艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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188話 一人の少女の安息地(3)

「うんがー、ここ、うまれた」

 

レイがうんがーの方を見る

 

うんがーはレイに笑顔を送っている

 

「もしかして…船霊なのか⁇」

 

「そうそう。うんがー、ふなだま」

 

それを聞き、レイはうんがーの前で跪いた

 

「貴方の資料を頂いております…」

 

「ははは。れい、おもしろい」

 

「うんがーって名前は誰に付けて貰ったの⁇」

 

「みんな、うんがー、うんがー、よぶ」

 

産まれた頃から周りがうんがーうんがー言っているので、自分の事をうんがーだと思っている様だ

 

「名前ないのかぁ…」

 

「俺が付けてやるよ‼︎あ、いや、付けさせて下さい‼︎」

 

「れい、うんがー、なまえ、つける⁇」

 

「そう‼︎」

 

「どんな、なまえ」

 

「そうだな…しおん、なんてどうだ⁇」

 

最近レイもきそに感化されて来たのか、名付けが早い

 

それに、中々彼女にお似合いの気もする

 

「うんがー、しおん、なまえ⁇」

 

「そう‼︎」

 

「しおん、きにいった‼︎」

 

この世で一番尊敬する艦の笑顔を見て、レイも笑顔を送る

 

「俺は霊とか神とか信じてないが、貴方を見て、ちょっとは信じようと思ったよ」

 

「ねぇねぇ、レイはどうしてしおんが船霊だって分かるの⁇」

 

「ここさ」

 

しおんはこの島で唯一まともな服を着ており、腹部横に”イ400”と書かれていた

 

「それに、船員達が良く愛していたのが分かる。しおん、船霊の時、みんなしおんにお話してくれたりしたろ⁇」

 

「うんうん」

 

「じゃないと、何十年も経った後にこんな綺麗に神棚だけ残らん」

 

「しおん、せんそー、きらい。みんな、すきだった」

 

しおんは下を向いて、少しだけ当時の事を話してくれた

 

「しおん、みんな、すき。だから、さいご、しおん、うそ、ついた」

 

「嘘⁇」

 

「せんそー、おわた、かえろて。みんなかえてきた」

 

しおいもレイも、当時の事を嬉しそうに話し、神棚を愛おしそうに見るしおんを見ている

 

「せんちょー、しおんのうそ、しってた。でも、いうこと、きいてくれた。せんそー、ほんとにおわてた」

 

「嘘から出た誠…か」

 

「しおん、あめりかわたた。いろいろけんさ。けんさおわて、しおんここきた」

 

「優しい子だな…しおんは…」

 

「それからしおん、せんちょー、あった。せんちょー、あいにきた。しおん、せんちょーふれたい。だから、このからだ、ねがった。ねがいかなった‼︎」

 

しおいもレイも鼻をすする

 

そして、同じ事を思う

 

あぁ、愛だな…と

 

「しおん、せんちょーと、いっぱい、ごはんたべた。せんちょー、うれしい、しおんもうれしい。とても、たのしかた」

 

「その船長は⁇」

 

「せんちょー、おとし。いんきょ。そっとする。せんちょー、しおん、いやなおもいで。しおん、ここでくらす」

 

「逢わなくていいの⁇」

 

「だいじょぶ。せんちょー、しおんとやくそく、した。やすくに、あう。せんちょー、そこいく。しおんも、そこいく」

 

「なるほどな…」

 

「そのとき、しおん、せんちょー、およめ。ごはん、つくる‼︎いっぱいいっぱい、つくる‼︎」

 

最後の最後で、しおんは一粒だけ涙を零した

 

本当はしおんは船長に逢いたいのだろう

 

だが、それでも船長の身を重んじ、自分はここで暮らしている

 

「しおんはここに居て幸せか⁇」

 

「しおん、しあわせ‼︎みんな、やさしい‼︎しおんも、みんな、すきっ‼︎」

 

「そっか…」

 

「でも、しおい、ときどき、ここ、くる。しおんと、ごはん、たべる」

 

「うんうん‼︎しおんはしおいのともだだよ‼︎」

 

「うんうん」

 

レイは思う

 

何処と無くしおんとしおいは似ているなと

 

それもそうだ

 

しおんはしおいの姉だ

 

何十歳も歳は離れているが、姉である事に変わりは無い

 

「れい、しおい。ありがと。しおん、はなしきいて、くれて」

 

「此方こそ。良い経験になった」

 

「うんうん‼︎」

 

「うんうん」

 

三人は神棚に一礼した後、歴戦の勇者の中から出た

 

「ばんぼ〜‼︎」

 

「うんあ〜‼︎」

 

「でっち〜‼︎」

 

「バンボバンボー‼︎」

 

「アララララーッ‼︎」

 

家が立ち並ぶ場所に戻って来ると、ひとみ、いよ、ゴーヤが奉られ、住民はファイヤーダンスを踊っていた

 

「れい、かみさま、つれてきた。みんな、うれしい」

 

「い、生贄とかじゃないだろうな…」

 

「だいじょぶ。みんな、ふるーつ、たべる。ひとくる、うれしい。でも、ちょっと、ふあん、なる」

 

「なるほどね〜」

 

「しおい、れい、いこ‼︎しおん、ばんぼ〜、したい‼︎」

 

しおんに手を引かれ、しおん曰く神を奉る”ばんぼ〜”に参加する

 

その日、夜までばんぼ〜をし、皆鱈腹食べた後、流石に貴子さんの心配になるだろうと島を出る事になった

 

「みんな、また、くる」

 

「うんうん‼︎絶対来るよ‼︎」

 

「ありがとうな‼︎」

 

「バンボバンボー‼︎」

 

「ばんぼ〜‼︎」

 

「あんお〜‼︎」

 

住民達から熱烈な別れの踊りを目にしながら、獲物を入れた網を持ったしおいを乗せたタナトスは島を後にした…

 

 

 

 

 

「おかえりなさい‼︎」

 

「ただいま‼︎随分遅くなった‼︎」

 

「たらいまばんぼ〜‼︎」

 

「かえってきたあんお〜‼︎」

 

「あらっ⁉︎どうしたの可愛いの付けて‼︎」

 

ひとみといよは花で作った首輪や、頭にも花の王冠が乗ったままでいた

 

「ばんぼばんぼ〜いってた‼︎」

 

「ふう〜つたえた‼︎」

 

「ふふっ、楽しかったみたいね⁇」

 

島に行った皆、それぞれが良い経験を積んで帰って来た

 

 

 

 

 

 

一つ問題があるとすれば、しばらくひとみといよから「ばんぼ〜」や「うっほうっほ」が外れなかった事だけだ…




しおん…先住民族娘

基地から少し離れた場所にある先住民族が暮らす離島にいる艦娘

先住民族の言葉を話し、きそリンガルでも辛うじて分かる位の言語を話す

活発で人見知りしない良い子だが、サメには容赦無い

正体は伊400の船霊で、自分を大切に扱ってくれた船長に少し恋心を抱いていた
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