艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

579 / 1101
182話 ちゅるちゅるアークちゃん(4)

「アークが見ても、ビビリは良い父親だと思う」

 

「お褒め頂きありがとうございますぅ〜」

 

「アークは本気で言っている‼︎でなければこれだけ子供達に好かれる事はない‼︎」

 

「おぉ…そうか」

 

今まで俺を小馬鹿にし続けて来たアークから、褒め言葉が出た事に驚いている

 

「ば、バーカ‼︎ビビリのアホ‼︎」

 

「はいはい。お家帰るぞっ」

 

「ぐぬぬ…」

 

一応横須賀に報告しておこう

 

再びアークを腕に付けながら、横須賀にメールを打つ

 

 

 

リヒター> 行って来た

 

ぜみに> どうだった⁇

 

リヒター> 味も価格も良し。後は店員がてやんでぃを控えたら完璧だ

 

ぜみに> ありがと。てやんでぃちゃんは涼風って言うの。また夜に見たら寄ってあげて⁇

 

リヒター> 今日はありがとうな

 

ぜみに> 感謝なさい

 

 

 

「ビビリが感謝されるべきじゃないのか⁇」

 

アークがタブレットのやり取りを見ていた

 

「横須賀はこれでいいんだよ」

 

「何故横須賀を嫁に選んだ⁇」

 

「横須賀はこう見えて尽くす良い女なんだ。困った時には、絶対傍に居てくれる」

 

「…アークじゃダメだったのか⁇」

 

「アーク⁇」

 

掴まれている腕に力が入る

 

これで全部理解出来た

 

アークは嫉妬していたのだ

 

「ビビリは良い奴過ぎる。アークのワガママにも付き合ってくれたり、子供達にも好かれる」

 

「イケメンだしな⁇」

 

「自分で言うか⁉︎」

 

「アークは…マーカス様をその様に育てた覚えは…」

 

「アーク」

 

高速艇に向かっていた足を止める

 

「母さんのお土産忘れた」

 

「それはいかん‼︎姫は何が良い⁉︎」

 

「ぬいぐるみ欲しがってたな…」

 

「向こうに店があるだろ‼︎行くぞ‼︎」

 

アークに手を引かれ、繁華街へ引き返す

 

上手い具合に話を切り替えて良かった…

 

アークに手を引かれたまま、高雄の部屋に着いた

 

「ハァ…ハァ…」

 

「き、急に走ると辛いな…」

 

「い、いらっしゃいませ…」

 

高雄が瞬きをしながらビックリしている

 

「ぬっ…ぬいぐるみあるか⁇」

 

「どんなのが良いですか⁇」

 

「海の動物があればベストだ」

 

「でしたら、そこのコーナーは如何ですか⁇」

 

高雄の目線の先には”水族館タイアップフェア”と書かれており、イルカを始めとした色々なぬいぐるみが置かれている

 

「子供達はイルカだろ…母さんは違う方が良いか⁇」

 

「マーカス。このひょろ長いのはなんだ⁇」

 

見るとアークの手にはチンアナゴのぬいぐるみが抱かれていた

 

「チンアナゴだ。アークはそれにするか⁇」

 

「チン=アナゴ…」

 

アークはチンアナゴのぬいぐるみの顔を見た

 

点と線で縫われた笑った顔だ

 

シンプルなのに中々可愛い

 

「アークにも買ってくれるのか⁇」

 

「差別はいかんからな。おっ‼︎こいつにしよう‼︎」

 

手にしたのは”ペン”ギンのぬいぐるみ

 

アークのチンアナゴも一緒に、高雄のいるレジに運ぶ

 

「二つで1000円です」

 

「ありがとう」

 

ぬいぐるみを袋に入れて貰う時、アークはチンアナゴのぬいぐるみを手に取り、そのまま抱っこした

 

「このまま持ってる」

 

よっぽどチンアナゴのぬいぐるみが嬉しい様だ

 

結局、基地に帰るまでアークはチンアナゴのぬいぐるみをずっと持っていた

 

 

 

 

 

「ただいま〜っと」

 

「ただいま‼︎」

 

基地では既に子供達は眠っており、大人連中が一息つきながらコーヒーを飲んでいた

 

「お帰りなさい。ご飯食べた⁇」

 

「ちょっと食べて来た」

 

「そっ⁇ならコーヒーは⁇」

 

「飲む」

 

「アークも‼︎」

 

「ふふっ‼︎手洗って待ってて‼︎」

 

貴子さんにコーヒーを淹れて貰っている間、アークと手を洗いに洗面所に向かう

 

「ビビリ」

 

「なんだ⁇」

 

「今日はありがとう。ウドンも美味しかったし、チンアナゴも嬉しい」

 

「また連れてってやるよ」

 

「約束だからな⁉︎」

 

「空軍は嘘を吐かん。ほら、行くぞ」

 

食堂に戻って来ると母さんも追加されており、紅茶を飲んでいた

 

「ひ、姫…」

 

「アーク。そこに座りなさい」

 

「はい…」

 

怒られると思ったアークは、母さんの前に座り、下を向いている

 

母さんは紅茶を飲みながらアークに話し掛ける

 

「マーカスに何買って貰ったの」

 

「チンアナゴ…」

 

「チンアナゴ⁇」

 

「これです」

 

膝に置いていたチンアナゴのぬいぐるみを母さんの前に出す

 

「良かったわ‼︎」

 

「へ…」

 

「マーカス、私に一度お土産を忘れたの。アークに買わなかったらどうしようかと」

 

「母さんはこれだ」

 

チンアナゴが引き上げられ、代わりに紙袋を渡す

 

「開けていいの⁉︎」

 

「あぁ」

 

母さんが紙袋を開けるとペンギンのぬいぐるみが出て来た

 

「わぁ〜っ‼︎」

 

子供の様にキラキラした目で、母さんはペンギンのぬいぐるみを持ち上げた

 

「あと、これを買って頂き…」

 

「ふわふわしゅる〜‼︎ふふふっ‼︎」

 

「アーク。今の母さんに言っても無駄だ」

 

「う、うん…」

 

俺とアークはコーヒーを飲み、その後俺だけそ〜っと部屋に戻った

 

その日の晩、母さんはペンギンのぬいぐるみを抱っこしたまま眠りに着いた…

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。