艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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題名は変わりますが、前回の続きです


172話 嫉妬と言う名の愛

「マーカス君は何食べたい⁇」

 

「俺に奢らさせてくれよ」

 

「あらっ、それは失礼」

 

イタズラな目をして笑う貴子さん

 

貴子さんはいつだって俺のお姉さん代わりの人だ

 

しかし、年齢は俺より下である

 

横須賀と大して変わらないハズだ

 

「貴子さんは何が良い⁇」

 

「そうねぇ…」

 

貴子さんの目線の先には、既にチョコバナナの出店がある

 

「チョコバナナがいいわ⁇」

 

「何本食べる⁇」

 

「一本でいいわ」

 

「遠慮しないでくれ」

 

「あらそう⁇なら八本下さい」

 

「そんなに一人で食べ切れるのかい⁇」

 

「えぇ」

 

貴子さんは、チョコバナナの出店の店員を微笑みながら睨む

 

「はいっ、どうぞ〜‼︎」

 

「ありがと〜‼︎頂きま〜す‼︎」

 

貴子さんはその場で嬉しそうにチョコバナナを頬張り始めた

 

「う〜ん‼︎久々に食べるわぁ〜‼︎」

 

八本あったチョコバナナは、目の前でみるみる内に無くなって行く

 

チョコバナナは貴子さんの口に一本につき一発で放り込まれ、十数回咀嚼された後、飲み込まれて行く

 

五分もしない内に、チョコバナナは全滅した

 

「ホントに何でも食べていいのかしら⁇」

 

「男に二言は無いっ‼︎」

 

「知らないわよ〜⁇」

 

貴子さんに手を引かれ、出店を回る

 

焼きそばを食べ

 

ベビーカステラを食べ

 

たませんを食べ

 

たい焼きを食べ

 

貴子さんは普段抑えている、照月並の食欲を爆発させている

 

「おいひ〜‼︎」

 

まるで照月だ

 

そんな幸せそうな貴子さんを見て、俺は笑顔を送る

 

そういえば貴子さんは、照月と食事をする時、今と同じ顔をする

 

食欲を爆発させる事で、ストレスを解消しているのかもしれない

 

「あっ‼︎いたいた‼︎レイさ…」

 

「まりっ…」

 

俺に声を掛けようとしたまりを、りさが手を引いて止めた

 

「人の恋路を邪魔する奴は馬に何とやら…ですわ⁇」

 

「あ…」

 

まりとりさは、訳有りげな俺達を見て、逆方向に歩いて行った…

 

 

 

 

「マーカス君はさ」

 

「ん⁇」

 

歩きながら、貴子さんと話す

 

「マーカス君は良い旦那さんよね」

 

「そうか⁇手が回らない時なんて山程ある」

 

照月の暴飲暴食、ガンビアへの謝罪

 

好奇心旺盛になって来た、ひとみといよの付き添い

 

清霜の破壊衝動の抑制

 

手が回らない時なんて山程ある

 

だが、他の子達が手助けしてくれる事が、最近多くなった

 

ひとみといよは、はっちゃんやしおい、そしてゴーヤが付き添いをしてくれたり

 

照月はガンビアの職員、そして最近貴子さん以外にも霞が料理の補助をしてくれたり

 

清霜には、すっかり粛清癖が消えたガングートがいる

 

本当に助かっている

 

「ん〜ん。立派よ。あれだけの子供達をちゃんと教育して纏めてる。私も楽だわ⁇」

 

「そう言って貰えると助かるよっ」

 

貴子さんと話していると、打ち上げ花火が始まった

 

既に神社に居たので、近くの空いているベンチに腰を降ろした

 

「綺麗…」

 

花火が炸裂する度に、貴子さんの表情がよく見えた

 

「あ、そうだマーカス君。時々、私と照月ちゃんとで、ご飯に行かせてくれない⁇」

 

「いつでもっ」

 

「ふふ…言ったわね⁉︎今度舞鶴に行って来るわ⁇」

 

舞鶴の食料事情が心配になって来た…

 

照月一人でも壊滅に追い込むのに、そこに貴子さんまで行くのだ

 

さらば舞鶴…

 

良い所だったよ…

 

「貴子さんは、隊長の事好きか⁇」

 

「好きよ⁇どうしたの急に⁇」

 

「良い夫婦だな〜って思ってな」

 

「そうね…私だってウィリアムに腹立つ時はあるわ。今日みたいにね…」

 

徐々に武蔵に戻って行く貴子さんを見て、背中に悪寒が走る

 

やっぱり怒ってたのか…

 

「そ、そっか…」

 

「でも、この腹が立ってるのは嫉妬なのよ。ウィリアムが好きって証拠でしょ⁇」

 

「まぁな」

 

「心配しなくても大丈夫よ。ウィリアムの次に好きなのはマーカス君だから」

 

「こう見えても俺は人の旦那だ‼︎」

 

「あらっ。人妻を誘ったのはだぁれ⁇」

 

「ぐっ…それを言われると辛い…」

 

「ふふっ‼︎そんな事言わないわ。今日はスッゴク楽しかったわ⁇」

 

「またどっか行こう」

 

すると、貴子さんは首を横に振った

 

「最初で最後で良いわ。私にはウィリアムがいるもの」

 

「…それもそうだな」

 

「でも、マーカス君と少しでも二人きりになれて、スッゴク楽しかったわ‼︎」

 

「んっ‼︎俺もだ‼︎」

 

結局、俺は花火が終わるまで花火を見る事は無く、ずっと貴子さんの横顔を見続けていた…

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