艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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題名は変わりますが、海の家のお話の続きです

それぞれの海の家の視察を終えたレイ達は、自分達も夏休みを満喫します

何故こんな事をいきなりし始めたのかは、最後の方で明らかになります


217話 男達の夏休み

夜8時…

 

三つの海の家が営業を終わろうとしている

 

「ここかなぁ〜⁇お肉のいい匂いするよぉ〜⁇」

 

一人の少女が招待状片手に海岸に来た

 

「あっ‼︎来たわ‼︎こっちよ‼︎」

 

「横須賀さんだぁ〜‼︎」

 

横須賀に気付き、少女は小走りで皆が固まっている場所に来た

 

一日目に余った生鮮食材+横須賀が繁華街から貰った大量の食材を持ち寄り、皆で海の家の開店記念と久し振りのパーティーをしていた

 

招待状片手の少女はこの日、遠征の帰り

 

親潮から招待状を受け取り、この場に来たのだ

 

「照月もお肉食べたい‼︎」

 

少女の正体は照月

 

「照月ちゃんはこっちよ‼︎ほらっ‼︎」

 

「うわぁ〜〜〜‼︎」

 

照月の前には、大量の焼肉やら焼きそば、ピザや焼いた野菜がある

 

そこにいる全員でも到底食べ切れる量ではない

 

「わぁ〜っ‼︎照月にくれるの⁉︎」

 

「えぇ‼︎今日のご褒美よ‼︎」

 

「いただきま〜す‼︎」

 

大量の料理を照月はみるみる減らして行く

 

「おいひ〜〜〜‼︎」

 

「いっぱい食べるのよ⁇」

 

「うんっ‼︎横須賀さんっ‼︎ありがとう‼︎」

 

幸せそうに焼肉やら焼きそばをバクバク食べる照月

 

実は横須賀にとってもこれは好都合だった

 

食材自体はあまり余らなかった

 

ただ、捨てるのはもったいない

 

だったら誰かに食べて貰った方が良い

 

食べる=照月との認識は、横須賀にもあった

 

繁華街でも今日の余りを分けて貰い、こうして照月に食べて貰った方が食材も幸せだろう

 

「あれっ⁇お兄ちゃんは⁇」

 

「レイはね…」

 

横須賀が言おうとした時、基地から少し離れた場所から何かが上がった

 

それは空中で炸裂し、美しく夜空を彩る

 

「わぁ〜っ‼︎花火だぁ〜っ‼︎」

 

「レイとパパは花火上げに行ってるの‼︎」

 

 

 

 

 

「オラオラオラオラフォーーーーー‼︎‼︎‼︎」

 

「燃えろ燃えろ燃えろ燃えろ燃えろ燃えろヒョーーーーー‼︎‼︎‼︎」

 

離島から花火が大量に上がる

 

俺とアレンが手持ち花火を持ち、走り回りながらデカい花火に点火しまくる

 

「ばんぼばんぼー‼︎」

 

「エドガー‼︎第二陣セットうんがー‼︎」

 

「畏まりましたばんぼー‼︎」

 

「アレン‼︎セット完了ばばんぼー‼︎」

 

「ぼんばーぼんばー‼︎」

 

「うんしょ…よいしょ…」

 

隊長、ラバウルさん、健吾の三人が花火を設置しまくり、俺達二人はこれでもかと点火しまくる

 

きそは何かを運んでいる

 

「楽しいかしおんさん‼︎」

 

「うんうん‼︎」

 

たまたまそこに居たしおんさんは、夜空を明るくする花火をキラキラした目で眺めていた

 

「おいレイ‼︎」

 

「なんだ‼︎」

 

とにかく花火に点火する為に、俺達は走りながら会話を続ける

 

「また上から花火見たいな‼︎」

 

「そうだな‼︎来年は上から見ようぜ‼︎」

 

「俺達戦争屋の特権はそれ位しかないからな‼︎」

 

「いいんだよ‼︎一個でもありゃあな‼︎」

 

小一時間花火に点火しまくり、横須賀から連絡が入った

 

《ありがと。これで”お見送り”は出来たわ》

 

「だといいんだが…」

 

「そっか。今日は…」

 

「日本にとっちゃ、重要な日さ」

 

8月15日

 

日本にとっては終戦記念日

 

この花火はお見送りの為でもある

 

最初は少し戸惑った

 

だけど、誰かを弔うのに人種や国籍なんて関係ない

 

気持ちの問題だ

 

だからこそ、花火を上げた

 

ある人は楽しんで、ある人は弔う

 

それでいい。今はそれでいいと思う

 

美しい物を見て怒る奴はいないはずだからな

 

「ラストのしだれ花火行くよ‼︎」

 

きそがダイナマイトの起爆装置の様な装置を押し込もうとしている‼︎

 

「やめろバカ‼︎」

 

「ダイナマイツ‼︎」

 

導火線に火が付いた‼︎

 

「来た‼︎」

 

「走れ‼︎」

 

どんどん花火に近付く導火線の火

 

「伏せろ‼︎」

 

物凄い爆発音と共に、巨大な花火が打ち上がる…

 

 

 

 

 

「わぁ〜っ‼︎」

 

巨大なしだれ花火は横須賀からもよく見えた

 

「ろか〜ん‼︎」

 

「ぼかーん‼︎」

 

ひとみといよがキャッキャ言う

 

「ちょっと…低過ぎない⁉︎」

 

 

 

 

 

「あぢぢぢぢぢ‼︎」

 

「あちちちちち‼︎ヤッベェ‼︎」

 

「あはははは‼︎ひっく‼︎」

 

横須賀の予想通り、しだれ花火は離島に降り注いでいた

 

「消火ぁぁぁあ‼︎」

 

「ばんぼー‼︎」

 

総員で消火作業に入り、何とか事なきを得た…

 

 

 

 

こうして、俺達の波乱の海の家視察は幕を閉じた

 

艦娘達はこれからほんの少しの夏休みらしい

 

また繁盛すると良いな…


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