「は〜い‼︎おはようございま〜す‼︎」
「飛鷹せんせ〜だ‼︎」
いつの日かパラオで救出された飛鷹がそこにいた
飛鷹も無事に居住区へと辿り着いたのだ
「今日はおえかきをしましょうね〜」
大東と佐渡にクレヨンと画用紙が配られ、先に書き始めたのは佐渡の方
大東も少し遅れてクレヨンを取り、絵を描き始めた
「大東ちゃんは何描いてるのかな⁇」
「お母さんとかにさん‼︎」
「そっかそっか‼︎佐渡ちゃんは⁇」
「にしし…瑞雲‼︎」
佐渡の手には緑色のクレヨンが握られている
「瑞雲好きなんだ‼︎なんでも出来んだぜ‼︎」
「瑞雲は強いものね〜。分かるわ‼︎」
「お母さんのお店と一緒の名前だ‼︎」
「マジか‼︎大東ちゃんのお母さんも瑞雲好きか‼︎」
「うんっ‼︎カニ鍋のお店してるの‼︎」
「ふふっ」
楽しそうに話す二人を見て、飛鷹先生は他の子達の様子も見る
おえかきが終わると、お弁当の時間
大東はおにぎり二個と昨日のウインナー数本と、ちょっとした野菜
佐渡は日の丸弁当とポテトと唐揚げ
容量は小さいが、どっちも美味しそうだ
佐渡も大東も自分に似合うお箸が無いので、子供用のフォークでお弁当を食べ始めた
「うまうま‼︎」
「ぱくぱく‼︎」
佐渡も大東も、ほっぺたに食べカスを付けながらお弁当を食べる
お弁当の時間が終われば、夕方まで自由時間
佐渡と大東は、いつも決まって外で遊ぶ
「ぶいんぶい〜ん‼︎」
「どどどどど‼︎」
「あらあら。また航空機のオモチャで遊んでる」
学校が終わったみほが来た
佐渡は瑞雲の模型、大東は強風の模型を持ち、その辺を走り回っている
「みほ先生。後をお願いしても良いですか⁇」
「えぇ。代わるわ」
飛鷹先生が帰り、先生がみほに代わる
「ん⁇」
佐渡と大東を見ていると、門の所で数人の園児が固まっているのが見えた
男性二人が缶ジュース片手に、門越しの園児達に何か配っている
「ちょっと‼︎何してるの‼︎」
「ヤバい‼︎」
「撤☆退‼︎」
男性二人はみほを見るなり、そそくさと逃げようとした
「待ちなさい‼︎」
「うわっ‼︎」
「うはっ‼︎」
みほは門を開け、男性二人の首根っこを掴んで戻って来た
「俺達は悪くない‼︎」
「さっきゲーセンで取ったお菓子上あげただけだ‼︎」
「あーーーっ‼︎」
佐渡が瑞雲片手に声を上げた
「あ、あ、あのあの‼︎さささサイン下さい‼︎」
「ほほぅ⁇俺達の事を知ってるご様子で⁉︎」
「マーカスさんとアレンさん‼︎」
「え…」
確認しないままひっ捕らえたので、みほは顔を見ていなかった
「た、大尉‼︎失礼しました‼︎」
みほはすぐに手を離した
「いやぁ、これでこの幼稚園は安全だと分かったな」
「うぬっ‼︎」
「ああああのあの‼︎さささ佐渡、二人の飛行機見て、その…」
「ははっ‼︎緊張しなくて良いぞ⁇俺達の飛ぶ所見てくれたんだな⁉︎」
「は、はいっ‼︎」
「瑞雲の一二型か…見せてくれるか⁇」
佐渡はオモチャの瑞雲をレイに渡した
「君は強風か」
「あ、はい…」
「日向の娘さんよ⁇」
「そうかそうか‼︎いつも日向に食わして貰ってるから、君にもお礼をしなきゃな‼︎」
大東はアレンに強風を渡す
「二人共、暇⁇」
みほがにやけ顔で二人を見る
「分かったよっ」
「隊長には内緒だからな⁉︎不審者で捕まったとか恥ずかしい‼︎」
「ふふっ、いいわよっ‼︎」
結局、大尉二人はほとんどの園児が帰るまで見てくれた
レイはこう見えて保育士の免許を持っている
ここにいても、何ら不思議ではない
残ったのは大東と佐渡の二人
二人共遊び疲れたのか、大東はアレン、佐渡はレイの膝で眠っている
「あらあら…遊び疲れたのね⁇」
「二人共良い子だ…」
子育て経験のある二人は、子供をあやすのが本当に上手い
普段ワンパクな二人がスコンと寝てしまった
「すまない。迎えに来るのが遅れた」
「日向ね。大東ちゃん。お母さんが来たわよ‼︎」
「ん…」
「大尉⁇」
「よっ」
「これは申し訳無い事を…」
「気にすんな。これも視察の一環さっ」
アレンから大東を受け取り、日向は深々と一礼して帰って行った
「そういや、佐渡の親は誰なんだ⁇」
「みほ先生‼︎ありがとう‼︎」
「ちょうど来たわ‼︎」
現れたのは飛鷹
実は飛鷹、艦娘を引退した後、パイロットの一人と繋がり、佐渡を産んでいたのだ
母親からレイやアレンの話を聞いていたのなら納得する
「ま、マーカス大尉‼︎その節はお世話になりました‼︎」
飛鷹はレイを見掛けた途端に、ビシィ‼︎と敬礼をする
「敬礼は無しだ。良い子だな…よいしょ」
「あら、知り合い⁇」
「大尉と大佐にはパラオの一件で救出して頂いて…」
「そうだったの…ふ〜ん⁇」
みほとアレンがにやけ顔でレイを見る
「今は幸せか⁇」
「はいっ‼︎今は旦那も佐渡も居て…この飛鷹、幸せです‼︎」
「んっ‼︎よかったよかった‼︎」
「では、失礼いたします‼︎大佐によろしくお伝え下さい‼︎」
「達者でな」
飛鷹と佐渡が帰り、園児は居なくなった
「さっ、お二人さん‼︎ケーキ食べましょ‼︎」
「おっ‼︎美味そうだな‼︎」
「いっただきまぁ〜すぅ‼︎」
二人はみほの焼いたカップケーキとお茶を飲みながら、みほと他愛ない話を繰り返す
こうして、居住区の一日が終わる
そこは、彼女達にとっての終の住処
番を持ち、子を産み、家族や友人と過ごし、いつかそこで幕を閉じる
暗く冷たい深海ではなく、今度は暖かいベッドで眠りながら、明日はどうしようかと優しい悩みをしながら夢を見る
そして、いつの日か誰かがこう言う…
ここは、私達の”シャングリラ”だと…
今回は日向一家でしたが、またいつか別の家庭にスポットを当てるかもしれません