艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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話数、題名共に変わりますが、前回の続きです

アークの話で気になった、計画段階で頓挫してしまった潜水艦”アルテミス”

そのAIと久々に話をしようとするが…


198話 もう一人の愛娘(1)

工廠に来てPCを点け、インカムを着ける

 

「誰かいるか⁇」

 

《何か用かしら⁇》

 

「ヘラか」

 

アイリスがボディを持ってから、結構な確率でヘラが相手をしてくれている

 

ヘラと話しながら厳重に管理された倉庫を開け、AIが入ったディスクを探す

 

「一人、話したい奴がいるんだ」

 

《私は邪魔かしら⁇》

 

「いや、そのままいて欲しい。ほったらかしにしてたからブチギレるかも知れん」

 

《情けないわねぇ…ま、いいわ⁇》

 

「あった。いくぞ…」

 

息を呑み”Artemis”と書かれたディスクを入れる…

 

「おはよう、アルテミス」

 

《おはよ》

 

NO SIGNAL

 

「あぁ⁉︎」

 

《誰もいないわよ⁇》

 

いるはずのAIが入っていない

 

何度調べようが、何処にもいない

 

拗ねていて話したくなくても此方から話は出来るはずだが、今回は話が違う

 

《何か書いてあるわ…ちょっと待ちなさい》

 

ヘラが何か出してくれようとしている

 

《出た。出すわ》

 

画面に文字が打ち出される

 

”ART HP”

 

「ヘラ。これを打った位置を探せるか⁇」

 

《待ちなさい…横須賀ね。この位置よ》

 

地図を出して貰い、この文字を打った場所をピンポイントで出す

 

「ヘラ。一緒に来てくれるか⁇」

 

《えぇ。たまには私に乗りなさいよ》

 

「分かった。隊長に報告して来るから、エンジン点けといてくれ‼︎」

 

《すぐ来なさいよ⁇》

 

隊長に報告しに、食堂に戻る

 

「隊長。ちょっと横須賀に行って来る」

 

「帰りに広島焼き買って来てくれないか⁇」

 

「お。了解」

 

おんどりゃあは人気だな…

 

貴子さんのメシ食ってる隊長でさえ食べたくなる物だからな…

 

「きそはお留守番な⁇」

 

「はっちゃん乗せるの⁇」

 

「たまにはヘラで行く」

 

「お嬢が乗せるって珍しいね…」

 

と、きそが呟いた瞬間、きそのタブレットにメッセージが入った

 

 

 

ヘラ> 叩くわよ

 

美少女剣士きそ> ごめんなさい

 

 

 

「バレてる…」

 

「地獄耳だからな…子供達を頼むぞ」

 

「うんっ‼︎」

 

ヘラに乗り、横須賀を目指す…

 

 

 

《でっ⁇あの文字はなんなの⁇》

 

「ALTはアルテミス。AIの名前さ。HPはヘルプ…要は助けてくれだ」

 

《じゃあ、レイが知らない間にその子は連れ去られたって訳⁇》

 

「その可能性が高い…まずは行ってみないと分からん」

 

《着陸するわよ》

 

横須賀に着き、ヘラにタブレットに場所を転送して貰う

 

工廠…

 

確かに一時期ここで管理はしていたが…

 

《サポートしてあげるから、行ってみなさい》

 

「分かった」

 

タブレット片手に、工廠を目指す

 

工廠の中に入ると、工兵がてんやわんや動いていた

 

本当にここでアルテミスが⁇

 

《レイ。その施設の地下よ》

 

「地下…」

 

工廠の地下と言えば、サラの旧研究施設だ…

 

《電子ロックね。開けたげる》

 

ヘラに頼めば一瞬で電子ロックが解除された

 

…あの時の苦労は何だったのか

 

扉が開き、下へと続く階段が出て来る

 

相変わらず漠然としない恐怖が吹き上げて来る…

 

生唾を飲んだ後、ピストルを構え、階段を降りる

 

本棚や資料が乱雑に置いてあるエリアには、アルテミスの反応は無い

 

だとすると…

 

《その扉の向こうね》

 

「ふぅ…」

 

深海棲艦のカプセルがある部屋に繋がる重圧な扉の前で、一旦深呼吸をする

 

《緊張してる⁇》

 

「まぁな…あんま此処には来たくなかったんだが…行くぞ」

 

金属が擦れる嫌な音を出しながら、扉が開く

 

再び目にする、目にしたくない光景…

 

《三つ先のカプセルの中よ》

 

「カプセルだと⁉︎」

 

ヘラに言われた通りに三つ先のカプセルに向かう

 

「空だぞ」

 

カプセルの中は既に空

 

溶液を抜かれている所を見ると、中身は出された様子だ

 

《反応はそこからよ》

 

埃に塗れたネームプレートを指で拭う

 

”TTType Submarine 3”

 

ネームプレートに書かれていた名前を見て頭を抱える

 

《何かの潜水艦の三番艦の様ね》

 

「タナトス型三番艦…」

 

《タナトスって…レイの潜水艦じゃないの⁇》

 

「そう…でも、三番艦は計画段階で頓挫したんだ。誰が…」

 

アルテミスが連れ去られ、救難信号を出した場所には頓挫したはずの潜水艦の名前…

 

誰かが盗んで建造してるのか⁇

 

《ちょっと待ちなさい。一時的にそのエリアに電力を流すわ》

 

数十秒後には電気が通り、メインコンピューターが点いた

 

《そのカプセルから連れ出したのが誰か、履歴で分かるはずよ》

 

「サンキ…」

 

《出たわ‼︎》

 

自分でしようとした時には、ヘラが調べ終えてくれていた

 

《コイツね》

 

アルテミスを持ち出した奴のデータが映し出された

 

「工作員だったのか…」

 

顔写真を見て更に頭を抱える

 

《アルテミスを出した後から行方不明みたいよ》

 

「いや…何度か見てる奴がいる…それより、ちょっと相手にし難いのが問題だ…」

 

考えろ…

 

どうすりゃいい…

 

万が一、アルテミスに搭載されるはずだった光学迷彩が完成していれば最悪の事態も有り得る

 

アルテミスは悪用すると大変な事になる

 

普通の潜水艦以上に敵に見つからずに相手を討てる

 

しかも相手が相手だ…

 

《もしその潜水艦が完成してたら、その潜水艦自体を何らかの方法で探知出来ないの⁇》

 

「無理だ。アルテミスは絶対に見つからない」

 

それに関しては確信があった

 

光学迷彩に加え、アルテミスはレーダーにさえ映らない

 

エンジンの音さえ極限まで消せる

 

タナトスが火力、ロンギヌスが守備力であるとすれば、アルテミスは隠密性がトップクラスに高くしてある

 

考えた俺が言うんだ。絶対にその方法ではまず見つからない

 

《AIが誘拐される時代ねぇ…》

 

「AI…」

 

ふと、一人の顔が浮かんだ

 

「…あの人に頼ろう」

 

地下から出て、ある人の場所に向かう…

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