ようやく気付いたみたいだ
彼女の名はローマ
当時看護婦だった彼女に、まだ傭兵だった私は身も心も世話になった
だから、癖とかも良く覚えている
「貴方、本当にブラック・アリス隊の…」
「信じられないか⁇ちょっと老けたからな…」
「あの頃と違って、落ち着いてるわ。貴方、もっと破天荒だったもの」
「あの頃は、な」
そうだった…ローマは私の過去を知る数少ない人物
「別に疑ってはないわ。でも、本当に…」
「お前、左胸の上辺りにホクロがあったろ」
「なっ‼︎」
彼女は顔を赤らめ、胸を隠す
「い、いいわ。認めてあげる。でも、あの事は内緒にして」
「恥ずかしいか⁇」
「恥ずかしいに決まってるでしょ‼︎…バカ」
「ふっ…」
タバコを捨てて、彼女の頭を撫でる
「さ…触らないで…もぅ」
嫌そうに睨み付けるが、内心嬉しそうだ
「満更でもない癖に」
「キス位したらどうかしら⁇いつもみたいに」
「はいはい」
まるでいつもしているかの様に、ごぐごく自然に唇を交わす
「…変わってないわ」
「そう。良かった」
「あ…あ…」
何か変な声が聞こえる
「た、隊長さん…」
扉の前にはピンク髪
「明石、か⁇いつの間に⁉︎」
「え、えと…二式大艇が出た後、高速艇で…」
「いつからいた」
「お前、左胸の上辺りにホクロがあったろ」
「…どうにかしなさいよ」
「あ、あはは。あたし黙ってますよ。ほんと…」
「そ、そか…良かった」
「ちょ〜っと、値は張りますがね‼︎」
明石の目が怖い
この目、商売人の目だ‼︎
「い、幾らだ‼︎」
「そうですねぇ…じゃあ、それ下さい」
明石が指差したのは、鞄の中から頭を出した、先程のカンノーロの残り
「これでいいなら…はい」
「ありがとうございます‼︎」
カンノーロを手に取ると、何事も無かったかの様に明石は去って行った
私は誰もいないのを確認し、扉を閉じた
「騒がしいわね。日本はみんなあんな感じ⁇」
「まぁな。でも、みんないい奴だ」
「ま、暇はなさそうね」
「確かに」
ようやく食事にありつき、しばらくそれに勤しんだ
「ごちそうさま」
「美味しかったな」
「さぁ、貴方はお風呂に入って。私はこれから、さっきの人に用があるの」
「付き添わなくて大丈夫か⁇」
「大丈夫よ」
私は大浴場に向かい、彼女は横須賀君の所に向かった
「は〜っ…」
基地の風呂より、少しデカいな
しかし…
”パスタ茹でるで‼︎”
”おっしゃ‼︎”
「…」
目の前に、見慣れた関西弁をしゃべる”奴等”がいる
しかも湯船でパスタを茹でようとしている
”なんやこのオッサン。こいつも茹でてまえ”
”えぇ体しとるな。ムキムキや‼︎えぇダシでるで‼︎”