今回のお話は、恐らくきっと伏線回収になります
やっと書けると言うか、ずっと書きたかったと言うか…
でも、このお話はまだかなぁと思いつつ、ようやく書く事が出来ました
不可解な所も含め、また謎が謎を呼ぶお話になると思います
朝霜がとある物を開発した所からお話が始まります
「で…出来ちまった…」
横須賀の工廠で、朝霜が震え上がる
「どっ、どうでした⁉︎」
「あぁ…」
朝霜の目の前の机の上に置いてある艤装を見て、夕張も震え上がる
「ま、参ったな…どどどどうしよう‼︎」
朝霜は考える
お母さんに知らせれば恐らく悪用する
姉妹達に知らせるのは危険すぎる
となると、必然的に残るのは…
「さっぶ‼︎」
「さみゅい‼︎」
「うひ〜っ‼︎」
「かぜひくよ⁉︎」
朝霜がパニックになっている時、俺は基地の外を見回りに出ていた
寒風が吹いた途端、体中にくっ付いているひとみ、いよ、たいほうが更に抱き着く
最近メッキリ寒くなった
それに、ひとみといよは寒いのが初めてだ
流石にお気に入りのワンピースはしばらくお蔵入りになり、今度は紺色の長袖のパーカーを着ている
たいほうも色違いの黄色のパーカーを着ており、どれも暖かそうだ
「うみ、ばっちゃ〜んなってう」
「き〜かさかさ〜ってちてう」
「りすもいないね」
海は寒風で波を立て
裏の林は寒風で葉音を立て
いつものリスは行方を眩ませた
「かっ、帰ろう‼︎」
「ここあのむ‼︎」
「あったかいここあ‼︎」
「たいほうものむ‼︎」
あまりにも強い寒風の所為で、四人は基地に引き返して来た
「ちょっと待ってね‼︎あっ‼︎丁度帰って来たわ‼︎」
食堂に戻って来ると、貴子さんが無線で誰かと話していた
無線の主は、貴子さんの反応を見る限り、どうやら俺に用がある奴らしい
「おかえりなさい。マーカス君、娘さんからよ」
「ありがとう」
貴子さんから無線機を貰い、俺から降りた三人は貴子さんの所に向かって行った
「お外寒かった⁇」
「さむかた‼︎」
「お洋服暖かかった⁇」
「ぽかぽかしゅる‼︎」
「リスはいた⁇」
「りすね、いなかった…」
「ふふっ…ウィリアムとスパイトの所に行って来てご覧。その間にココア淹れといてあげる‼︎」
「「わかた‼︎」」
「いってくる‼︎」
ひとみといよは普段から言われている様に、たいほうと手を繋いでから隊長のいる執務室に向かって行った
そんな三人を横目に、俺は無線機を持った手を震わせる
「本当なのか…⁇」
《あぁ。とりあえず、誰にも言わずに来てくれ。万が一失敗して、みんなをガッカリさせたくない》
「わ、分かった。すぐ行く‼︎」
無線を切り、定位置に置いた後、呼吸を整える
「随分焦ってるわね…」
貴子さんが心配そうに見つめて来る
「朝霜が新しい艤装を造ったらしいんだ」
「結構力作なのね⁇」
「そんな所。ちょっと出掛けます」
「あっ‼︎ちょっと待って‼︎」
出入り口で引き止められ、貴子さんが台所から出て来た
「寒いからこれ着けて行きなさい⁇」
貴子さんに薄手のマフラーを首に巻いて貰う
「アークが作ってくれたのよ⁇ビビリが寒くない様に〜って」
「アークがか⁉︎」
「この前はチンアナゴをありがとうって言ってたわ⁇」
「なるほど…行ってきます‼︎」
「気を付けてね‼︎」
貴子さんに見送られた後、工廠でアニメを見て絶賛サボり中のきその頭を撫でる
「うわっ‼︎」
「横須賀に飛ぶぞ」
「オッケー‼︎行こう‼︎」
きそはアニメを切り、グリフォンの中に入った
操縦席に座って電子機器のチェックをした後、グリフォンが口を開いた
《いいマフラーだね》
「アークが作ってくれたらしいんだ」
《アークはホントにレイが好きだね‼︎》
「好かれる事は良い事だ。行くぞ‼︎」
《うんっ‼︎》
グリフォンが基地から飛び立つ…
「はぁ〜っ‼︎ドキドキしてきた‼︎」
「マーカスさん、どんな反応するだろ‼︎」
朝霜と夕張はその辺をウロウロしながら俺が来るのを今か今かと待っていた
「何が出来たんだ⁇」
「お、お父さん‼︎」
「き、きたきた‼︎」
俺ときそが来ても焦っている
「こ、これなんだ‼︎」
朝霜と夕張の前には、何処かで見た事があるバットが置かれている
「これ何⁇」
きそは机から頭を出し、バットを見つめる
今気付いた
きそは朝霜より頭一つ分身長が小さい
身体だけで言うと、朝霜の方が姉に見える
「きそ姉、お父さん。これはその…」
それでも朝霜はきそを姉と慕う
我ながら、良い娘を持ったな…
話がズレたが、俺はこのバットの正体を何となく知っていた
「話すより試した方が早いかもな。お父さん‼︎行きたい”時代”はあるか⁇」
やはりそうだ
なら、一つ試したい事がある
「第二次世界大戦中に行ってみたいな」
「ダメだ」
やはり断わられた
俺を第二次世界大戦中に連れて行くのはどうしてもダメらしい
「ならそうだな…じゃあ、終戦からしばらくしてからでもいい」
「あぁった。ケツ出してくんな‼︎」
朝霜はそれを承諾し、バットに付いているダイヤルを合わせた
「んっ‼︎」
俺は言われた通りにケツを突き出した
「きそ姉はどうする⁇」
「ぼ、僕はいいや…ご、ごめんね朝霜‼︎」
何かを感じたのか、きそはケツバットを断った
「いいさ。まだ試験段階みたいなモンだかんな。アタイが行って確かめて来るってのが筋ってもんさ‼︎んじゃ行くぜ‼︎」
「あだっ‼︎」
朝霜の渾身のフルスイングがケツに当たる…
「いででで…」
しばらく意識を失った後、ケツから地面に落ちた
「よっこら‼︎」
数秒遅れて来た朝霜は普通に立ったまま転送が終わる
「それタイムマシーンか⁉︎」
「ん⁉︎あぁ、まぁな‼︎夕張が光より速い弾を撃ち出す艤装を造ってたら、アタイはアタイでコレの構想が産まれたんだ‼︎まさか上手く行くとはな…」
最初に不思議そうな顔をしたのと、最後の一言が気になるが、これでようやく分かった
時代は上手く動いている
それも筋書き通りに
「んで⁇お父さんは何したいんだ⁇」
「逢いたい人がいるんだ」
朝霜と一通り会話を終えた後、周りを見渡す
世界大戦が終わり、日本経済を立て直す為に人が慌ただしく動いている
ファッションも随分と現代に近付き、今でこそ洋服と呼ばれる物を着ている人物もチラホラいる
だが、その中に混じって和服の人もいる
「朝霜」
「ギザギザ丸だ」
「ギザギザ丸だぁ⁉︎」
「アタイとお父さんは、この時代にはタブーの存在だ。だから名前を変える」
「じゃあリヒターにする」
「オーケェー」
「行きたいのはイタリアの大使館だ。場所は…」
癖でタブレットを取り出す
そしてすぐ気付く
勿論電波が無い
そして付近を歩いていた人から好奇の目で見られる
「あれはなんだ…」
「アメリカの最新機器か…」
「ははは早くしまえ‼︎あ、あはは…」
ギザギザ丸は体でタブレットを隠し、周りに愛想笑いを送る
「イタリア大使館はどっちだ⁇アタイ達、ここ来んの初めてなんだ‼︎」
ギザギザ丸はその場にいた人にイタリア大使館の場所を聞いてくれた
「あかった。ありがとな‼︎行くぞリヒター‼︎」
ギザギザ丸に背中を押され、その場から離れる
「ンなモン出すな‼︎」
「すまんすまん‼︎」
「も〜。頼むぜ⁇あっちだ」
軽くキレているギザギザ丸にタブレットを没収され、後ろを着いて行く
あの日と同じ、鷲の刺繍と”スカ”と縫われたスカジャンを着ている
「気に入ってるのか、スカジャン⁇」
「ん⁇着やすいかんな。お父さんの革ジャンみたいなモンさ」
そういう所まで親に似るんだな…
「ここだ」
「変わってないな…」
ずっと昔に一度来たっきり
だが、外見はなんら変わっていなかった
「んだよ、一回来たみたいな言い方して。てか、どうやって入んだよ」
「大使館に用は無い。用があるのは…こっちだ」
大使館近くに建てられている、大きな屋敷
俺はそこに用があった
「たんたんたぬき、こんこんきつね」
屋敷の前で女の子がボールをついて遊んでいる
クルクルドリルの髪型で、たいほう位の年齢の女の子は、鼻水を垂らしながら楽しそうに遊んでいる
何となく、彼女が鍵の様な気がする…