艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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もう一度題名が変わりますが、前回の続きです




172話 理想の女

打ち上げ花火が終わり、俺と貴子さんは神社の階段を降りる事にした

 

「摩耶‼︎」

 

「おっ、来たか。ホラよっ‼︎」

 

摩耶から大量の金魚を受け取った後、普通に貴子さんの方を見た

 

「ベビーカステラを3袋‼︎」

 

「フランクフルトPlease‼︎twoね⁉︎」

 

「たい焼きを20個‼︎」

 

「Tako Yaki…ふ〜ん。Five Pack Please‼︎Papaと食べるわ‼︎」

 

「チョコバナナ余ってるの⁇半額⁉︎4本下さい‼︎」

 

「おぉぉぉぉ…」

 

貴子さんと、いつの間にかいたアイちゃんが、畳み掛けている出店を潰して回っている

 

それぞれ大量に買っているが、二人のあの胃袋なら、平気で収まるだろう…

 

「凄い買い方だな…」

 

「多分、あの5倍は入る…」

 

流石の摩耶もビビっている

 

「むふふふっ…」

 

「Papa‼︎」

 

貴子さんもアイちゃんも、いっぱい買ってご満悦

 

「貴子」

 

「おふぁえりなふぁい」

 

帰って来た隊長が口にいっぱい物を含んだ貴子さんの所に来た

 

「レイはどうした⁇」

 

貴子さんは俺の方を向いた

 

俺は貴子さんに対し、ゆっくりと首を横に振った

 

「…みふぇない」

 

「そっか。いっぱい買ったなぁ‼︎」

 

「んっ」

 

貴子さんは咥えていたたい焼きを隊長の口に入れ込んだ

 

「みほさんは⁇」

 

「友達と帰るらしい。貴子は俺と帰るか⁇」

 

「うんっ‼︎」

 

やっぱり、貴子さんは隊長と一緒じゃなきゃダメだ

 

「…」

 

隊長と帰る寸前、貴子さんはもう一度俺の居た場所を見た

 

だが、俺はそこにはいなかった…

 

 

 

 

 

「ふぅ…」

 

もう一度、神社に戻って来た

 

先程貴子さんと花火を見ていたベンチで、タバコに火を点ける

 

アレンはアイちゃんと一緒に帰ると連絡が来た

 

急に一人になると、案外寂しいモンだな…

 

タバコを咥えたまま、ベンチに横になると、星が見えた

 

こんなゆっくり星を見るのは久方振りかも知れない…

 

星に手を伸ばしながら、鼻歌を口ずさむ

 

「もうそれ以上、もうそれ以上…」

 

「随分懐かしい歌ね⁇」

 

「ビスマルク」

 

急に現れたビスマルクは黒い浴衣を着ており、片手に団扇を持っていた

 

「子供はもうお家に帰る時間だぞ⁇」

 

「子供じゃないわ」

 

ビスマルクは俺の頭を膝の上に乗せた後、ベンチに腰を降ろした

 

「隊長さんが言ってたわ。レイが神社にいるから、逢いに行ってくれって。それと、御礼を言っておいてくれないかって」

 

「…バレてたか」

 

「男の私が行くより、私の方が喜ぶから、だって言ってたわ」

 

「なるほど…」

 

確かにビスマルクは俺の本当の好みのドストライクだ

 

金髪で巨乳でプロポーション抜群

 

正に理想の外見だ

 

本当に欲を言うなら、外見が一番好みなのはアイちゃんなのは、永遠に黙っておこう…

 

「レイはいつもそうやって、子供達に歌ってあげてるの⁇」

 

「楽器の時もある。寝付きが良いのは歌だけどな」

 

「ふぅん…」

 

ビスマルクは俺の顔を団扇で扇いでくれながら、下にある街を見つめていた

 

「綺麗な街よね…」

 

「良い街だ」

 

「大阪もこんな感じなの⁇」

 

「いや。四六時中、年がら年中ウルサイまちさ」

 

新世界に住んでいた時は、確かに年がら年中ウルサかった

 

だが、その内それが心地良くなって来るし、四六時中暇しない場所だった

 

この街や他と比べれば、ほんの少し治安は悪いが、それさえ目をつむれば、俺は是非あの街を勧めたい

 

「そんなの眠れないじゃない‼︎」

 

「住めば宮さっ。3日もすりゃあ、騒音がなけりゃ眠れなくなる」

 

「その内行ってみたいわ」

 

「あそこは良い街だ。来る人を拒まない。誰だって楽しめる」

 

「そんなに良い所なの⁇」

 

「行きゃあ分かるさっ」

 

「帰りたい⁇」

 

「時々はな…あそこは、俺の第二の故郷みたいなモンさ」

 

新世界には、一年に一度位の頻度で、無性に帰りたくなる

 

子供達の声とは違った騒がしさ…

 

ガラの悪そうな奴と思えば、内面はピュアなオッサン達と飲む、一期一会の酒…

 

安くて美味しいB級グルメ…

 

「行きたくなって来たな…」

 

「長期休暇取って行ったら⁇」

 

「そうだな…」

 

ビスマルクと話していると、いつの間にかタバコの灰が地面に落ちていた

 

「レイ…」

 

「ん⁇」

 

「今日は私の家に来ない⁇」

 

「一杯やるか⁉︎」

 

「えぇ‼︎」

 

そうと決まれば話は早い

 

ビスマルクと共に長い階段を降り、停めてあったバイクに跨り、彼女にヘルメットを被せ、バイクを出した

 

俺の腰に腕を回し、背中に密着させたビスマルクの胸からは、速い鼓動が伝わって来た…

 

祭り会場からビスマルクの家は案外近く、すぐにバイクを停めた

 

「ちょっと散らかってるけど、気にしないで⁇」

 

「俺のデスクよりは綺麗だろ⁇」

 

「ふふっ…」

 

ビスマルクの家に入り、色々あった今日を忘れるかの様に、酒を煽った…

 

 

 

 

 

 

次の日の朝…

 

「…」

 

ビスマルクの家には、ベッドは勿論一つ

 

その上で俺は目を覚ました

 

隣には、寝息を立てているビスマルク…

 

どうやら、一晩の過ちを犯してしまっ…

 

「おはよう…」

 

目を擦りながらビスマルクが起きた

 

「お、おはよう…」

 

「本当に何にもしなかったのね⁇」

 

「へっ⁉︎あっ、あぁ‼︎勿論さ‼︎」

 

どうやら過ちは犯していなかったみたいだ

 

ビスマルクは何故か数秒俺を見つめた後、ベッドから立ち上がり、背伸びをした

 

「朝ご飯はどうする⁇軽く作ろっか⁇」

 

「横須賀で食べるよ。昨日の報告もしてない」

 

「そっ⁇」

 

顔だけ洗い、革ジャンを着て、真夏の早朝独特の肌寒さの中、ビスマルクの家を出た

 

「また来るのよ⁇」

 

ビスマルクは玄関でドアにもたれながら、俺を見送ってくれた

 

「今度は酒抱えてお邪魔するよ」

 

「気を付けてね‼︎」

 

「ありがとう‼︎」

 

ビスマルクに見送られ、俺は横須賀へと戻った…




レイがノーヘルでバイクを運転しているシーンがありますが、良い子は絶対真似しないで下さい
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