「野郎共〜‼︎飯の時間だよ〜‼︎」
ボスの掛け声一つで、妖精含めた野郎共がゾロゾロと食堂に集まって来た
「今日はハンバーグだ‼︎しっかり食べるんだよ⁉︎」
「「「は〜〜〜い‼︎」」」
大湊の野郎共、全員ボスに骨抜きである
「岩井っ⁉︎ニンジン2つ、ちゃんと食べるんだよ⁉︎」
「食べた‼︎」
「よ〜し、えらいえらい‼︎」
軽く頭を抱え、ようやく笑いが込み上げて来た
ダメダメじゃねぇか‼︎
…まぁいい
男はいつだって甘えん坊だ
「マーカス大尉⁉︎」
「よっ」
全員、一瞬食べる手を止め、此方に礼をする
「「「お疲れ様です‼︎」」」
「止めてくれよ。照月が世話になってるんだ」
「普段、お世話になっているのは此方の方です‼︎」
「レイ。大湊の人達から、照月ちゃんが何て呼ばれてるか知ってる⁇」
「護り神かなんかだろ⁇」
「ヴァルキリーよ、ヴァルキリー」
「ヴァルキリー…」
ヴァルキリー…戦乙女…
実際のヴァルキリーもメチャクチャ食っていたのだろうか…
言っている間に、ボスが目の前にハンバーグと大盛りのライスが置いてくれた
「上手くやってるみたいだな⁇」
「アンタのお陰さっ。人に愛されるってのも、案外悪くないな⁇」
そう言って、ボスは岩井の方を見た
岩井は部下の面々に囲まれ、楽しそうにハンバーグを食べている
「やる事やって、あんな風なら誰も文句は言わんだろ⁇」
「だと嬉しいねぇ」
ボスは忙しいのか、少し話をした後、また厨房に戻って行った
「大尉。話は変わりますが、この子達が言っていた…」
「そっ。ひとみといよ」
「いよ‼︎」
「ひとみ‼︎」
反応した二人は、口周りにデミグラスソースをいっぱい付けていた
ボスは子供には、上にソースをかけた辛くないハンバーグを作ってくれており、二人共口周りにいっぱいソースを付けている
勿論、たいほうもいっぱい付けている
「こっち向きなさい」
「ん〜っ」
たいほうは霞に
「さぁっ、フキフキしましょうね」
「はっしゃん〜」
「ふきふき〜」
ひとみといよははっちゃんに
「こっち向け」
「ん〜…」
きそは俺に拭いて貰う
ひとみといよはスコーンやら粉が落ちる系の食べ物は食べるのが上手いが、ソース系はまだまだヘタッピだ
たいほうときそはどう足掻いてもソース系は付く
「あなたっ‼︎」
背後から鹿島の声がした
鹿島の腕には、目を覚ました時津風が抱かれている
「時津風〜‼︎起きたかぁ〜‼︎」
棚町が鹿島に駆け寄る
相変わらず時津風は棚町が近付くとグズる
俺は振り返らずに、右隣に座ったきそのハンバーグを切っていた
「レイっ‼︎はいっ、あ〜んっ‼︎」
左隣に座っていた横須賀は、俺の左腕をグッと握りながら、切ったハンバーグを俺の口に放り込んだ
「…ありがとう」
「ふふっ。アンタも付いてるわよ⁇」
どうやら俺も胡椒やらが付いていたらしく、横須賀に口を拭いて貰う
「アンタも子供ね⁇」
「ウルセェ‼︎」
「レイ…⁇」
時津風を抱いた鹿島が寄って来た
「タバコ吸ってくる」
「あっ…」
横須賀の手を振り解き、食堂を出た
「お任せ下さい」
「お願いするわ」
「ふぅ…」
施設を出て、タバコに火を点けた
やっぱ来るんじゃなかった…
時津風は可愛い
だが、棚町と鹿島が仲良さ気な行動を見せると心の奥底で抵抗が始まる
横須賀が左腕を握って来たのは、多分深海化の兆候が見られたからだろう
施設の壁にもたれてタバコを吸っていると、誰かの足音が近付いて来た
「ここに居ましたか」
来たのははっちゃんだ
「悪いな。あそこには居たくなかった」
「分かります。何となくですけどね」
はっちゃんは俺の横で屈み込み、その辺に落ちていた小枝でアリの進行妨げ始めた
勿論左側にいる
「嫌いではないのでしょう⁇お二人の事」
「嫌いじゃないさ。ただ、あの二人の人生に俺は要らない」
「はっちゃんはそうは思いません」
「ふっ…はっちゃんにはまだ早いかもな⁇」
「時津風のマーカス様へのあの懐き様…はっちゃんは少し不思議に思います」
「どうしてだ⁇」
「確かにマーカス様は子供の扱いが大変上手です。でも、時津風が父親である棚町様にあれ程懐かないのは異常です」
「その内懐くさ。時間がかかる子だっている」
「ふふっ、タナトスみたいにですか⁇」
「あいつは仕方ない。元から…おっと」
タブレットにメールが入った
”タナトスの悪口を言われてる気がしたでち
タナトスの悪口を言ったら、括り付けてそのまま潜行するでち”
「よし‼︎タナトスの悪口は止めよう‼︎」
「はいっ」
タバコを吸い終え、はっちゃんと一緒にその辺を歩き始めた
「マーカス様。ジュースがあります。オレンジの」
はっちゃんは何か欲しい時、モノスンゴク遠回しに言う
普通の人なら、そうだな〜位の返しをすると思うが、俺は分かっている
はっちゃんはオレンジの炭酸が飲みたいのだ‼︎
「二つ買って来てくれ」
「はいっ‼︎」
はっちゃんにお金を渡し、自販機のジュースを買わせる
ジュースを持ったはっちゃんと一緒にそれを飲む
「マーカス様。鹿島様の事、頭お花畑とか思ってます⁇」
「何で分かった‼︎」
「はっちゃんもそう思ったからです」
はっちゃんのタレ目を見続けていると、何もかも見透かされている様な気がする…
「マーカス様は、今のままで良いと思います。鹿島様はマーカス様と生活していた時も、棚町様を思っていらしたのでしょう⁇」
「まぁな…ずっと心ここにあらずって感じだった。だから子供も出来なかった…まっ、俺の体が悪いんだ」
そう言って自身の胸を二度叩く
「マーカス様はいつもそうです。必ず自身の所為にします」
「女と別れる時位、男の所為にするんだよっ‼︎」
ジュースを飲んでいるはっちゃんの頭を撫でながら、空き缶を捨てる
「いつか、はっちゃんにもマーカス様の思っている事が分かりますか⁇」
「はっちゃんは賢いからもう分かってるんじゃないか⁇行くぞ〜」
「あ、はい」
はっちゃんと話して、少し気が軽くなった
鹿島の頭がお花畑と思ってるのは俺だけじゃなかった
はっちゃんと二人で執務室に戻って来た
「おかえり、レイ」
「おかえりなさいっ‼︎」
「ただいま。よいしょ…」
横須賀と鹿島と棚町が何か話している横で、子供達がカーペットを敷いておままごとをしていたので、俺はそっちの方に座った
敷かれたカーペットは二枚
今座った方には
たいほう、きそ、霞が座っている
「およよ…たいほうとはあそびだったのね…」
「すまないたいほう…僕には妻が居るんだ…」
「あなたってひどいひと…」
「なっ…なんちゅう…」
おままごとしているとは分かっていたが、こんなヘビーだとは思っていなかった
ここには入ってはいけない気がする…
もう片方のカーペットには
ひとみ、いよ、はっちゃん、そして目を覚ました時津風達がいた
「これなぁに⁇」
「これはくましゃん‼︎」
「くま⁇」
「くましゃん。こっちはわんわん‼︎」
「わんわん⁇」
ひとみといよが時津風の持っているぬいぐるみの名前を教えている
「とっき〜わんわんしゅき⁇」
「わんわんすき」
時津風は犬のぬいぐるみを大事そうに持っている
「ひとみたちはいるかしゃんがしゅき‼︎」
「いるか⁇」
「これです」
はっちゃんのタブレットに、イルカの映像が映し出され、三人ははっちゃんの周りにくっ付く
「いるかしゃんら‼︎」
「すいすい〜」
「いるか…」
時津風は不思議そうにタブレットを見ている
もう話せる様になっているか…
この子もやっぱり…
イルカの映像が終わると、ひとみといよははっちゃんにくっ付いたまま昼寝をし始めてしまった