艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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196話 アークの子育て奮闘記(6)

ユーギジョーを出ても、ビビリは色んな所に連れて行ってくれた

 

いっぱい遊んだ

 

いっぱい食べた

 

いっぱい愛して貰った

 

たった一日だけど、ビビリとの夫婦生活は本当に有意義に過ごせた

 

最後にはデートスポットである、海沿いを歩いた

 

朝歩いた砂浜が続く海岸線とは違い、下は赤レンガで舗装され、上は街灯が並んでいてとても綺麗な道になっている

 

「楽しかった‼︎」

 

「アークが楽しめたならそれでいい」

 

相変わらず私はビビリの腕にくっ付いていた

 

「たった一日だけど、アークは嬉しかった…ビビリと夫婦になれて」

 

「今度、ザラと飲みの席でもセッティングしてやるよ」

 

やはりビビリは気付いていた

 

恋愛に疎いと姫やウィリアム殿から聞いていたが、他人の事情に勘付くのは上手いな…

 

「…いいんだ」

 

「そうか⁇アークがいいなら別にいいか…」

 

「…ビビリがいい」

 

そう言って、ビビリの腕に頭を置いた

 

「マーカス様と一緒がいい…アークは、それが一番嬉しい…」

 

「なら、また遊びに来よう。飲むより食べる方がいいだろ⁇」

 

「うんっ…」

 

幸せだ…

 

ジェミニとケッコンする前にマーカス様と再会していたら、アークは…

 

「マーカス様…」

 

「ん⁇」

 

「アークはどうすれば良いでしょう…ジャーヴィスに叩かれ続け、そろそろ限界です」

 

「アークは良くやってる。ジャーヴィスを怒らずに良くここまで来た」

 

「…」

 

朝と違い、マーカス様は私の話を聞いてくれた

 

「俺は基地にいる時にしか、ジャーヴィスの相手を出来ない。それをアークは四六時中やってる。本当に立派だ」

 

「ん…」

 

「ありがとう、アーク」

 

街灯の下で立ち止まり、マーカス様は私をギュッと抱き締めてくれた

 

私は初めて、マーカス様の胸で泣いた

 

「良く頑張ったなっ」

 

「ううっ…」

 

何度も何度も頭を撫でられ、背中をさすって貰う

 

勝てない…この包容力には…

 

私が勝手に対抗意識を燃やしていた相手は、あまりにも強大過ぎた…

 

数分間泣き続け、ようやく落ち着いた私の手を握り、マーカス様は歩き始めた

 

「アーク。一つ試したい事があるんだ」

 

「試したい事⁇」

 

「そっ。きそから聞いたんだ」

 

マーカス様の試したい事を聞きながら、私達は帰路に着いた…

 

 

 

 

基地に着くと、ほとんどの人が眠っていた

 

「マーカス様」

 

「ん⁇」

 

「この指環は本日まで有効ですか⁇」

 

まだ付けている指環をマーカス様に見せる

 

「そ、そうだな」

 

「では、アークの最後のお願いを聞いて頂けますか⁇」

 

「ちょっ‼︎」

 

マーカス様を自室に連れ込み、一日の夫婦生活は幕を下ろした…

 

 

 

 

次の日の朝、午前5時手前…

 

ガラ…

 

ガラガラ…

 

廊下からジャーヴィスのガラガラが聞こえる

 

「起きたか…」

 

ベッドから起き上がろうとした時、マーカス様に戻された

 

「もうちょっと寝てろ」

 

額にキスされ、布団を被し直して貰う

 

「ん…」

 

言葉に甘え、もう少しだけ横になる事にした…

 

 

 

次に目が覚めたのは、いつも起きる時間

 

着替えてから食堂に行くと、いつもの光景があった

 

「くっこおおきた‼︎」

 

「しゃくばんはおたおしみれしたえ‼︎」

 

ヒトミとイヨにバレている‼︎

 

「おはようアーク」

 

「お…おはようございます…」

 

ヒトミとイヨに言われ、マーカス様の顔を見るのが恥ずかしくなった

 

「ふふっ‼︎良かったわねアーク⁇」

 

「あ…あはは…」

 

勿論姫にもバレている

 

…が、怒ってはいない様子だ

 

「…怒っていないのですか⁇」

 

「どうして⁇一日だけだったけど、マーカスとアークは夫婦でしょう⁇」

 

「あ…」

 

昨日の指輪が付けっ放しのままだ

 

「かっ、返します‼︎」

 

すぐに指環を取ろうとしたが、マーカス様に止められた

 

「預かっておいてくれ」

 

「へ⁇」

 

「ケッコンした訳じゃないけど、アークに預かっておいて欲しい。指環もその方が幸せだ」

 

「なら…そうさせて貰おう、かな⁇えへへっ…」

 

多分私は今、物凄く幸せそうな顔をしていると思う

 

良かった…愛されてる…

 

「でだ。アーク…」

 

「そうでしたね…」

 

マーカス様と共に、テレビの前でコロコロしながらその辺にいる子供達にガンガン当たりまくっているジャーヴィスの前に来た

 

「よいしょっ」

 

マーカス様に抱っこされたジャーヴィスは、真顔ながらも嬉しそうに体を揺らし、ガラガラを振っている

 

「アークお姉ちゃんだぞ〜」

 

そう言って、マーカス様は私にジャーヴィスを近付ける

 

が、ガラガラで叩かれない

 

それどころか、私の顔を見て笑っているようにも見える

 

「おいでジャーヴィス‼︎」

 

すると、ジャーヴィスはすぐに私に手を伸ばして来てくれた‼︎

 

すぐにジャーヴィスを抱っこし、ギュッと抱き締める

 

「良い子だジャーヴィス」

 

「ははっ‼︎ジャーヴィス‼︎」

 

今日のジャーヴィスは機嫌が良い

 

普段からこう大人しいと本当に助かる

 

そして、マーカス様と顔を見合わせ、頷きあった後、ある事を試す…

 

「良かったなアーク⁇」

 

「あぁ‼︎助かったぞビビリ‼︎あだっ‼︎」

 

ガラッバシ‼︎

 

額にガラガラが当たる。痛い

 

さっきまでちょっと笑顔を見せていたジャーヴィスの顔が真顔に変わっている

 

「ジャーヴィスは良い子ちゃんだな⁇アーク⁇」

 

「えぇ。マーカス様」

 

ガラガラ

 

ジャーヴィスは叩かない

 

それどころか、私の胸に頭を置いている

 

「アーク。今日のお昼は何だ⁇」

 

「ビビリの好きなコロッケもぽぇ‼︎」

 

ガラガラバキィ‼︎

 

アークの頬が歪む位にガラガラが叩き込まれる。メチャ痛い

 

「ははは‼︎やっぱり‼︎」

 

「ははは‼︎そういう事か‼︎」

 

私とマーカス様は、顔を見合わせ笑い合う

 

「ウィリアム。アークとマーカスが壊れたわ…」

 

「大丈夫そうですよ⁇」

 

姫とウィリアム殿が、私達三人を見る

 

「ジャーヴィスはアークお姉ちゃん嫌いじゃないよな⁇」

 

マーカス様の言葉に反応し、ジャーヴィスはマーカス様の方を向き、ガラガラを振る

 

「マーカス様の事をバカにされるのがイヤだったんだな…悪かった…」

 

そう

 

ジャーヴィスが私を叩くのには理由があった

 

私がマーカス様をビビリと言うと、ジャーヴィスはキレる

 

どうやら産まれながらにかなりブラコンの様だ

 

「ふふっ‼︎ジャーヴィスも私と好きな人一緒なのね‼︎」

 

姫が来たのでジャーヴィスを返す

 

姫もマーカス様が好きなのか…と思ったが、親子だから好きなのは当然か…

 

私の好きとは違い過ぎるな…

 

私はそれから、ジャーヴィスに叩かれる事は無くなった…




ジャーヴィス…小さなスパイトちゃん

スパイトの娘であり、レイの妹

口におしゃぶりを咥え、ガラガラを手に持ち、常に振って遊んでいる

アークの事は好きだが、レイを馬鹿にするアークは嫌い

スパイトとかなり似ており、何だか面白い予感がする…
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