艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

709 / 1101
215話 機械仕掛けの愛(4)

朝霜が止めようが、スパイトもポーラも叫び散らしまくる

 

「さっ‼︎帰るぞ母さん‼︎」

 

「ポーラも帰るぞ‼︎」

 

ようやくレイとアレンが来た

 

「あ〜い。スパイトさん、また今度〜」

 

「むっふふ…ポーラ帰るの⁇」

 

「ポーラ、アレンさんと帰りま〜す」

 

「また飲みましょうね‼︎」

 

「あ〜い…」

 

聞き分けの良いポーラを担ぎ、アレンは先にポーラを寝かせに千代田の寮に向かった

 

「さ‼︎マーカス‼︎母さんと飲みましょ‼︎」

 

「母さんも帰るんだっ」

 

「ヤダヤダヤ〜ダァ〜‼︎マーカスと飲むぅ〜‼︎」

 

スパイトはクネクネ動きながら駄々をこねる

 

「ほらっ‼︎」

 

「む〜っ」

 

レイが手を伸ばすと、スパイトは嫌々手を取った

 

バーを出て朝霜はジャーヴィスを乗せた台車を押し、レイはスパイトをおんぶして執務室を目指す

 

「飲み過ぎたら親父に怒られるぞ⁇」

 

「いいのよ。リチャードは怒らせとけば。だってぜ〜んぜん‼︎私を相手してくれないもん‼︎ズィーカクば〜っかり‼︎」

 

ズィーカクと言う時、スパイトは嫌味ったらしく声を荒げた

 

何故こんなに飲んでいるかようやく分かった…

 

「はは。妬いてんのか⁇」

 

「えぇ。悪いかしら」

 

スパイトは半笑い、半怒り顔でレイの左肩に顎を置き、何とか見える自身の息子の横顔を見つめる

 

「…マーカスだけよ。私の相手してくれるの」

 

「ジャーヴィスもママの味方だヨ‼︎」

 

「そうね、ジャーヴィス…」

 

「アタイもだぞ‼︎」

 

「アサシモ…ありがと…」

 

安心したのか、スパイトはレイの肩に顎を置いたまま眠ってしまった…

 

 

 

 

執務室に着き、ソファーにスパイトを寝かせ、床に布団を敷いて朝霜とジャーヴィスを寝かせる

 

「ダーリンもネンネ⁇」

 

「もう少ししたらな⁇」

 

「ぐぁ〜…」

 

ジャーヴィスの横では、既に朝霜がイビキをかいて寝ている

 

「今日は何して遊んだんだ⁇」

 

「んとネ〜…アーチャンとお絵かきしテ〜…お散歩しテ〜…お菓子食べたヨ…」

 

「朝霜好きか⁇」

 

「アーチャン好キ…あのネ、ジャーヴィスの好きな事、たくさん知ってるノ…」

 

「そっか…」

 

ジャーヴィスの目がトロンとして来た…

 

「ダーリン…」

 

ジャーヴィスも寝息を立て始めた

 

レイは二人が寝息を立てたのを確認した後、自室に戻った…

 

 

 

 

そして三日目…

 

「…もう三日よ⁇」

 

「よっぽど好きだったんだな…」

 

俺と横須賀の二人が、ずいずいずっころばしの店内を盗み見する…

 

店内には、いつものカウンター席に座る親父が一人

 

他には誰もいない

 

この三日間、ずいずいずっころばしにはほとんど客が寄り付かないでいた

 

理由は明白

 

皆、親父と瑞鶴を二人きりにしてやりたいからだ

 

朝ごはんを食べ終えた後、親父は深いため息を吐いた後、航空演習に向かった

 

相変わらずキレの良い動きを見せる親父の黒いコルセアを、横須賀と共に管制塔から双眼鏡で眺めていた

 

「お義父さん、あんなにキレ良いのに…」

 

「早く何とかせんとな…てか、お前お義父さんって…」

 

「間違ってないでしょ⁇あら、雨だわ…」

 

管制塔の窓ガラスに水滴が付いた

 

「演習終了。雨天の為、着陸に注意を払って下さい」

 

《了解した。ケプリ、RTB》

 

横須賀の無線にも普通に対応する

 

問題は地に降りてからだ…

 

 

 

「親父‼︎甘いモンでも…」

 

「悪いな、マーカス…」

 

「中将。私とはどうで…」

 

「そんな気分じゃないんだ…」

 

「「あ…」」

 

コルセアから降りて来た親父は、俺達二人を押し退けるかの様に、下を向いたまま繁華街の方へと足を向けた…

 

 

 

 

誰もが気を使い、誰も居なくなったずいずいずっころばし…

 

「オキャクサマガ、イマセン」

 

悲しくお寿司だけがレーンを回り、お寿司握りロボは廃棄されていくお寿司を見て悲しくなった

 

「ヨビコミヲ、シテキマス」

 

「ちょっと瑞鶴さん‼︎」

 

キャタピラをキュラキュラ言わせながら、お寿司握りロボは表に出て来た…

 

「イラッシャイマセ。オスシハ、イカガデスカ。オイシイオスシハ、イカガデスカ」

 

お寿司握りロボが必死の呼び込みをする中、無情にも雨足は強くなる…

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。