艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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192話 あの子は恋する女学生(3)

次の日になっても、母さんは元に戻らず

 

朝ご飯もベッタリ

 

歯磨きもベッタリ

 

着替えもベッタリ

 

「よし。こうなりゃ親父に会わせよう‼︎」

 

「おやじ⁇」

 

「リチャードだよ」

 

「りちゃ〜ど⁇ま〜かすのしりあい⁇」

 

「オーケー。親父を忘れてる」

 

「丁度良い。レイ、これを中将に渡して来てくれるか⁇」

 

「オーケー。任された。母さん、行くぞ」

 

「うんっ‼︎」

 

隊長から書類を受け取り、ロリ化した母さんを抱っこしながらグリフォンに乗る

 

「大人しく乗ってるんだぞ⁇」

 

「は〜い‼︎」

 

助手席の母さんにベルトを付け、横須賀に向けて飛び立つ

 

 

 

「ん〜っ‼︎チゲ鍋最高‼︎」

 

「親父」

 

「寒い日はチゲ鍋だよな‼︎」

 

「親父」

 

「はいっ‼︎中将、あ〜んっ‼︎」

 

「親父」

 

「あ〜んっ‼︎」

 

「親父」

 

「なんだね…ま、マーカス‼︎」

 

何度も呼んでようやく振り向いた親父は、俺を見た瞬間椅子から転げ落ちた

 

親父は瑞雲にいた

 

瑞鶴も一緒にいる

 

妻、そして息子の前で堂々と浮気をしている

 

「よく息子の前で堂々と浮気出来るな…」

 

「う、浮気ではない‼︎こここ、これは、その…」

 

「とりあえず隊長から」

 

隊長から預かった書類を渡すと、親父の目付きが変わった

 

「すまん。クイーンとグリフォンのフライトデータなんだ。VR演習の敵役に役立てようと思ってな」

 

「まっ、役立つ所には役立ててくれ。それとっ…」

 

「おっ…」

 

「ま、ま〜かす…」

 

親父の膝の上に乗せた母さんは、不安そうに俺を見ている

 

「大丈夫だ。この人は母さんの好きな人だ」

 

母さんの頬を撫でると、少し涙を浮かべた後、ゆっくり頷いてくれた

 

「親父、”母さん”を頼んだ‼︎じゃっ‼︎」

 

「お、おいマーカス‼︎どういう意味だ‼︎」

 

「ま〜ま〜中将。食べましょう⁇」

 

「子供用の椅子がいるだろう」

 

「あ…ありがとう」

 

日向が持って来てくれた子供用の椅子に、謎の幼女を座らせる

 

「君、お名前は⁇」

 

「うぁ〜すぱいと‼︎」

 

「すっ、スパ…」

 

「チゲ鍋大丈夫かな…」

 

「ちょっとよそってやってくれ」

 

瑞鶴がチゲ鍋をよそってくれている間、母さんは親父を見ず、小さな容器によそわれていくチゲ鍋を見ていた

 

「はいっ、どうぞ〜」

 

「いただきます‼︎」

 

チゲ鍋を食べる母さんを見ながら、二人も同じ物を食べる

 

そして、母さんの口周りが真っ赤になっていく

 

「こりゃスパイトだわ」

 

「どうしてこうなったのかしら…」

 

口周りが汚れて行く事で分かられる母さんも母さんだな…

 

 

 

 

母さんの事は親父に任せときゃいい

 

俺は俺で試したい奴がいる

 

「レイ‼︎」

 

伊勢に入ろうとする横須賀が見えた

 

丁度良い。探す手間が省けた

 

「ケーキ食べるわよ‼︎」

 

俺の答えを聞く間も無く、横須賀に腕を引かれて伊勢に入る

 

「私レアチーズケーキ‼︎」

 

「取って来いってか⁇」

 

「あいたたた…急に足が…」

 

「しばくぞコイツ…」

 

仕方なくレアチーズケーキと、自分の分のアイスケーキを持って来た

 

「う〜ん‼︎美味し〜い‼︎」

 

「取りに行く時位動けよ…太るぞ⁇」

 

「うるさいわね〜っ‼︎乙女に太るとか、それでもジェントルマン⁇」

 

「…悪かったよっ」

 

「それでこそレイよ‼︎次っ、フルーツタルト‼︎ほら、早くっ‼︎」

 

横須賀は空いた皿をフォークでチンチン鳴らし、早くフルーツタルトを持って来いとせびる

 

悪い子にはお仕置きだ

 

取りに行ったフルーツタルトに、あの薬を二滴垂らし、戻って来た

 

「あ〜…」

 

しっかしまぁ…

 

オヤツ食ってるコイツの顔は、ホントに幸せそうだな…

 

「美味しいわぁ〜‼︎…へ⁇」

 

横須賀の身長が萎んで行く

 

胸も少し減り、髪の毛が赤くなって行く

 

「何これ」

 

「…」

 

若返った横須賀を見て、息が詰まりそうになる

 

黒髪ロングの暴食女も良いが、母親譲りであろう赤髪になった横須賀は、それ以上に可愛く見えた

 

「…何よ」

 

「い、いや…」

 

「アンタ誰」

 

「お、俺は、その…」

 

俺の事を忘れていて、少しホッとする

 

いつもなら女性と対面してもこんな事にはならないのに、16歳に戻った横須賀を目の前にした今、まるで初恋の相手を目の当たりにした様な感覚に陥っていた

 

上手く話せない…

 

手が震える…

 

心臓の鼓動が早くなる…

 

あぁ、やっぱり俺はコイツが好きなんだな…

 

「ここは初めてかしら⁇」

 

「いや…時々来てる」

 

「ふ〜ん…でも見ない顔ね⁇あ、分かった‼︎最近配置された部隊の子でしょ⁉︎」

 

「そんな所だ」

 

「まっ⁉︎精進なさい⁇ここには精鋭のパイロットが山程いるわ⁇じゃあね。もぅ…何なのよこの服。ダボダボじゃない」

 

横須賀は着ている服にブツブツ文句を言いながら、伊勢から出て行った

 

横須賀が出て行ったので、とりあえずは執務室を目指す事にした

 

「…」

 

「…」

 

「…ねぇ」

 

「なんだ⁇」

 

「何で着いてくんのよ‼︎」

 

「執務室に用があるんだ」

 

「あらそう」

 

必然的に向かうのは互いに同じ執務室

 

横須賀の後ろを歩きながら、執務室の扉が開く

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