艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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190話 オンナノタタカイ(2)

「大丈夫ダズル⁇」

 

「ありがとう…」

 

「さっ‼︎怪我の手当てをするんだリュー‼︎」

 

「すまん…」

 

榛名、リシュリューが民間人に手を貸し肩を貸し、ガンビアや神威から出された救助艇へと乗せる

 

「よしっ‼︎次で最後ダズル‼︎リシュリュー、先にガンビアで待ってるんダズル‼︎」

 

「分かったんだリュー‼︎」

 

リシュリューを見送る

 

「ん…⁇」

 

榛名は一瞬だけ、リシュリューの背中から目を離すのを躊躇った

 

「アイツの背中を見るの…なんか最後の気がするダズル…」

 

一瞬、不思議な感覚に苛まれた後、すぐに最後の救助艇が来た

 

「ありがとうございます‼︎」

 

「赤ちゃんダズル」

 

救助艇に最後に乗ったのは、赤ちゃんを抱いた母親と、その夫の三人組

 

榛名はそんな三人を見て、記憶のずっとずっと奥にある自分の家族の事を思い出そうとしていた…

 

「赤ちゃんは榛名に任せるダズル。さっ、二人は乗るんダズル」

 

「すみません…」

 

榛名が赤ちゃんを抱き、腕の中であやす

 

「赤ちゃんは何て名前なんダス…」

 

赤ちゃんを抱いたまま振り返った榛名の頬に、数滴の鮮血が付いた

 

「え…」

 

数秒前まで赤ちゃんを抱っこし、気丈に振る舞っていた赤ちゃんの両親はそこには無かった

 

あったのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

落ちて行く、二人の下半身だった

 

 

 

 

 

 

「なん…」

 

榛名の頭が一瞬止まる

 

そしてすぐ、赤ちゃんだけは護ろうと救助艇へ放り込む

 

「行くんダズル‼︎」

 

「り、了解‼︎」

 

救助艇を送った後、榛名はすぐに二人の元へ歩み寄る

 

「何やってんダズル…赤ちゃんが…」

 

「アハハハハ‼︎シンダシンダァ‼︎」

 

声が聞こえた方に顔を向ける

 

タンカーに空いた大穴から誰かが笑っているのが見えた

 

手から煙が出ている所を見ると、その誰かが二人を殺した様子だ

 

「オメェ…何やってんダズル…」

 

榛名は二人の方に向き返り、ハンマーを握り締める

 

「オマエモシネェ‼︎」

 

第二波が榛名に向けて放たれる

 

「…」

 

「ナッ…」

 

榛名は無言のまま、ハンマーを持った逆の手で砲撃を掴み取った

 

「クソみたいな砲撃ダズルな…」

 

掴み取った砲弾を海へ落とした後、榛名は二人の遺体に一礼をした

 

「すまんダズル…今はこれ位しか出来んダズル…」

 

礼を終えた後、榛名は大穴から砲撃をした人物の元に向かう為、ゆっくりと海上に足を置いた

 

「今行ってやるダズル…そこで待ってるんダズル…」

 

 

 

 

榛名がタンカーへと向かう少し前、俺も榛名と同じ場所を目指していた

 

「いた」

 

《創造主様‼︎敵性反応です‼︎離れて‼︎》

 

「何⁉︎」

 

クラウディアの通信を聞き、壁にもたれながら中の様子を見る

 

「アハハハハ‼︎シンダァ‼︎ミンナシンダァ‼︎アッハハハハ‼︎」

 

「何だアイツは…」

 

見た事の無い新種の深海棲艦がそこに居た

 

その深海棲艦はタンカーの大穴から砲撃を繰り返し、今まさに沈もうとする客船に攻撃を繰り返していた

 

「止まれ」

 

ピストルを構え、深海棲艦の前に出る

 

「アハハハハ…ダァレェ⁇ヒトガタノシンデルノ、ジャマシナイデクレル⁇」

 

「民間の客船だ。何処のどいつか知らんが、攻撃するな」

 

「カンケイナイデショ⁇ジャマシナイデ‼︎」

 

そうしてまた、砲弾をしようとする

 

「仕方無い…」

 

深海棲艦に向けてピストルを数発放つ

 

「イタイ‼︎ヤメテヨォ‼︎」

 

当たりはしたが、新種なのかあまり効果が無い

 

「やめろと言ってる。もっぱつ撃つぞ」

 

「ヤメテッテ…オネガイシテルノニィィィ‼︎」

 

「なっ‼︎」

 

深海棲艦はいきなり飛び掛かって来た

 

咄嗟にそれをかわし、大穴が背後にある状態になった

 

《創造主様‼︎ここは撤退を‼︎》

 

「生存者はもういないか⁉︎」

 

《えぇ‼︎潮時です。空中で拾いますので、大穴から飛んで下さい‼︎》

 

「よし…」

 

大穴の方へと後退りながら、深海棲艦との距離を取る

 

《創造主様‼︎》

 

「とっ‼︎」

 

大穴から飛んだ瞬間、グリフォンに拾われ、一気に大空へと逃げた

 

「な…何なんだアイツは‼︎」

 

《恐らく、この事故を引き起こした張本人かと。ここは榛名様やリシュリュー様に任せて、創造主様は治療に当たってくれとジェミニ様から連絡を受けました》

 

「お前の言う通りにするよ」

 

俺もDMM化すれば対等に戦えただろうが、クラウディアと横須賀の言う通り、今は民間人の治療に当たった方が良いだろう

 

《創造主様。もう少しご自分の体の心配もなさって下さい》

 

「分かったよ…ありがとう、クラウディア」

 

スカイラグーンへと撤退して行くグリフォンを見ながら、新型深海棲艦は不気味に微笑んでいた…

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