いやぁ〜すみません。まさか貴方達とは知らず」

 

夕張は頭にバナナの皮を付けながら後頭部を掻いている

 

「この人は夕張さんだ。最近ここに来たんだ‼︎」

 

「最近までボスの所に居ました‼︎」

 

「あぁ‼︎なるほどな‼︎だから夕張なのか‼︎」

 

ボスの所に居る子は、北海道の地名が呼び名の子が殆どだ

 

この子は夕張

 

北海道の地名だ

 

「お父さん、夕張はばりばりウッサイけど凄いんだぜ⁇アタイの今履いてる靴も電力で高くジャンプしたり、アシストで速く走れんだ‼︎」

 

「へぇ〜‼︎」

 

確かにドロップキックは凄まじい威力だった

 

「私はエレキテルでばりばりしながら安全な物を造りたいだけなんです‼︎」

 

「過程が怖いよぉ…」

 

「あ、そうだ‼︎私、レイさんのファンなんです‼︎タナトスを造った方なんですよね⁉︎ね⁉︎」

 

「そ、そうだ…」

 

徐々に近付いて来る夕張の気迫に負けそうになる

 

ゴミ箱に突っ込んで、頭にバナナの皮を付けてるのに、妙に甘い体臭がし、タンクトップ一枚の谷間から控えめな胸が見え隠れしている

 

「私、いつかレイさんの潜水艦に私の造った艤装を載せて貰うのが夢なんです‼︎」

「出来が良ければこっちから頼むよ」

 

「は、はいっ‼︎あっ、写真とかポスターで見るより良い男ですね‼︎」

 

「気に入った」

 

「では、私は作業に戻ります‼︎ばばりばりばり、ばばりばり〜‼︎」

 

夕張はまた電極を合わせてバチバチ言わせながら、工廠に戻って行った

 

「朝霜、気を付けてね⁇夕張ヤバイよ⁉︎」

 

「大丈夫さ。あぁ見えて、一番周りに気を配ってる」

 

「「嘘だ‼︎」」

 

その辺にいた鳩が俺達の声にビビって飛び立った

 

「ホントだって‼︎作業中はアタイを近付けさせないモン‼︎」

 

「ここは朝霜の言った事を信じよう」

 

「朝霜、これあげる。ヤバくなったら、これを投げて一気に逃げるんだ」

 

「あんがとな‼︎」

 

きそは朝霜にT-爆弾を二つ渡した

 

朝霜はたいほうと同じく、胸にT-爆弾を入れた

 

 

 

 

 

 

その日の夕方、きそは横須賀の所に行き、俺は一人で工廠に来ていた

 

横須賀の工廠のパソコンには、試作機の設計図やその他諸々のデータが入っている

 

しかも俺しか見れない

 

開示する為のパスワードは俺しか知らないからだ

 

パソコンの前に座り、マイクを付ける

 

「タナトス。いるか⁇」

 

《なんでち》

 

「やっぱここにいたか…」

 

タナトスもネットワークの海を行き来出来る

 

そして何が恐ろしいかと言うと、タナトスは自分の意思でファイヤウォールを侵食して侵入出来る

 

例えそれが警察であろうが、国家機密であろうが

 

そして、侵入した痕跡は一切残さない

 

まさにプロの仕事だ

 

《これがタナトスに載せる機体でちか⁇》

 

「そっ。今はスペックだけだがどう思う⁇」

 

《良い機体と思うでち》

 

画面越しからはタナトスがどれを見ているか分からないが、喜んでいる事に間違いは無い

 

「忍び足で近付いてもムダだぞ」

 

「ひっ‼︎」

 

後ろから夕張が近寄って来ているのが分かった

 

「流石は元スパイ…」

 

「いいか⁇」

 

椅子を夕張の方に向けた後、立ち上がって、彼女に歩み寄る

 

夕張をどんどん壁際に寄せ、顔の横に手を置いた

 

「ちょっ…マーカスさん…恥ずかしいですって」

 

「夕張」

 

「は、はい…」

 

夕張はタンクトップ一枚しか着ておらず、妙に体臭が艶かしい

 

香水なのか、鼻を近づけるとフワッとメロンの香りがする

 

「ここにいる間、スリなんかしてみろ」

 

「あっ…‼︎」

 

空いていた方の手で、夕張が俺のポケットに伸ばしていた手を取る

 

「俺がスパイなら、お前はスリなのな」

 

「…っ‼︎」

 

夕張は此方を睨み付けている

 

「お前の目的は何だ。金か⁇情報か⁇」

 

「安全な道具を造りたいのはホントです‼︎」

 

「ならスリなんかに使う手があるなら、そっちに使え」

 

「クセなんですよ‼︎スリは‼︎」

 

「早くその癖治さないとヤバいぞ〜⁇」

 

「…」

 

夕張は睨み付けるのを止めた

 

「よし、これも何かの縁だ。今度から3回、お前にチャンスをやる」

 

「3回⁇何がですか⁇」

 

「俺が来る度に、コイツをスッてみろ」

 

夕張の前に財布を見せた

 

「チャンスは1日1回。それを3回やって、一回でもスレたらお前の勝ち。免許証以外の中身はやる」

 

「失敗したら⁇」

 

「そうだな…」

 

ふと夕張を見ると、何故か頬を赤らめていた

 

「マーカスさんがお金なら、私は体…ですか⁇」

 

「貧乳に興味は無い」

 

「あ、はい…って言うか、凄い真顔で言いますね⁇」

 

どうやら俺は真顔で返事をしたらしい

 

「そうだな…失敗したら、朝霜の手伝いをしてやってくれないか⁇」

 

「そんなんで良いんですか⁇」

 

「ならもっとキツいのが良いか⁇照月にご飯奢るとか⁇」

 

「朝霜ちゃんのお手伝いの方が良いです‼︎」

 

大体の連中は、二者択一の選択肢を与えた時、片方に照月にご飯を奢るを出すと、絶対選ばない

 

必然的にもう片方が選ばれる

 

「じゃっ、頑張ってスレよ〜」

 

「…」

 

夕張は黙ったまま、俺を見送った…




夕張…エレキテル娘

横須賀の工廠に新しく来た工兵

物を造るのは上手いが、造っている最中ばりばりウルサイ

朝霜の書いた設計図を忠実に再現出来る腕を持っているが、スリの常習犯であり、自分で止めようとしても治らない

ボスの子分であり、腕を見込まれて横須賀に来た

体からメロンの香りがする
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