「あ〜、すんませんわぁ。ウチの子が迷惑を」
「すんませ〜ん」
明らかにチャラそうな男女に続き、多少は小綺麗にした女教師が入って来た
「座れ。アンタは担任だな」
「あ、はい」
「自己紹介は聞きたくない。俺もしないから」
三人を椅子に座らせた後、アレンと健吾に一旦礼を言いに行く
「すまん。もう少し付き合ってくれ」
「レイ」
アレンに肩を掴まれ、耳打ちされる
「あの保護者の二人、パチンコ屋で確保した」
「そっか…」
「落ち着いてな⁇」
「ありがとう…二人共」
扉を締め、アレンと健吾はその向こうで待機してくれる事になった
俺は先程座っていた席に戻り、わざと音を立てて座る
「あの〜、ほんで娘は…」
「ななちゃんはどうなりましたか⁇」
「率直に言う。ななは死んだ」
保護者の二人がため息を吐いた後、冷や汗を流し始め、担任の先生は口を抑えて涙を流し始めた
「何でななが死ななあかんのや…」
「えぇ子やのに…」
「これを見ろ」
保護者二人の前に資料を投げる
「それで、な…」
「お前は後だ。お前にも話がある」
担任の先生は何か言おうとしたが、俺はそれを遮って保護者二人に話続けた
「ななの死因は、内臓破裂及び、後頭部に強烈な殴打を受けたのが理由の脳挫傷の二つだ」
「誰がそんな…」
「誰が⁇タナトス。分かったか⁇」
《足のサイズ、指紋、全部一致したでち》
「タブレットに送ってくれ」
数秒後、タナトスから資料が送られて来たので、二人に見せる
「これはお前の靴のサイズ。そして、ななの腹部にあった足跡。そしてこっちは、ななの体に付着していた指紋。これはアンタの指紋。全部一致している」
保護者二人の思考が止まる
「虐待の動かぬ証拠だ。無いだろうが、一応弁解があるなら聞いてやる」
「…だって面倒臭いやん⁇」
「そらウチらやってストレス溜まるし…つい…」
「お前達のその”つい”でななは死んだ。分かるか⁇お前達の頭の中では、未だにチンジャラ言ってるかも知れんが、お前達が殺人を犯したのは事実だ。それと…悪いが、ななの鞄に盗聴器を仕込ませて貰った」
榛名が舌を出しているピンバッジ型の盗聴器を取り出し、再生する
《お前この服なんや‼︎》
《ご飯くらい炊いとけや‼︎》
《ごめんなさい‼︎ごめんなさい‼︎》
盗聴器の向こうから聞こえて来る男女の怒号に続き、明らかにななに暴行している音
そしてななの悲鳴に混じった謝罪
「動かぬ証拠だ」
「酷い…」
担任の先生は自分がした事を忘れているのか、被害者ヅラをしている
これだけの証拠を突き付けられたのに、保護者二人は屁理屈を並べ始めた
「てか、お前子供いんの⁇」
「子供おらへん奴に、ウチらのストレス分かる⁉︎」
「五人いる。最近双子も産まれたから七人だ」
「な…」
「だからなに⁉︎七人いるからなに⁉︎」
保護者の女は切羽詰まったのか、訳の分からない事を口走り始めた
「悪いが、俺は自分の子供と接したり、自分以外の子供と接したりしていてもストレスとは感じない。子供はそれが仕事だからな。お前達がパチンコ打つみたいにな⁇それで終わりか⁇」
「申し訳ありませんでした‼︎」
保護者の男はようやく頭を下げたが、女の方は往生際が悪い
「謝る必要無いやん‼︎ウチらの所に預けた奴等が悪いんや‼︎」
「まぁいい。次はアンタだ」
「はい」
「ななに対して、アンタ何と言った⁇」
「…」
「答えられないのか」
「…」
担任の先生は沈黙を貫く
「沈黙は答えじゃない。まっ、これだけ被害者ヅラしてるなら、よっぽどの事を言ってくれたみたいだな⁇」
それでも担任の先生は沈黙を続ける
「はぁ…」
俺は担任の先生の前にあった机を殴った
殴った部分がメリ込み、腕が震える
ようやく怒りが込み上げて来た
「お前が言わないなら言ってやろう。ななに「臭いから学校に来るな」と言ったな⁉︎」
「事実無根です」
「ななはお前に何度も救いを求めたハズだ。何故放置した‼︎」
「それは…」
「はいかいいえで答えろ。職務放棄したな⁇」
担任の先生は言った
「…はい」
「最初からそう言え」
「ワシら、どうなりますやろか…」
保護者の男が言ったその言葉を聞き、俺は三人に背を向けた
「俺が何故、この中で話をしたと思う⁇」
「何でですか⁇」
「…静かに話を出来るから、ですか⁇」
「艦の中は、艦を所有している国と同じ扱いになる」
「これは日本の船でっしゃろ⁇」
保護者の男を無視して、話を続ける
「お前達は大きな間違いを犯した…だが、それはすぐに訂正出来る」
俺は三人の方に振り返った
振り返った手にはピストルを握っている
三人が一度に立ち上がり、壁の方に後退る
「し、正気かこいつ…」
「もう一度言う。艦の中は所有している国と同じ扱いになる」
「まさか…」
担任の先生は気付いた様だ
「この艦は俺の艦だ…つまり…」
なんの前触れも無く、保護者の女の脳天を撃ち抜く
「この俺がルールだ」
「こ…このやろっ」
次いで、保護者の男の脳天も撃ち抜く
「ひっ…」
最後に残った担任の先生は、怯えて震えが止まらなくなり、失禁している
「お前は少し苦しんで貰う」
銃声が一発響く
「い…痛い…」
撃ったのは腹部だ
「痛いか」
「痛い…っ」
担任の先生は、自分が汚した床に膝から落ちた
「助かりたいか」
「助けて…下さい…」
「ななを救ってやれば…俺も救ってやったのにな」
最後の銃声が響く
「終わったぞ」
俺の合図で、アレンと健吾が入って来た
「え〜ぇ、派手にやっちゃって〜。処理すんの一苦労だぞ⁉︎」
「殺しちゃいない。仮死状態にしてあるだけだ」
血は大量に出てはいるが、実は三人共死んではいない
死んだ様に見せかけて仮死状態にしてあるだけだ
「確かに…息はあります」
「お前はホンット末恐ろしいなぁ
⁉︎」
「こんな所でシスターの教育が役立つとはな」
この仮死状態にする技はシスターから教えられた技で、相手を殺さずに捕らえられるが、数センチズレると即死に至る危険極まりない技だ
それを三発共成功させている所を見ると、俺の腕もまだ落ちていないな…
「んでっ、どうする⁇」
「記憶を全部消す。そしたら、真っ当に生きるだろ」
「了解です。レイさんらしいや‼︎」
これ以上、ななと同じ思いをするのは充分だ…
記憶を消せば、真っ当に生きてくれるだろう
「タナトスの中にもカプセルがある。そこに入れる」
俺達は最後の罰として、三人を一つのカプセルの中に同時に詰めた
後は数時間後に出て来て、記憶がまっさらな状態で社会へ返す
まっ、優しい奴に出会う事を祈るよ…
きそに聞いたやり方で、三人の記憶を消して行く…