艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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21話 代償の街(3)

「ハァ…ハァ…」

 

刀で鳩尾を貫き、何とか振り解けた

 

「分かった…分かったよ…ははは…」

 

辺りが静まる…

 

「来い‼︎テメェら‼︎まトメて片付けてヤル‼︎」

 

 

 

 

高台では、ようやく救助ヘリが住民の救助を始めた

 

「増援はまだか‼︎」

 

日向が救助ヘリの要員に吠えた

 

余りにも増援が遅い

 

これでは大佐が…

 

「現在、別海域でも戦闘が開始されていて、別動隊が急行中です‼︎もうしばらくお待ち下さい‼︎貴方も早く‼︎」

 

「私は残る‼︎この街の英雄を置いては行けない‼︎」

 

「日向」

 

「何だビスマル…あっ‼︎」

 

ビスマルクは日向を押して、無理矢理ヘリに乗せた

 

「貴方も早く‼︎」

 

「行きなさい‼︎私は気にしないで‼︎」

 

「ビスマルク…お前…」

 

日向が何か言おうとしたが、ヘリは飛び立った

 

「隊長…私が待ってるのよ⁇約束したでしょう⁇貴方が私に色々教えるって…」

 

 

 

 

「早く早く‼︎」

 

「分かっている‼︎」

 

現場に急行する島風と長門

 

別海域では大規模海戦が行われており、それを食い止めるに多数の人員を割いてしまい、海戦の最中、二人だけ抜けて来たのだ

 

「うわ…」

 

島風が少し早く着いた

 

が、周りには深海棲艦の死骸だらけ

 

「何が…あっ‼︎」

 

深海棲艦の艦載機らしき小型の機体が、島風の目の前を通り過ぎ、大きな風が巻き起こる

 

「マダワイテクルカ‼︎」

 

叫び声が聞こえた後、砲撃音が二回響いたと思えば、深海棲艦が吹き飛ばされて来た

 

「何だ⁉︎増援がいるのか⁉︎」

 

追い付いた長門が、吹き飛ばされた深海棲艦に驚いた

 

「分かんないよ…」

 

「ダレダ‼︎」

 

「構えろ‼︎」

 

「ま、待って‼︎嘘でしょ…」

 

深海棲艦の砲を構えていた軍服の人の近くに、先程の小型の艦載機が浮遊している

 

島風は、その深海棲艦に見覚えがあった

 

「た…大佐…何で…」

 

島風が見た深海棲艦は、誰にでも優しい、あの大佐だった

 

「シマ…か…ぜ…」

 

「あ、ちょ、大佐‼︎」

 

大佐が倒れると同時に小型の艦載機も落ち、バラバラになった

 

大佐を起き上がらせ、何度も呼び掛けるが、大佐は起きない

 

「島風、増援が来た。ここは任せよう。大佐を運ぶぞ‼︎」

 

「わ、分かった‼︎」

 

 

 

 

 

 

それから一週間…

 

島風と長門の奮闘もあり、何とか大佐を運び出せた…

 

が、恐れていた事態が、一気に現実になった

 

一つは、深海棲艦の一斉攻撃

 

ほとぼりは収まり、今は戦艦や空母の艦娘の子達が、残りカスを掃除している

 

そして、もう一つ…

 

今ベッドに寝ている大佐の事だ

 

軍の諜報部も知らない、私だけが知っている彼の秘密がある。いや、あった

 

それは…大佐が…

 

 

 

 

 

深海棲艦だという事

 

 

 

 

 

最初は信じられなかった

 

だけどあの日、大佐がタ級を鹵獲した時、確信に変わってしまった

 

そして、大佐がチェルシーと呼ぶ深海棲艦”飛行場姫”

 

他の深海棲艦を指揮する彼女を鹵獲した時、終わりだと思った

 

私が知っている資料にはこう書かれている

 

奴等に雄型は存在しない

 

雌型ばかりだ、と

 

だけど私の書いた資料には”深海棲艦雄型”と書かれている

 

だが、型が分からない

 

重巡なのか、戦艦なのか、空母なのか…

 

砲を使っていたとの報告もあるが、小型の艦載機も総ていたとの報告もある

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