艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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あの美女二人が再び大活躍‼︎


207話 血に踊る番犬(5)

「健吾さん私‼︎」

 

《創造主様‼︎横須賀より緊急入電‼︎現在、大湊所属艦レーダー艦ダイダロスが所属不明機をレーダーで捕捉‼︎手隙の航空隊は至急現場に向かって下さい‼︎》

 

大和が何か言おうとした時、通信が入った

 

「俺が出る。健吾を借りるぞ」

 

「OK‼︎Papaに言っておくわ‼︎」

 

「行くぞ健吾」

 

「…ウィルコ‼︎」

 

健吾は涙を拭き、すぐに空の男の顔に変わり、T-50に向かう

 

「俺がなんとか説得してみる」

 

「あの、レイさん…」

 

「マーカス…その…」

 

「誰も責められないのが痛い所だな…」

 

そう…

 

この愛は誰も責める事が出来ない

 

誰にも罪はなかった

 

あるとすれば、戦争が全てを引き裂いた…としか言えなかった…

 

健吾に少し遅れ、俺も飛び立った

 

 

 

 

「こちらグリフォン。着陸許可を求む」

 

《了解グリフォン。オルトロスに続き、着陸して下さい》

 

「着り〜く‼︎」

 

《グリフォン。敵は⁉︎》

 

「クラウディアが嘘吐くとはなっ…」

 

《ご迷惑でしたでしょうか…》

 

「いや。助かったよ」

 

薄々気付いていた

 

タナトスで来たはずなのに、スカイラグーンにグリフォンがあった時点で、何となくクラウディアが気を使ってくれたと気付いた

 

「健吾」

 

《はい》

 

「よく頑張ったな」

 

《俺は…》

 

無線の向こうで啜り泣く声が聞こえた

 

俺だけは今の健吾の心境を分かってやれる

 

俺の時は鹿島だった

 

毎日毎日日の終わりに恋人の写真を見た時だけ、鹿島は女の顔をした

 

それが健吾の場合は大和

 

俺は正直ウンザリしていた時もあったが、鹿島はその分俺に尽くしてくれた

 

大和だってそうだ

 

「れっち〜おいてきた‼︎」

 

「ちゃんとでっち〜にいってきあ〜すっていったお‼︎」

 

「おい‼︎」

 

いつの間に忍び込んだのか、助手席にひとみといよがいた

 

健吾にいっぱいいっぱい…尚且つ二人はヘルメットのステルス機能を使い、ちゃんとシートベルトを締めて助手席に座っていた

 

《あはは…創造主様、如何なさいますか⁇》

 

「…横須賀の所でお菓子食べて良い子ちゃんにしてるんだぞ⁇」

 

「けんごしゃんおつかえ⁇」

 

「こっぴ、ぱい〜んてちてた」

 

「そうだな…健吾はちょっと疲れてるかもしれない。俺がお話して元気になるようにしてくるからなっ‼︎」

 

「うんっ‼︎」

 

「がんあってえ‼︎」

 

ひとみといよの頭を撫でた時、丁度横須賀が迎えに来てくれた

 

ひとみといよを連れて行ってくれた横須賀を見届け、健吾が降りてくるのを待つ

 

「よいしょ…」

 

T-50から降りて来た健吾は、怒っているのか悲しんでいるのか、何方でも取れる顔をしていた

 

「もう夕方ですよ、レイさん」

 

「気にすんな。ラバウルさんから横須賀宛に通知が来たらしい。たまには有給を取れだとよっ」

 

「はは…そうですね…」

 

これは悲しんでるな

 

「よ〜し‼︎今日はパーッと飲むぞ‼︎」

 

「あ‼︎ちょっと‼︎」

 

健吾の背中に手を回し、肩をグッと抱き寄せる

 

優しい背中だ…

 

誰も責められはしないが、この背中はもっと責められないな…

 

 

 

 

 

 

 

そんな俺達を窓の内側から台に乗って見ている人影が二つ…

 

「けんごしゃんおつかえ」

 

「ひとみたちにれきう⁇」

 

「やう⁇」

 

「やう‼︎」

 

横須賀の一瞬の目を盗み、ひとみといよは何処かへ向かった…

 

 

 

 

「ま。飲んで少しは忘れろっ」

 

「ありがとうございます…」

 

Bar 那智のソファー席に座り、健吾にビールを注ぐ

 

健吾は注がれたビールを一気に飲み干し、タンッ‼︎と音を立てて机に置いた

 

「…くぅ」

 

「何も心配しなくて良い。どうにかしてやる」

 

「俺にはもう…大和を愛せる自信が…」

 

「健吾…」

 

「俺はやっぱり…陰日向で誰かを見てる方が似合ってます。すみません」

 

「そう消極的になるな」

 

健吾はグラスを持ったまま下を向いていたので、もう一度ビールを注いだ

 

「おっと…ちょっとすまん」

 

タブレットに通信が入った為、一旦店を出た

 

俺と入れ違うかの様に、美しいドレスに身を包み、真っ赤な口紅を塗った美女二人がバーに入って行くのを、俺は気が付かなかった…

 

 

 

「ひとみといよがいないだぁ⁉︎」

 

横須賀に呼ばれた俺は、執務室に来ていた

 

「私達が2秒目を離した隙にステルス機能を使って…」

 

「どうしよ…さらわれちゃったのかしら‼︎」

 

横須賀と親潮が同じタイミングでほんの一瞬目を離した隙に、ひとみといよが何処かへ消えたらしい

 

「お母様‼︎あったよ‼︎」

 

「あぁ…」

 

清霜が持って来たひとみといよのお気に入りのワンピースを見て、横須賀は気絶しそうになる

 

「裸で連れて行かれたのね…レイどうしよ…ごめんなさい私…」

 

こんなに怯える横須賀は初めて見た

 

肩を揺らし、口元に手を当てて泣きそうになっている

 

「気付いた時点で全出入り口は封鎖したのですが…」

 

「その内帰って来るだろ。清霜、服を元に戻しておいてやってくれ」

 

「はい‼︎お父様‼︎」

 

清霜はワンピースを持ったまま執務室を出て行った

 

「どうしよ…私のせいだ…」

 

「そう言う年頃だ。あんま気にしすぎると成長に良くない。親潮、二人にステルス機能を使った形跡は⁇」

 

「あります」

 

「ステルス機能を使ったって事は、さらわれた線は無いな。何か隠し事でもしたいんだろ」

 

「もしくはイタズラか…ですね⁇」

 

「そっ」

 

「何かあってからじゃ‼︎」

 

「遅いんだろ⁇」

 

横須賀が吠えようとしたのを遮る様に言った

 

「何でそんなに冷静なのよ‼︎」

 

「娘を信じてるからさ」

 

「あ…」

 

「あ…」

 

横須賀と親潮の息が詰まる

 

本気の俺の目を見た二人は、何かを確信した様だ

 

「健吾と飲み直してくるから、ま、帰って来たら言ってくれ。絶対怒るなよ⁉︎二人にだって内緒にしたい事もある」

 

「分かったわ」

 

「はい。創造主様」

 

未だ心配する横須賀の横で、親潮は俺と目を合わせて左目をほんの少し細めたのを見て、微笑みを返し、執務室を出た

 

 

 

「はいっ、あ〜んっ‼︎」

 

「あ…」

 

「おいし⁇」

 

「お…美味しい…」

 

健吾は謎の美女二人に左右の腕を組まれ、唐揚げを食べさせて貰っている

 

「君達は一体…」

 

「わたくしはサティと申しますわ⁇」

 

「私はフォティ‼︎」

 

「…幾らかな⁇」

 

健吾はお金を払って

 

「んもぅ…お金なんて要りませんわ⁇」

 

「今日はわたくし達におまかせっ‼︎ねっ⁉︎」

 

「あ…あぁ…」

 

「さっ‼︎飲んで飲んで‼︎」

 

今度はジョッキビールを持たされ、健吾はそれを半分位飲み干す

 

「今日は辛い事がおありのようで…」

 

「そうなんだ…妻が…」

 

サティが言った言葉で、健吾はまた落ち込んでしまった

 

「…よいしょっ‼︎」

 

そんな健吾を見て、サティは健吾の膝の上に対面状態で座った

 

「女で出来た傷は、女でしか埋められませんことよ…柏木中尉⁇」

 

サティは健吾の顔を持ち、鼻先に息を吹き掛けた

 

「食べて遊んでも、誰も中尉を怒ったりしませんわ⁇」

 

「う…」

 

「おっとっ…」

 

そんなタイミングの時に俺が来た

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