艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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16話 籠の中の雛鳥Ⅱ(5)

《武蔵‼︎》

 

辛うじて無線は生きてるか…

 

「提督よ。もう大丈夫だ」

 

《すぐに迎えに行くからな‼︎待ってろ‼︎》

 

「うん…」

 

無線が聞こえなくなると、誰かの足音がした

 

「よくまぁこんなに…」

 

「横須賀…君…」

 

彼を見て安心したのか、武蔵はその場に倒れそうになった

 

「よっ」

 

横須賀君はそれを受け止め、壁際に武蔵を移動させた

 

「ざっと20人位…か⁇」

 

「お腹が…」

 

「やられたか⁉︎」

 

「空いた…」

 

横須賀君は安堵の溜息を吐いた

 

「外でチーズバーガーを準備してある」

 

「ちぃずばぁがぁ⁇」

 

「前に食べたいって言ってただろ⁇」

 

「よし、もう少し頑張ろう」

 

横須賀君に支えられ、ようやく外に出た

 

「明るいな…」

 

「ほら、あそこに」

 

横須賀君が指差す先に、何やら紙袋を二つ持った人がいる

 

「お疲れ様です‼︎こちらを‼︎」

 

紙袋を受け取り、中を開けると、包み紙で包まれた何かが沢山出て来た

 

「思ってたのと違うな…いただきます」

 

武蔵は包み紙ごとチーズバーガーを口にしようとした

 

「違います違います‼︎これはこうやって剥いて…」

 

「剥いて…おぉっ‼︎」

 

包み紙を取ると、武蔵が知っている”はんばぁがぁ”が出て来た

 

「いただきます‼︎」

 

美味しそうにチーズバーガーを一口食べた

 

「うんっ‼︎美味い‼︎」

 

二口三口でチーズバーガーをペロリと平らげた

 

「もう少し貰っていいか⁉︎」

 

「残りは船の中で。さぁ、行きましょう」

 

「うむっ‼︎」

 

チーズバーガーを頬張りながら、揚陸艦に乗り込んだ

 

これでようやく帰れる

 

久し振りに暴れられたし

 

ちぃずばぁがぁも美味しいし

 

後はパパに報告するだけだ

 

「ん⁇ん⁇」

 

いつの間にか、紙袋の中身が二つ共無くなっていた

 

「食べた‼︎」

 

近場にいた男性に紙袋を突き出した

 

「ぜ、全部ですか‼︎」

 

「全部」

 

「50個以上準備したはずなのに…」

 

「武蔵、こっちこっち」

 

横須賀君が手招きする方へ向かってみた

 

「これは何だ⁉︎ぷるぷるしている‼︎」

 

目の前には、山のように盛られた緑色のぷるぷると、茶色の液体が乗った黄色のぷるぷるがあった

 

「ゼリーとプリンさ。後一時間位で着くから、これを食べてゆっくりしてて」

 

スプーンを渡し、横須賀君は何処かへ消えていった

 

「いただきます」

 

まず、この緑色の”ぜりー”を頂こう

 

「うん‼︎この味は確か”めろん”だったな‼︎」

 

次はこの黄色のぷるぷるだ

 

「この茶色の液体はなんだ⁇…甘い匂いがするな…」

 

《武蔵》

 

「なんだ⁇」

 

横須賀君から無線が入った

 

ここに来ればいいのに

 

《悪いね。この二式大艇を動かさなきゃいけない》

 

「横須賀君は、ぱいろっとなのか⁇」

 

《そう。君達のパパの二番機だった。パパは立派な人だ。あの人が居なきゃ、私はこんな位に登り詰めていない》

 

「パパは立派だ。私にも分かる」

 

パパを褒められると、私も嬉しい

 

パパはみんなが好きだからな

 

《それよりどうだい。デザートの味は⁇》

 

「うぬ。どちらのぷるぷるも美味しいぞ‼︎」

 

話ながらも、ぜりーを口に運んで行く

 

そろそろぜりーが無くなりそうだ…

 

《そりゃ良かった。間宮もやられたからね。急ごしらえで、はまかぜにレシピを聞きながら男衆が作ったんだ。分量が多いのはそのせいさ》

 

「間宮…あぁ、そうだ横須賀君よ」

 

《なんだい⁇》

 

「何故明石は動けた」

 

《聞きたいかい⁇》

 

無線の先から時折聞こえた、”明石”と言う名

 

確か、横須賀君と結婚した艦娘だったはず

 

「それは聞きたい。あの金髪娘も倒れたからな」

 

《分かった。教えてあげよう。明石は艦娘じゃないんだ》

 

「なら、人間の女子とでも言うのか⁇」

 

《そうだ。明石は建造で産まれていない。元々…私の恋人だったのさ》

 

「そんな奴、他に居るのか⁉︎」

 

《あと一人、私の知っている限りでは存在するね》

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