「何だぁこいつ‼︎」
「正義の味方だっ‼︎」
そこにはフルフェイスのヘルメットをした男性が腰に手を当てて立っていた
「こいつぶっ殺…ごっ…」
「ぬははははは‼︎」
何の前触れもなく、右ストレートが顔面に当たり、また一人男性が吹き飛ぶ
「死ねや‼︎」
「愚か者めが‼︎」
「あっ…が…」
今度は顔面に肘鉄
あっと言う間に私をナンパした男性はその場に倒れた
私は安心したのか、腰が抜けてその場にへたり込んでいた
「艦娘を拉致したのは重罪だ…横須賀で逮捕されるか、今謝って全てを忘れるか…選んで頂こうか‼︎」
「「「すみませんでした‼︎横須賀基地の艦娘とは知りませんでした‼︎」」」
ナンパした男性達はすぐにその場で土下座した
「うぬっ‼︎反省したのなら許してやろう‼︎骨を折られる前に帰りなさい‼︎」
「「「はいっ‼︎失礼しました‼︎」」」
男性達は一目散に逃げて行った
「お嬢さん、お怪我はありませんか⁇」
フルフェイスのヘルメットの男性はすぐに私に近寄り、腰が抜けた私に手を差し伸べてくれた
「…助けてなんて言ってないわ」
差し伸べてくれた手を掴まず、私は立ち上がった
しかもなぁに⁇
助けて頂いたのに、この言い方は
とは考えてはいたが、プライドが勝ってしまった
立ち上がってすぐ、私は歩き出した
「横須賀まで送ってやるよ」
「結構よ」
「お寿司でも食べないか⁇」
バイクに乗ったままチョロチョロ着いて来るこの男に腹が立った
「助けてくれてどうもっ‼︎これでいい⁉︎」
「美人を助けるのは当然の事だからな‼︎」
それでも横をチョロチョロ着いて来る
「あのねぇ…」
何度も引き剥がそうとするが、彼は着いて来た
「はぁ…」
ため息を吐いた後、一旦歩みを止めた
「助けてくれた事は有難いわ‼︎でもね‼︎顔も明かさない、名前も明かさない癖にナンパするなんてどう言う神経してるのかしら⁉︎」
「おっとこれは失礼‼︎美人に見せる顔じゃないと思って‼︎」
彼はようやくヘルメットを取った
「リチャード・オルコットだ‼︎リチャードって呼んでくれ‼︎」
「中将様⁉︎失礼しました‼︎私なんて事を…」
助けて頂いたのは、まさかのリチャード中将だった
「あ〜あ〜固い固い‼︎敬礼は無しっ‼︎肩の力抜いて‼︎いつも通りの君で良い‼︎」
「…分かったわ」
「ごほん…では改めて…お寿司食べない⁉︎」
「…美味しいのじゃなきゃやぁよ⁇」
「勿論‼︎味は保証する‼︎」
「なら、付き合ってあげます」
「乗って‼︎」
ヘルメットを渡され、それを被った後、中将の背中にくっ付いた
「早く出して頂戴」
「行っくよ〜ん‼︎」
バイクは軽快に横須賀へと引き返して行く…
「ねぇ、中将」
「ん〜⁇」
「ズィーカークもこうして⁇」
「なっはっは‼︎まぁな〜‼︎」
「貴方、ナンパ癖直したらどうなの⁇」
「嫁が恐妻だからな‼︎」
「なぁに、それ。言い訳のつもり⁇」
「はっはっは‼︎」
中将は笑い飛ばした
それにつられて、私も少しだけ笑う
「さっ、着いた」
「どうもっ…中々快適なツーリングだったわ」
横須賀に着き、ヘルメットをリチャードに返す
中将もヘルメットを脱ぎ、棚にそれを置いた
「それはようございました‼︎」
中将に着いて行くと、やっぱりズイズイズッコロバシに着いた
「中将〜⁇浮気ですか〜っ⁇」
「ちが…」
「違うわ。お礼をしてるの」
「へ〜ぇ⁇中将やるじゃん‼︎さっ‼︎座って座って‼︎」
ズィーカークに案内された席に座り、帽子を脱ぐ
「…ありがとう」
「助けられたのは本当だから、気にしないで頂戴」
中将はただ笑って返した後、しばらくはスシを食べる
「ピンクソースが無いわね」
「ぴ、ピンクソース⁉︎」
「私の国ではスシにピンクソースが付いてたわ」
「それが本場の寿司さ」
「そっ。でも美味しいわね。でっ、何であんな所にいた訳⁇」
「あぁ。空から連絡を受けたんだ」
「空⁇」
「息子と息子の友人さっ」
「後で礼を言っておくわ」
お腹イッピーになるまでスシを食べ、私はポーチからオサイフを出そうとした
「男に格好付けさせてくれ」
「でも今日は助けて貰ったし…」
「今返して貰った」
「…分かったわ」
中将に止められ、財布を仕舞う
表で待っていると、中将はすぐに出て来た
「ごちそうさま」
「少しは気は晴れたか⁇」
「えぇ。それと…」
中将の頬に、お礼のキスをする
「おっほ‼︎」
「貴方の嫁と、ズィーカークが惚れた理由が分かったわ…じゃあね‼︎」
中将は呆然と立っているけど、気にしないでおこう…
待ち合わせ場所に来たが、まだ二人共来ていない
もう少しだけ、砂浜にいよう
「あら⁇」
砂浜には綺麗な貝殻が流れ着いていた
「綺麗な貝殻…」
薄いピンク色の貝で、向こう側が薄っすら透けて見えている
「もっとあるかしら」
その辺にあった木の枝を拾い、それで辺りを掘り返してみる
「こっちも綺麗ね」
いつの間にか貝殻探しに夢中になっていた
「レディに砂遊びは似合わないぞっ⁇」
「…なぁに⁇失礼な人ね⁇」
「よっと…」
お礼を言わなければならない人が横で膝を曲げた