艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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目線がスパイトから貴子さんにチェーンジ‼︎


168話 姫と貴子と嫁姑(4)

その日の夜、マーカス君は帰って来た

 

「たらいま‼︎」

 

「おなかすいた‼︎」

 

「ただいま〜っと‼︎」

 

ひとみちゃんといよちゃんもちゃんと帰って来た

 

「お帰りなさい‼︎ご飯出来てるから、おてて洗ったら食べてね‼︎」

 

「おっ‼︎オムライスだ‼︎」

 

「おむあいす‼︎」

 

「おててあぁってくう‼︎」

 

三人は手を洗い、いつもの席に座る

 

私は出来上がったオムライスをそれぞれの前に置く

 

「いたあきます‼︎」

 

「いたあきます‼︎」

 

「頂きます‼︎」

 

マーカス君の教育の良さが分かる

 

ひとみちゃんといよちゃんは食べる前にちゃんと手を合わせて頂きますと言ってから食べる

 

外に出た時だってそう

 

誰かに会ったらちゃんと挨拶するし、物を貰ったらちゃんとお礼も言う

 

ぎこちない手つきで私の作ったオムライスを美味しそうに食べる二人と、その傍らで父親の目をするマーカス君を見る度、何だかホッとする

 

「ごちそうさあれした‼︎」

 

「ごちそうさあれした‼︎」

 

「ごちそうさまでした‼︎」

 

食べ終えたお皿を重ね、マーカス君が持って来てくれた

 

「ごちそうさま‼︎」

 

「ありがとう。お風呂湧いてるわよっ」

 

「ひとみ、いよ、行くぞ」

 

「おふお〜‼︎」

 

「さわ〜すう‼︎」

 

三人がお風呂に行き、お皿だけ洗った後、誰もいなくなったソファーに座る

 

何気無しにテレビを見ていると、スパイトが食堂に来た

 

「時間ね…」

 

「そうね…」

 

スパイトがテレビの前のカーペットに腰を降ろし、バスタオルを構える

 

私もソファーに畳んで置いてあったバスタオルを構える

 

そして、二人して生唾を飲む

 

厨房の横の扉が開いた瞬間、ひとみちゃんといよちゃんが走って来た

 

「あぁった‼︎」

 

「あたあふいて‼︎」

 

私はひとみちゃん

 

スパイトはいよちゃんを抱き留め、頭を拭く

 

私達二人は、毎夜こうして構えて待っている

 

これが一日の最後の仕事だからだ

 

「ふふっ、綺麗になったわ‼︎」

 

「あいがと‼︎」

 

「はいっ‼︎ちゃんと拭けましたっ‼︎」

 

「あいがと‼︎」

 

「貴子さんも母さんもありがとう」

 

最後にマーカス君も来た

 

「マーカス」

 

「俺はいいよ」

 

「マーカス」

 

スパイトがマーカス君のタオルに手を伸ばす

 

スパイトが真顔になっている

 

甘えたい合図だ

 

マーカス君はその顔を見たのか、スパイトにタオルを渡し、カーペットに座って頭を拭いて貰う

 

実はマーカス君も甘えん坊なのかもしれない

 

その後、スパイトは一足先に寝室に向かい、マーカス君は工廠の戸締りを確認しに行った

 

私はひとみちゃんといよちゃんに冷たい牛乳を淹れた後、もう少しだけソファーに座っていた

 

「「ごちそうさあ‼︎」」

 

「コップ置いておいてもいいわよ」

 

「たかこしゃん‼︎」

 

「よいしょ‼︎」

 

ひとみちゃんといよちゃんが左右に座って来た

 

二人の頭を同時に撫でる

 

すると、二人共私の手を握って来た

 

とても小さくて、温かい手だ

 

「たかこしゃんのおてては、がんありやしゃんのおてて‼︎」

 

「たかこしゃんのおてては、おかあしゃんのおてて‼︎」

 

私の手は、あかぎれやマメ等が出来ていて、子供二人には少し痛いかも知れない

 

「こえ、えいしゃんのつくったおくすい‼︎」

 

「たかこしゃんにぬいぬいすう‼︎」

 

二人の手には、小さなケースに入ったクリームが握られている

 

「あらっ‼︎お薬塗ってくれるの⁇」

 

「うんっ‼︎」

 

「おててらして‼︎」

 

二人の前に手を出すと、二人共ケースを開けてクリームを手に塗ってくれた

 

「ぬいぬい〜」

 

「きもち〜⁇」

 

「気持ちいいわ〜…」

 

本当に気持ち良い

 

あぁ…マーカス君が言っていたのがよく分かるわ…

 

絶妙に小さい指先で、ツボに入ってるのね…

 

「あいっ‼︎ぬいぬいした‼︎」

 

「あとはねんねすう‼︎」

 

「ありがとっ‼︎とっても気持ち良かったわ‼︎」

 

寝る前に二人を抱っこする

 

「くふふっ…」

 

「たかこしゃんのらっこ…」

 

抱っこを終えた後、二人を肩に乗せ、子供部屋に寝かせ、再び食堂に帰って来ると、マーカス君が換気扇の下でタバコを吸っていた

 

「二人にお薬塗って貰ったわ」

 

「あれは睡眠前に塗ると効果が出る。俺の軟膏が入ってる引き出しに入れておくから、いつでも使ってくれ」

 

「あら。じゃあ早く寝ないと‼︎」

 

「電気消しておくよ」

 

後はマーカス君に任せ、私も寝室に入った

 

 

 

次の日の朝…

 

「凄い…」

 

私の手はあかぎれどころかマメさえも綺麗さっぱり無くなっていた

 

流石はマーカス君ね…

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