艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、15話が終わりました

ビスマルクの話、少し長かったですかね⁇

ここからはしばらく戦闘シーンに入ります

誰が戦うのか、お楽しみにわ


16話 籠の中の雛鳥Ⅱ(1)

「返しそびれたな…」

 

私はポケットから戦闘機のおもちゃを取り出した

 

あの時ファミレスでポケットに入れてしまった物だ

 

「あら、ファルクラムじゃない。失くしたと思ったら、隊長さんが持ってたのね」

 

「何か食うか⁇」

 

「待って」

 

彼女は咄嗟に私の服の裾を掴んだ

 

まだ彼女が小さかった時の記憶が、一気に甦る…

 

「一人にしないで」

 

「全く…」

 

私を横に座らせて、本人は再びフランクフルトを頬張り始めた

 

あの日、私が釣りをしていた時の様に、海は静かだ

 

「今は何してるんだ⁇」

 

「聞きたい⁇」

 

「そろそろいいだろ⁇」

 

フランクフルトを飲み込み、リュックサックからスケッチブックを出した

 

「見て」

 

スケッチブックの中身は、風景や建物、そして所々に戦闘機の絵が描いてある

 

「しばらくは絵を売りながら世界を旅してたの。それが結構好調で、しばらくは暮らせるまで稼げたの」

 

「凄いじゃないか‼︎」

 

「それでね、この間とある街に行った時、廃艦の受け入れをしている街があったの。今はそこで暮らしてるわ」

 

その街には心当たりがあった

 

「なら、みほや瑞鳳とも知り合いか⁇」

 

「あら、知り合い⁇」

 

「…故郷だからな」

 

「いい街よ、あそこは‼︎色々な文化や時間が行き交ってるわ‼︎」

 

「そっか。まぁ、お前が幸せなら、それでいい」

 

「戦争が終わったら帰るのでしょう⁇」

 

「どうかな…」

 

「戦争が終わったら、私と一緒に暮らしましょう⁇今度はどこにも行かないわ」

 

「ん…」

 

「ね…れいろ…」

 

「ビスマルク‼︎」

 

急に彼女の呂律が回らなくなり、その場に倒れた

 

「何だ…」

 

辺りが騒がしい

 

ビスマルクをお姫様抱っこし、BBQの会場に戻った

 

「何だ…これは…」

 

ある提督は悲鳴を上げ

 

ある提督はパニックになり

 

ある提督は艦娘に呼び掛けている

 

「どうなってる‼︎」

 

一つだけ分かるのは、大半の艦娘の機能が停止している事だけ

 

…一人を除いて

 

「提督よ‼︎一体どうなっている‼︎」

 

現れたのは、たいほうを抱えた武蔵

 

「分からん」

 

「何故私は停止しない」

 

「それも分からん」

 

「大佐‼︎」

 

紙切れを持ち、息を切らした横須賀君が此方に向かって走って来た

 

「これを」

 

”テキ ジャミング カンムス ネムル”

 

「誰からだ⁇」

 

「スペンサーと言う者からです」

 

「武蔵、ライトは持ってるか⁇」

 

「う、うぬ。これだ」

 

武蔵の手からライトを取り、発光信号を出した

 

「頼むスペンサー…分かってくれ」

 

何度も同じ信号を送っていると、突然空が光った

 

「来た‼︎」

 

「テキ リトウ ムサシ ジャミング ムコウ」

 

「何故だ⁇」

 

「ムサシ シンカイセイカン プラス イヌミミデンタン」

 

「イヌ耳…」

 

横須賀君と揃って、武蔵の顔を見た

 

「イヌ耳電探…ね」

 

「意外に高性能なんだぞ」

 

「むっ…」

 

私の手からライトを取り、武蔵は上空に信号を出した

 

「後で殺す。謝るなら今」

 

「ゴメン」

 

「ほら、貸して」

 

「いらぬ事を聞くなよ⁇」

 

何度も発光信号の会話を繰り返している内に、事態が分かって来た

 

スペンサーが傍受した敵のジャミングには”建造”で造られた艦娘に影響を及ぼす

 

それは艦娘によって様々だ

 

ある者は眠り

 

ある者は意識を失い

 

ある者はのたうち回り

 

ある者は泡を吹いている

 

だが、どうやら深海棲艦には影響しないようだ

 

現にチェルシーが会場の隅でビクビクしている

 

それに武蔵は元深海の影響か、ジャミングが効かない。本当にイヌ耳電探が中和しているのかも知れない

 

「とりあえず動けるのは…」

 

武蔵

 

チェル…は無理か

 

「何ですか⁉︎敵の襲撃ですか⁉︎」

 

おぉ、はまかぜもいた

 

「お前の所はどうだ⁇」

 

横須賀君は首を横に振った

 

「全滅です…」

 

 

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