艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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184話 拗ねた雄鳥(4)

「よいしょ〜っ‼︎」

 

「ぐわっ‼︎」

 

走ったパパラッチの先に誰かがいきなり飛び出し、足を引っ掛けた

 

パパラッチはすっ転ぶが、カメラは死守している

 

「いいカメラだね‼︎」

 

「あっ‼︎」

 

足を引っ掛けた子はパパラッチから一瞬でカメラを奪い取り、中のデータを見始めた

 

「なんだテメェは‼︎」

 

「スパイ」

 

「す、スパイ⁉︎」

 

「貴様の様な陰湿な輩から対象を護衛する様に依頼されたのだ」

 

KKTが出て来て、パパラッチの前に立つ

 

「う〜わ‼︎翔子さんばっかりだ‼︎」

 

パパラッチのカメラのデータは、翔子さんの写真ばかり撮られていた

 

「あれか。ヘンタイ=サンか⁇」

 

「人の商売を邪魔するな‼︎営業妨害で訴えるぞ‼︎」

 

「じゃあ僕達はプライバシーの侵害とストーカー行為で訴えるね‼︎」

 

「やはりヘンタイ=サンか。ビビリ以下だな」

 

「二度と付きまとわないって約束したら、カメラだけは返してあげるよ⁇」

 

「コイツ…言わせておけば…」

 

「KST‼︎ダンプが来たぞ‼︎」

 

ここはサービスエリア

 

ダンプが入って来ても何ら可笑しくない

 

「ホントだ‼︎ダンプの人に頼んで踏んでも〜らお‼︎」

 

「わ、分かった分かった‼︎データはやるから、カメラは返してくれ」

 

「はい」

 

KSTはメモリを抜き取り、カメラだけは返した

 

「あ、言っておくけど、本体メモリは消したからね」

 

「くっ…」

 

「じゃっ、毎度あり〜‼︎」

 

KSTはメモリを手元で軽く投げてまた掴み、KKTと共にその場を去った

 

 

 

 

 

スパイ二人が追跡対象を再び探すと、二人共既にジープに座って、エンジンを掛けているのが見えた

 

「ヤバヤバ…」

 

「危ない危ない…」

 

バレない様に急いでジープの後部座席に座り、シートベルトを締める

 

「これは何だ⁇」

 

「いちごシェイクだってさ」

 

二人の目の前には、それぞれシェイクが置いてある

 

「「はっ‼︎」」

 

二人は顔を見合わせた後、恐る恐るバックミラーを見た

 

パパがバックミラー越しにガン見している

 

「あ、あはは…」

 

「ど、どうするKST‼︎」

 

「お二人さん、ありがとうございました」

 

「翔子っ」

 

パパは笑いながら翔子さんの顔を見た

 

「あ、はいっ‼︎」

 

「私達はスパイなんて見てなかったっ‼︎」

 

「そうです‼︎今日は二人きりでとっても楽しいデートでしたね‼︎」

 

「パパ…」

 

「流石はビビリの上に立つ人間だ…懐が違う」

 

可愛いスパイ二人も乗せた”二人きり”のジープは帰路に着いた…

 

 

 

 

「俺も人間や、あんなんされたらカチンとくるわ」

 

パパラッチはブツブツ言いながら、自分の車に乗って翔子さん達を追い掛けようとした

 

「ん⁇」

 

エンジンが掛からず、ギャリギャリと嫌な音が出た

 

不審に思ったパパラッチは車から降り、後方に回ってみた

 

「げっ‼︎」

 

後輪のタイヤが二つ共外され、ご丁寧に止め具だけ持ち去られていた

 

次いでの様にバッテリーも外され、タイヤの上に置かれている

 

バッテリーとタイヤの間に挟まれた紙には、新聞から切り抜いた文字で

 

”走れルもんなラ走ッてみヤがれ‼︎”

 

と書かれた紙が置いてあった

 

「くっそ、あいつら…」

 

「貴方が週間文秀の記者ですか⁇」

 

「なんだテメェら…」

 

「ストーカー行為、プライバシー侵害、住居不法進入、窃盗、盗撮、恐喝、その他諸々の容疑で連行します」

 

「令状はあるのか⁇ん⁇」

 

「令状⁇これが令状だぁ‼︎」

 

パパラッチはいきなり顔面に右ストレートを喰らった

 

「や、やめてくれ‼︎謝るから‼︎」

 

「ふふ…悪人が助けを求めるのを見るのは良い物ですねぇ…私はこの瞬間が好きで、この依頼が止められないんですよ…」

 

パパラッチは終始敬語で満面の笑みを浮かべている男性に連れて行かれ、その後、彼を見た者は居なかった…

 

 

 

基地に帰って来ると、貴子が料理を作って待ってくれていた

 

「おかえい‼︎」

 

「しょこたんおかえい‼︎」

 

「ただいまっ‼︎」

 

相変わらず窓際で私達の帰りを待っているひとみといよが迎えてくれた

 

「パパおかえり‼︎」

 

「おっ‼︎ただいまっ‼︎」

 

その次にたいほうに抱き付かれる

 

「レイは⁇」

 

「れべとまくすと一緒に子供部屋にいるわ⁇」

 

「ひとみちゃん、いよちゃん、マーカス君達呼んで来てくれる⁇」

 

「わかた‼︎」

 

「れぇえ〜‼︎あっくす〜‼︎」

 

ひとみといよがレイ達を迎えに行った直後、貴子が話し掛けて来た

 

「ウィリアム…その…ごめんなさい。ちょっと言い過ぎたわ…」

 

「悪かったな、勝手に食べて」

 

「ううん。良いの。ひとみちゃんまといよちゃんに聞いたわ。ウィリアムと一緒に食べた〜って」

 

「あいつら…」

 

「さっ‼︎食べましょ‼︎しょこたんも座って‼︎」

 

「はいっ‼︎」

 

久し振りに翔鶴も貴子のご飯を食べる事になった

 

「ただいま‼︎」

 

「ただいま戻りました‼︎」

 

きそとアークも帰って来た

 

分かってはいるだろうが、スパイ二人の正体はKKTがアーク、KSTがきそだ

 

二人は貴子にプリンで雇われ、私の浮気調査では無く、私達の護衛に来てくれていたのだ

 

「パパラッチからメモリパクったよ‼︎」

 

「チョー=楽しかった‼︎」

 

「ごめんなさいね…二人に任せちゃって…危なかったでしょ⁇」

 

「ううん‼︎また雇ってね‼︎」

 

「アークもまたする‼︎」

 

「アーク⁇ちゃんとスパイ出来たかしら⁇」

 

「はっ。このアーク、任務は必ず遂行致します」

 

アークは良い子ちゃんモードに戻り、姫の前で一礼する

 

「アルパカ」

 

「うっ…何故それを…」

 

「ふふっ…私は何でもお見通しですよっ、アーク⁇」

 

姫はそう言って、アークからあのピンバッジを取った

 

アークは如何にも”しまった…”と言いたそうな顔をしている

 

「メモリどうしよっか⁇しょこたん欲しい⁇」

 

「出来ればデータを削除して欲しいです…」

 

「それもそうだね。アーク‼︎」

 

「はっ‼︎」

 

きそはアークにメモリを投げた

 

投げられたメモリはサージスタンガンでショートさせられ、見るも無惨な姿になった

 

「気に入ってるのね⁇」

 

「非殺傷兵器ですから、アークは好きです」

 

「いつかユーバリンとアサシモに御礼を言うのですよ⁇」

 

「はっ。仰せのままに」

 

アークがサージスタンガンを仕舞った所で、レイ達も食堂に来た

 

「デザートメッチャ出来た‼︎」

 

れーべとまっくすの手にも、ボウルに入れられた山盛りのグミが抱えられていた

 

いつか買ったシュネッケン大量製造機は、使い方と材料を変えれば美味しいグミを作る事も可能だ

 

「照月、ご飯もグミも食べたい‼︎」

 

三人の横では、ハムスターの様に頬を膨らませた照月がグミを頬張っている

 

よっぽど美味しいらしい

 

この日の夕食はいつもより長く続き、翔鶴が普段の話やどんな仕事をしているのかを話してくれた…

 

そして、きそとアークにはプリンが一つずつ付いて来ていた…




次回はとあるお話の伏線回収回になるかも⁉︎です
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